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今週のコラム 188回目 このデータを見ても、まだ「リンパ節転移があると(ルミナールAでも)化学療法が必要だと思いますか??」

こんにちは。田澤です。

昨日、Pfizerのpalbociclibの講演会に行ってきました。

ホテルニューオータニで開催された全国公演です。

15時開始でしたが、土曜日の市川外来→(routineの)江戸川土手のrunning終わりに行ったので(少々)遅れましたが…

いつもの癌研の〇〇先生と愛知県がんセンターの〇〇先生のtwo shot 最近多い組み合わせです。

内容は…

期待していたものとは異なり、(おそらく)palbociclibの「売り」として「QOLを維持した」まま治療が継続できることにfocusしたものでした。

「治療の効果」よりも「如何にQOLを保つことが重要か」という内容です。

QOLを維持することが(特に再発治療では)重要なことは「百も承知」、そこは(実際に診療している医師にとっては)解り切ったこと。(効果に踏み込んで欲しかった)

 

『リンパ節転移は化学療法を勧める根拠になりうるか?』

本日は、このテーマで行きます。

QandAでしばしば相談される内容として「リンパ節転移があった→(ルミナールAでも)抗がん剤を勧められた」というものです。

これに対しては、以前より『2015年SABCSで発表されたDBCG77B第3相試験』を引き合いに出してコメントしてきました。

「ルミナールAではリンパ節転移や腫瘍径にかかわらず、化学療法の上乗せがない」というものです。

 

今回の直接のきっかけは『管理番号7376  乳がんの補助療法と術後の傷』です。

この質問者は

1.2人の先生は脇のリンパに3個の転移があった事と年齢とを考慮して抗がん剤をした方がいいという意見(メールから抜粋)

2.こちらの先生も左脇リンパ節転移が3個である事から、躊躇なく抗がん剤治療を勧めます(メールから抜粋)

「躊躇なく」とありますが… Ki67=8%(左)5%(右)なのだから、「せめて躊躇ぐらいしろよ!」と思わず突っ込みを入れながら読んでいました。(関西人ではありませんが)

 

〇この「リンパ節があると(ルミナールAでも)抗がん剤を勧められていまう」案件 (FMのskyrocket companyに投稿してみようかな?)

1.リンパ節転移(1~3個)の予後

SEER Database 注 1 )によるpN1 注 2 )患者さんの5BCSS 注 3 )

 

 

このグラフから読み取りたいことは、単純に「予後の良さ」です。

pN1だらか、ステージは2期以上となりますが、(RS≦30で)5y生存率が95%以上!ということが解ります。

皆さんがネットで想像している数値とはかなり乖離がありますよね??

 

 

 

 

 

 

注 1 )SEER:Surveillance Epidemiology and End Results  1973~のアメリカの癌登録

注 2 )リンパ節転移1~3個がpN1となる。 (pN2 4~9  ,  pN3 10~)

注 3 )BCSS:Breast cancer-specific survival 乳癌特異的生存率

 

2.NCCNガイドラインでのOncotypeDXの取り扱い

NCCN 2018. V2.からの抜粋

 

 

(今回の主題とは無関係ですが)N0(上段)ではエビデンスレベルが1(つまりリンパ節転移無の場合には、OncotypeDXの信頼性は高い)

さて、N+(下段)でも(現時点ではエビデンスレベルが2Aではありますが、OncotypeDXが(有力なガイドラインである)NCCNに入ってきているという事実です。

注 4 )RxPonder    Rx for Positive Node, Endocrine Responsive. Breast Cancer

SWOG S1007: A phase III, randomized clinical trial of standard adjuvant endocrine therapy with or without chemotherapy in patients with one to three positive nodes, hormone receptor (HR)-positive, and HER2-negative breast cancer with recurrence score (RS) of 25 or less.

 

3.N1mi、 N1個、N2-3個のRSによる5y再発率

Clalit Registry 注 5 )

(抗がん剤が数%に施行されてはいますが)RS<18では(pN1でも)無再発生存は95%あります。

N1miのデータのばらつきは、症例数の少なさからと思われます。

注 5 )Clalit Registry

4.抗がん剤無での9 ys BCSS (SEER)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

pN1でもRS<18では「化学療法無で」9yr BCSSが97%以上ある

これが今回の結論ですね?

 

 

 

 

 

このデータを見ても、まだ「リンパ節転移があると(ルミナールAでも)化学療法が必要だと思いますか??」

 

 

 

 

表にすると

★(念のために)もう一度、言いますが、これは「化学療法無」のデータです。(N1  リンパ節転移1~3個)

 

リンパ節転移陽性であることと、抗がん剤が効く事は「全く別次元の話」

それが、SEERの大規模データで確認されたのです。

これを見ても「リンパ節転移陽性ではOncotypeDXが無駄」なんて言う乳腺外科医がいること自体笑っちゃいます。(そして「涙なんか、こぼします」by 風見しんご)