皆さん、こんにちは。
今回は 診断(検診で「何かある?」と言われた方、「これって、しこり?」と感じた方へ) ♯「入口の一つ」です。
の中の「画像診断」「組織診断」「乳癌」「乳癌以外の悪性腫瘍」「良性疾患」の中の「乳癌」を取り上げますが、
この「乳癌」の中でも
・統計
・ステージ
・組織型
・サブタイプ
を取り上げます。
「治療に触れていない」のは、決して時間が無かったからではなく? ここは「診断」の中だからです。誤解なく?(言い訳?)
次回のコラムでは「(乳癌の)治療」を書きます。(「診断」の中の「乳癌以外の悪性腫瘍」と「良性疾患」が残っていますが、それらは後回しにします)
やっぱり「乳癌」は、volumeあるねー(当たり前じゃ、そもそも「乳がんプラザ」じゃろ? by 神様)
実際に診断された人が、まず調べたいのは「自分の(今置かれている)状況」ですよね?
その意味で重要なのは「統計」「ステージ」「サブタイプ」ですね。
薄っぺらにならないように「コラム」とリンクさせることが鍵ですね?
〇 本編
「乳プラ改変」にむけて…
246では「診断」の中の「画像診断」「組織診断」を取り上げました。
今回は「乳癌」を取り上げます。
トップページには「入口」がいくつかあります。(今は未だ、想像上ですが…)
その一つが
診断(検診で「何かある?」と言われた方、「これって、しこり?」と感じた方へ) ♯「入口の一つ」です。
♯このページ内には、以下の記載
・診断の流れは「画像診断」⇒(癌を否定しきれない場合には)「組織診断」へと進みます。
・ここでは上記の他に、(疾患の紹介として)「乳癌」「乳癌以外の悪性腫瘍」「良性疾患」を紹介します。
♯ここから、「画像診断」「組織診断」「乳癌」「乳癌以外の悪性腫瘍」「良性疾患」それぞれのページのタブをクリックすると、それぞれのページに行く。
本日はこれから「乳癌」を取り上げます。
● 乳癌
≪乳癌の発生≫
・乳癌の殆どは乳管(ミルクを運ぶ管)の細胞が癌化しておこります。
・癌細胞はまずは乳管の中を増殖します(この段階を非浸潤癌といいます)、やがて乳管の壁を破って間質「浸潤」します。(浸潤癌といいます)
・乳管の中には血管もリンパ管もないため、非浸潤癌では、血管の中に入り込んで転移する「血行性転移=遠隔転移」も、リンパ管の中に入り込んで転移する「リンパ行性転移=リンパ節転」)の、どちらも起こりません。
詳しくは下記コラムを参照ください。
『今週のコラム 243回目 しかし、8654で紹介したように以下のケースでは非浸潤癌として診断できます』
≪統計の要点≫
・増加が著しい(37年間で8倍以上)
・若年者に多く40歳代では(女性の癌の)実に40%以上を乳癌が占める。
グラフのページへ (このタブをクリックすると、以下のグラフのページへjumpする) 管理者へ ここに「グラフのページへ」タブお願いします。
「グラフのページの内容」
乳癌は若年層(40歳代)で多い癌である。
40歳代の女性にとって、乳癌は最も身近な癌である
♯ 45~49歳では(女性がん患者さんの)約半数(49%)が乳癌なのです。
乳癌の増加率は「凄まじく」、この37年間で8倍以上!
この7年間でも1.5倍となっています。
(2010年 608071人 ⇒ 2017年 950203人)
(女性の)部位別罹患数 2017
乳癌は1位です。(年間 95000人以上)
≪ステージの要点≫
ステージはT: tumor 腫瘍径(最終的には「病理学的浸潤径」)とN: node リンパ節転移の個数の組み合わせです。
T1 2cm以下 2cm< T2 ≦5cm 5cm< T3 T4 皮膚所見を伴うもの
N0 リンパ節転移なし N1 1個から3個 N2 4個から9個 N3 10個以上
Ⅰ期及びⅡ期はTとNの組み合わせできまり、
3期以上は
N2(リンパ節転移4個以上)だとステージⅢA
T4(皮膚所見を伴うもの)だとステージⅢB
N3(リンパ節転移10個以上)だとステージⅢC
ステージのページへ (このタブをクリックすると、以下のステージのページへjumpする) 管理者へ ここに「ステージのページへ」タブお願いします。
「ステージのページの内容」
・実際のステージの割合い(2017) 2期までの早期がんが88%を占める。
stage 0 14.3%
stageⅠ 43.0%
stageⅡA 22.9%
stage ⅡB 7.9%
stage ⅢA 2.2%
stageⅢB 3.3%
stageⅢC 1.4%
stageⅣ 2.2%
・ステージ別予後
治療は日進月歩なので、あくまでも「過去のデータである」という見方が必要です。
2004登録患者さん
stage 5年生存率 5年無再発生存率
stage 0 97.58% 96.34%
stage Ⅰ 96.63% 92.17%
stage Ⅱ 90.93% 81.62%
stage Ⅲ 72.48% 58.42%
stage Ⅳ 42.65%
ただし、上記は(今の患者さんにとっては)15年以上前の患者さんのデータです。(2004登録患者)
「5年無再発生存について」
術後補助療法としてtrastuzumabもpertuzumabも使えない時代なので、特にHER2陽性患者さんの予後が著しく向上したので、それより格段に数値がいいでしょう。
「5年生存率について」
これは、「無再発生存」に加えて「再発治療の進化」も加わるので、「更に」向上していることは間違いありません。
分子標的薬の登場が一番大きいと思いますし、eribulinも2010発売だから現在は「これらの恩恵」による生存率の向上があります。
≪組織型≫
乳癌はまず、非浸潤癌(乳管に留まっている)と浸潤癌(乳管から外へ浸潤している)に分けられます。
非浸潤癌 15%
浸潤癌 85%
浸潤癌は更に「75%を占めるno specific type 非特殊型」と「(残りの25%を占める)specific type 特殊型」に分けられます。
no specific typeは、更に「乳頭腺管癌25% 充実腺管癌15% 硬癌 35%」に分けられますが世界的にはno specific typeと一括りにすることが多い。
specific typeの中には粘液癌 4%、浸潤性小葉癌 5% 、アポクリン癌 1.4%などがあります。(他は1%以下)
組織型は、治療法とも予後とも殆ど関係ないので、「こんな風に分類されている」程度の認識で構いません。
それに対して重要なのが「サブタイプ」です。
≪サブタイプ≫
サブタイプとは乳癌の「治療に直結」する概念です。
主役は以下の3つ(前者2つはホルモン受容体 後者は増殖蛋白の受容体)
ER(estrogen receptor)
PgR(progesterone receptor)
HER2(human epithelial growth factor receptor type 2)
「依存」とは、それを「抑制する治療が効く」と同義です。
・実際の組み合わせ
ER陽性/HER2陰性 = 「ルミナールタイプ(HER2陰性)」 ホルモン療法が効く
ER陽性/HER2陽性 = 「ルミナールタイプ(HER2陽性)」 ホルモン療法+抗HER2療法(の両方が)効く
ER陰性/HER2陰性 = 「トリプルネガティブ 」 ホルモン療法も抗HER2療法も(どちらも)効かない
ER陰性/HER2陽性 = 「HER2タイプ 」 (ホルモン療法は効かず)抗HER2療法が効く
≪ルミナールA/Bについて intrinsic subtype≫
ルミナールタイプを「抗がん剤が効くタイプ(A)」と「抗がん剤が効かないタイプ(B)]に遺伝子発現から分類したものをintrinsic subtypeと言います。
⇒ intrinsic subtypeというタブ(管理者へ ここからintrinsic subtypeのページへジャンプさせてください)
臨床の場では、煩雑で調べることが不可能であるため、実臨床の場ではKi67の値で判断する(近似させる)ことが推奨されている。
Ki67<20 ルミナールA(だろう)
20≦Ki67≦40 グレーゾーン
40<Ki67 ルミナールB
♯ Ki67とは癌細胞の細胞「分裂期にある割合」のことであり、「増殖能に直結する」と考えられている。
今週のコラム 15回目 どうやって、免疫染色だけで、AとBに分けるか?
♯ グレーゾーンの場合にはOncotype DXでの判断が推奨されている。
⇒ Oncotype DXについてのコラムを紹介というタブ(管理者へ ここから「OncotypeDXのコラムを紹介」ページへジャンプさせてください)
Oncotype DXのコラムを紹介のページ(以下)
今週のコラム53回目 Ki67が「30未満」ならホルモン療法単独、Ki67が「30以上なら、Oncotype DXを推奨」しています。
今週のコラム 98回目 ♯このグレーゾーンを「AとBに分ける」ためにOncotypeDXがあるのです。
今週のコラム 99回目 ★グレードは「参考程度」ということでいいですね?
今週のコラム 100回目! 「若いから」抗ガン剤をしましょう。は過ちなのです。
今週のコラム101回目 (Ki67が20代はluminal Aの可能性が圧倒的に高く)本当に「Aなのか、Bなのか迷うのは30代以降」と言えるのです。
今週のコラム 145回目 その意味ではKi67≧35にこそ、OncotypeDXの真価がある。そう言っては言いすぎでしょうか?
今週のコラム 146回目 今回の解析では「Ki67は20代中盤以降では当てにならず、やはりOncotypeDXすべき」となるのです。
今週のコラム 188回目 このデータを見ても、まだ「リンパ節転移があると(ルミナールAでも)化学療法が必要だと思いますか??」
今週のコラム 189回目 「リンパ節転移があれば抗がん剤をすべき」という古い考えが完全否定される日も近いのです。
Intrinsic Subtypeのページ(以下)
Intrinsic Subtype
遺伝子発現による分類
より本質的な分類を目指しPerouらが2000年に発表
20個の乳癌組織のdoxorubicin治療前後及び、2個の原発巣と転移リンパ節で
異なる腫瘍間でより変化する遺伝子を選択
↓
496個のintrinsic gene setを作成
↓
この496個のintrinsic gene setを用いて乳癌65症例をクラスター解析施行
以下に分類されることを提唱した。
・ER+/luminal like: Estrogen receptor 1, GATA3他luminal系遺伝子発現
・Basal like: 高分子ケラチン(5/6/17)が発現
・HER2-enriched: ERBB2が発現
- 2001 Luminal ⇒ luminal A/Bに分類
同じグループが、対象症例を85に増やして検討しluminalがA/Bに分類できる。