こんにちは。田澤です。
記念すべき100回!です。
初回は2015年11月9日ですから、1年11カ月間となります。
まるで週刊誌に連載を抱える作家のように「ネタ」に困ったこともありましたが、最近では常に「これって、今週のコラムに使えそうだ!」と感じたら、「ネタ帳(名称は違いますが…)」に記録するようになりました。
Oncotype DXで100回目を迎えられたことは、大変幸いでした。
これからもよろしくお願いします。
Oncotype DX最終章
(このQandAでも、よく出てきますが)よく担当医から『Oncotype DXしても中間リスクとなると迷うだけだから(やっても意味ないよ)』と言われるようですね。
それに対してGenomic Healthも黙っているわけではありません(多分…)
今回は、それに対する回答について。
● 「intermediate risk(18-30)」に化学療法によるbenefitはあるのか?
[caption id=”attachment_31533″ align=”alignleft” width=”600″] Oncotype DX Breast Cancer Assay[/caption]
上のグラフを見ると、「intermediate risk(18-30)」(中央のグラフ)では「Tam Alone」と「Tam + Chemo」が重なっていることが解ります。 ♯ 一方で、high risk(31≦)では開きがある(上乗せがある)ことが確認できます。
「low risk(<18)」では有意差はないものの、「Tam Alone」の方が生存率が高いのは興味深いことです。
[caption id=”attachment_31524″ align=”alignleft” width=”288″] Oncotype DX Breast Cancer Assay[/caption]
これを見たら「ぐうの音」もでないでしょう。
high risk(31≦)では30%近い「上乗せ」があるのに対し…
low risk(<18)やintermediate risk(18-30)は「上乗せ無」
CT(Chemotherapy)が全く無意味
なのに、実に1/3(34%)で「無駄な」化学療法が為されている
◎intermediate risk(中間リスク)に「(化学療法による)上乗せがないことが解りましたが、一歩進んで、このintermediate riskに線引きができないか?
そういう発想から「25」という数字が仮想されました。(≦25と26<に分けるということ)
アメリカの主要な癌登録であるSEER(Surveillance, Epidemiology, and End Results)のdate baseを用いた(ER陽性、HER2陰性、N0) 49681症例のデータを示します。
「18-25」と「26-30」とでは大きな差があり、「18-25」が殆ど「<11や11-17(この2つは重なってます)」に近接していることに注目してください。
●更に、「26-30」と「31≦」の上乗せデータを見ると
「31≦」ほどではないが、「26-30」でも「上乗せ」が存在している可能性が示唆されました。
最新情報
ESMO:EUROPEAN SOCIETY FOR MEDICAL ONCOLOGY 2017 (MADRID SPAIN 8-12 SEPTEMBER 2017)にて40歳以下でのデータ発表されました。(Genomic Health KKより情報提供を受けましたので紹介します)
対象は上述したSEERの2004-2012のデータです。
ここではintermediate riskに相当するcut off値をTAILORxに準じて25にしているとコメントされています。
♯ TAILORxとはThe Trial Assigning Individualized Options for Treatementの略です。
「40歳未満」(左グラフ)と「40歳以上」(右)が殆ど変わらない事が解ります。
更に、本文では「30歳未満」や「30-34歳」でも同様の結果だったとあります。
★ 「若いから」抗ガン剤をしましょう。は過ちなのです。