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今週のコラム 247回目 診断(検診で「何かある?」と言われた方、「これって、しこり?」と感じた方へ)vol. 3 「乳癌」

皆さん、こんにちは。

今回は 診断(検診で「何かある?」と言われた方、「これって、しこり?」と感じた方へ)  ♯「入口の一つ」です。

の中の「画像診断」「組織診断」「乳癌」「乳癌以外の悪性腫瘍」「良性疾患」の中の「乳癌」を取り上げますが、

この「乳癌」の中でも

・統計

・ステージ

・組織型

・サブタイプ

を取り上げます。

「治療に触れていない」のは、決して時間が無かったからではなく? ここは「診断」の中だからです。誤解なく?(言い訳?)

次回のコラムでは「(乳癌の)治療」を書きます。(「診断」の中の「乳癌以外の悪性腫瘍」と「良性疾患」が残っていますが、それらは後回しにします)

やっぱり「乳癌」は、volumeあるねー(当たり前じゃ、そもそも「乳がんプラザ」じゃろ? by 神様)

実際に診断された人が、まず調べたいのは「自分の(今置かれている)状況」ですよね?

その意味で重要なのは「統計」「ステージ」「サブタイプ」ですね。

薄っぺらにならないように「コラム」とリンクさせることが鍵ですね?

 

〇 本編

「乳プラ改変」にむけて…

246では「診断」の中の「画像診断」「組織診断」を取り上げました。

今回は「乳癌」を取り上げます。

トップページには「入口」がいくつかあります。(今は未だ、想像上ですが…)

その一つが

診断(検診で「何かある?」と言われた方、「これって、しこり?」と感じた方へ)  ♯「入口の一つ」です。

♯このページ内には、以下の記載

・診断の流れは「画像診断」⇒(癌を否定しきれない場合には)「組織診断」へと進みます。

・ここでは上記の他に、(疾患の紹介として)「乳癌」「乳癌以外の悪性腫瘍」「良性疾患」を紹介します。

 

♯ここから、「画像診断」「組織診断」「乳癌」「乳癌以外の悪性腫瘍」「良性疾患」それぞれのページのタブをクリックすると、それぞれのページに行く。

 

本日はこれから「乳癌」を取り上げます。

 

 

 

● 乳癌

≪乳癌の発生≫

・乳癌の殆どは乳管(ミルクを運ぶ管)の細胞が癌化しておこります。

・癌細胞はまずは乳管の中を増殖します(この段階を非浸潤癌といいます)、やがて乳管の壁を破って間質「浸潤」します。(浸潤癌といいます)

・乳管の中には血管もリンパ管もないため、非浸潤癌では、血管の中に入り込んで転移する「血行性転移=遠隔転移」も、リンパ管の中に入り込んで転移する「リンパ行性転移=リンパ節転」)の、どちらも起こりません。

詳しくは下記コラムを参照ください。

今週のコラム 243回目 しかし、8654で紹介したように以下のケースでは非浸潤癌として診断できます
 

≪統計の要点≫

・増加が著しい(37年間で8倍以上)

・若年者に多く40歳代では(女性の癌の)実に40%以上を乳癌が占める。

グラフのページへ (このタブをクリックすると、以下のグラフのページへjumpする) 管理者へ ここに「グラフのページへ」タブお願いします。

「グラフのページの内容」

 

乳癌は若年層(40歳代)で多い癌である。

 

 

 

 

40歳代の女性にとって、乳癌は最も身近な癌である

♯ 45~49歳では(女性がん患者さんの)約半数(49%)が乳癌なのです。

 

 

 

乳癌の増加率は「凄まじく」、この37年間で8倍以上!

この7年間でも1.5倍となっています。

(2010年 608071人  ⇒ 2017年 950203人)

 

 

(女性の)部位別罹患数 2017

乳癌は1位です。(年間 95000人以上)

 

 

 

≪ステージの要点≫

ステージはT: tumor 腫瘍径(最終的には「病理学的浸潤径」)とN: node リンパ節転移の個数の組み合わせです。

T1 2cm以下 2cm< T2 ≦5cm   5cm< T3   T4 皮膚所見を伴うもの

N0 リンパ節転移なし N1 1個から3個 N2 4個から9個 N3 10個以上

Ⅰ期及びⅡ期はTとNの組み合わせできまり、

3期以上は

N2(リンパ節転移4個以上)だとステージⅢA

T4(皮膚所見を伴うもの)だとステージⅢB

N3(リンパ節転移10個以上)だとステージⅢC

 

ステージのページへ (このタブをクリックすると、以下のステージのページへjumpする) 管理者へ ここに「ステージのページへ」タブお願いします。

「ステージのページの内容」

・実際のステージの割合い(2017) 2期までの早期がんが88%を占める。

stage 0       14.3%

stageⅠ      43.0%

stageⅡA    22.9%

stage ⅡB   7.9%

stage ⅢA   2.2%

stageⅢB    3.3%

stageⅢC    1.4%

stageⅣ      2.2%

 

・ステージ別予後

治療は日進月歩なので、あくまでも「過去のデータである」という見方が必要です。

2004登録患者さん

stage                          5年生存率  5年無再発生存率

stage 0                            97.58%             96.34%

stage Ⅰ               96.63%             92.17%

stage Ⅱ       90.93%             81.62%

stage Ⅲ       72.48%             58.42%

stage Ⅳ       42.65%

 

ただし、上記は(今の患者さんにとっては)15年以上前の患者さんのデータです。(2004登録患者)

「5年無再発生存について」

術後補助療法としてtrastuzumabもpertuzumabも使えない時代なので、特にHER2陽性患者さんの予後が著しく向上したので、それより格段に数値がいいでしょう。

「5年生存率について」

これは、「無再発生存」に加えて「再発治療の進化」も加わるので、「更に」向上していることは間違いありません。

分子標的薬の登場が一番大きいと思いますし、eribulinも2010発売だから現在は「これらの恩恵」による生存率の向上があります。

 

≪組織型≫

乳癌はまず、非浸潤癌(乳管に留まっている)と浸潤癌(乳管から外へ浸潤している)に分けられます。

 

非浸潤癌 15%

浸潤癌 85%

浸潤癌は更に「75%を占めるno specific type 非特殊型」と「(残りの25%を占める)specific type 特殊型」に分けられます。

no specific typeは、更に「乳頭腺管癌25%  充実腺管癌15% 硬癌 35%」に分けられますが世界的にはno specific typeと一括りにすることが多い。

specific typeの中には粘液癌 4%、浸潤性小葉癌 5% 、アポクリン癌 1.4%などがあります。(他は1%以下)

 

組織型は、治療法とも予後とも殆ど関係ないので、「こんな風に分類されている」程度の認識で構いません。

それに対して重要なのが「サブタイプ」です。

 

≪サブタイプ≫

サブタイプとは乳癌の「治療に直結」する概念です。

主役は以下の3つ(前者2つはホルモン受容体 後者は増殖蛋白の受容体)

ER(estrogen receptor)

PgR(progesterone receptor)

HER2(human epithelial growth factor receptor type 2)

 

 

 

 

 

「依存」とは、それを「抑制する治療が効く」と同義です。

・実際の組み合わせ

ER陽性/HER2陰性 = 「ルミナールタイプ(HER2陰性)」 ホルモン療法が効く

ER陽性/HER2陽性 = 「ルミナールタイプ(HER2陽性)」 ホルモン療法+抗HER2療法(の両方が)効く

ER陰性/HER2陰性 = 「トリプルネガティブ 」 ホルモン療法も抗HER2療法も(どちらも)効かない

ER陰性/HER2陽性 = 「HER2タイプ 」 (ホルモン療法は効かず)抗HER2療法が効く

 

≪ルミナールA/Bについて intrinsic subtype≫

ルミナールタイプを「抗がん剤が効くタイプ(A)」と「抗がん剤が効かないタイプ(B)]に遺伝子発現から分類したものをintrinsic subtypeと言います。

⇒ intrinsic subtypeというタブ(管理者へ ここからintrinsic subtypeのページへジャンプさせてください)

臨床の場では、煩雑で調べることが不可能であるため、実臨床の場ではKi67の値で判断する(近似させる)ことが推奨されている。

Ki67<20 ルミナールA(だろう)

20≦Ki67≦40 グレーゾーン

40<Ki67 ルミナールB

♯ Ki67とは癌細胞の細胞「分裂期にある割合」のことであり、「増殖能に直結する」と考えられている。

今週のコラム 15回目 どうやって、免疫染色だけで、AとBに分けるか?

 

♯ グレーゾーンの場合にはOncotype DXでの判断が推奨されている。

⇒ Oncotype DXについてのコラムを紹介というタブ(管理者へ ここから「OncotypeDXのコラムを紹介」ページへジャンプさせてください)

 

Oncotype DXのコラムを紹介のページ(以下)

今週のコラム53回目 Ki67が「30未満」ならホルモン療法単独、Ki67が「30以上なら、Oncotype DXを推奨」しています。

今週のコラム 98回目 ♯このグレーゾーンを「AとBに分ける」ためにOncotypeDXがあるのです。

今週のコラム 99回目 ★グレードは「参考程度」ということでいいですね?

今週のコラム 100回目! 「若いから」抗ガン剤をしましょう。は過ちなのです。

今週のコラム101回目 (Ki67が20代はluminal Aの可能性が圧倒的に高く)本当に「Aなのか、Bなのか迷うのは30代以降」と言えるのです。

今週のコラム 145回目 その意味ではKi67≧35にこそ、OncotypeDXの真価がある。そう言っては言いすぎでしょうか?

今週のコラム 146回目 今回の解析では「Ki67は20代中盤以降では当てにならず、やはりOncotypeDXすべき」となるのです。

今週のコラム 188回目 このデータを見ても、まだ「リンパ節転移があると(ルミナールAでも)化学療法が必要だと思いますか??」

今週のコラム 189回目 「リンパ節転移があれば抗がん剤をすべき」という古い考えが完全否定される日も近いのです。

 

Intrinsic Subtypeのページ(以下)

Intrinsic Subtype

遺伝子発現による分類

より本質的な分類を目指しPerouらが2000年に発表

 

20個の乳癌組織のdoxorubicin治療前後及び、2個の原発巣と転移リンパ節で

異なる腫瘍間でより変化する遺伝子を選択

496個のintrinsic gene setを作成

この496個のintrinsic gene setを用いて乳癌65症例をクラスター解析施行

以下に分類されることを提唱した。

 

ER+/luminal like: Estrogen receptor 1, GATA3他luminal系遺伝子発現

Basal like: 高分子ケラチン(5/6/17)が発現

HER2-enriched: ERBB2が発現

  • 2001 Luminal ⇒ luminal A/Bに分類

同じグループが、対象症例を85に増やして検討しluminalがA/Bに分類できる。