[管理番号:7328]
性別:女性
年齢:52歳
病名:浸潤性乳管ガン
症状:胸のしこり
3月の人間ドックで右胸にしこりが見つかり、浸潤性乳管ガンと診断されました。
5月に手術予定です。
針生研、Ctで乳管の下の筋肉に少し浸潤がみつかりました。
,MRI済でリンパ節への転移はなし。
小さいしこりはあるようですが、
手術の時にセンチネル生研するようです。
生研の結果は2.7センチ。
CT2
ルミナルBタイプ、HER2陰性。
ホルモン受容体ありER10~30% PGr0%
Ki67 35%
温存か全摘はどちらでも変わらないと言われたのですが、どうでしょうか?
ちなみに、どちらでも浸潤があるので、術後は放射線、その後ホルモン療法、化学療法が必要のようです。
自分の判断でと言われ、困惑しています。
どうぞよろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
物事はシンプルに考えましょう。
「温存か全摘はどちらでも変わらないと言われたのですが、どうでしょうか?」
→極めて基本的な内容です。
是非『今週のコラム 159回目 乳癌診療の基本1 『乳癌の治療で最も重要なことは治療を「局所療法」と「全身療法」に分けることなのです。』』をお読みくださ
い。(そのまま10まで一気読みするとイメージがわきますよ)
今週のコラム 159回目 乳癌診療の基本1 『乳癌の治療で最も重要なことは治療を「局所療法」と「全身療法」に分けることなのです。』
今週のコラム 163回目 乳癌診療の基本2 腋窩リンパ節の取り扱い 「そりゃ、もう大騒ぎさ」
今週のコラム 164回目 乳癌診療の基本3 サブタイプとは 『リンパ節転移と抗がん剤は無関係であることは2015年にSABCSで発表されています。』
今週のコラム 165回目 乳癌診療の基本4 説明同意書入院案内 『気が済むまでうがいをして、”随分良くなった”と自分自身が信じること」それが大事です。』
今週のコラム 166回目 乳癌診療の基本5 手術当日~退院 明日になったら、驚く程「楽に」動かせるようになりますよ
今週のコラム 167回目 「絵に描いた餅」ではなく、実際に多数の臨床試験で一貫した結果が証明されていることです。
今週のコラム 169回目 乳癌診療基本8 ポイントは「アレルギー」「筋肉痛」「全身検体(だるさ)」
今週のコラム 171回目 乳癌診療の基本9 high risk regimenとしてPegfilgrastim(ペグフィルグラスチム)注 26 )の適応があります。
今週のコラム 174回目 乳癌診療の基本10 後半(3回目以降)から痺れ と浮腫み がありますが十分対処できます
質問者様から 【質問2 】
今後の治療方針について
性別:女性
年齢:53歳
病名:乳がん
症状:術後の脇のしこり
田澤先生
先日はご相談ありがとうございました。
拝読させていただき、手術に臨めました。
5月中旬に温存手術で乳がんを切除しました。
しこりは手術前2.7でしたが、病理結果では3.5センチ、もう一つ0.4センチのものがあったようです。
Ki67bは35パーセントから40パーセントに上がっていました。
センチネル生検をして、1つ調べてリンパ節転移はなし。
切除断片端は陰性、脈管侵襲は血管-、リンパ1+でした。
ルミナールBとの診断だったので、オンコタイプをお願いしました。
オンコの結果はRS57、9年遠隔再発率39パーセント、化学療法の上乗せ15パーセントでした。
術後ホルモン剤レトロゾールを処方されて、骨密度低めだったのでビタミンDも飲んでいます。
今週から放射線治療に入る予定で、事前CTをとったところ、脇に2センチのしこりが発見され、治療計画見直しになりました。
針生検して悪性とのことで、明後日PETCTとなりました。
2か月で急速に大きくなっていることや、CEAの値も10から13に上がっていることが気になります。
脇の追加手術か、今後の治療が不安です。
こういう場合、どういった治療計画が妥当なのでしょうか?
よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「センチネル生検をして、1つ調べてリンパ節転移はなし。」
「脇に2センチのしこり」「針生検して悪性」「PETCTとなりました。」
⇒術前抗がん剤をすると、(ルートが変わってしまうため)ごくまれに「センチネルリンパ節生検の偽陰性」がありますが…
質問者にとって、残念なことでした。
「脇の追加手術か、今後の治療が不安」
「こういう場合、どういった治療計画が妥当なのでしょうか?」
⇒そのためのPETですね?
全身に治療を優先せざるを得ないような所見がないのであれば、(手術不能となる前に)手術すべきです。(現時点で手術可能であれば)
『今週のコラム185~187 腋窩再発vol 1~3』を参照してください。
今週のコラム 185回目 腋窩再発vol. 1 腋窩郭清が必要な場合には、是非「病院選び」に慎重になりましょう。その選択が第1のturning pointとなるのです。
今週のコラム 186回目 腋窩再発vol. 2 内側アプローチの肝(キモ)は、癒着していない奥(レベルⅡ)から郭清することで再手術であることの欠点(risk)の回避なのです
★安易に「抗がん剤の効果が解るから、腋窩リンパ節は(手術せずに)置いておいた方がいい」みたいに言われて、それに「押し切られない」ように注意しましょう。
質問者様から 【質問3 】
肝転移、骨転移
性別:女性
年齢:53歳
病名:乳がん
症状:転移
先週のご回答ありがとうございます。
PETの結果がでました。
脇のリンパと、さらに肝臓、腰骨に転移がみつかりました。
エコーでは鎖骨のリンパもあやしいようです。
来週、骨しんち、腹部エコーです。
5月に手術後の進行具合が早いので、手術は不可能、抗がん剤を早く始めたほうがよいということで、来週終盤から、EC3か月、その後パクリタキセル+アヴァスチンとの予定です。
急な展開で動揺しています。
転移がると手術は不可能、早い性質のがんだと抗がん剤しかないのでしょうか?
使用する薬も強いようなので、心配です。
田澤先生のお見立てを伺いたいので、よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「転移がると手術は不可能、早い性質のがんだと抗がん剤しかないのでしょうか?」
⇒肝転移の状況が不明ですが…
抗がん剤を先行させるべきだとは思います。(抗がん剤の中身としては、まずはアンスラサイクリンということでいいでしょう)
ただし、ある程度コントロールがついたら手術(腋窩郭清)をするようにしましょう。
質問者様から 【質問4 】
今後の治療方針について
性別:女性
年齢:53歳
病名:乳がん、 骨転移 肝転移、
症状:転移
投稿日:2020年01月21日
田澤先生 以前相談させていただきありがとうございました。
その後の治療方針をご相談させていただきたくよろしくお願いいたします。
5月に温存手術後、7月にリンパ、胸の再発、肝転移、骨転移が判明し、8月からECで7回終了しているところです。
あと1回合計で8回の予定です。
ECが効いていて12月のエコー検査、CTで胸のガンは縮小、リンパは消滅、肝転移も縮小、骨転移は変化なしで落ち着いている状況です。
CEAの値も20から6.2で、ECが良く効いているようです。
心臓に負担があり、2週間に1回ほど胸痛の発作がありひどい時には処方されているニトロを1錠服用で治まっています。
10月にカテーテル検査をして問題はないのでジルチアゼム塩酸塩を朝晩服用しています。
次回EC8回後の治療方針ですが、田澤先生はどちらをお勧めされますか?
①ドタキセル
②ウイークリーパクリタキセル
③ベージニオ
④分子標的薬フェマーラ
遠隔転移の為、完治は望めず、治療もエンドレスとのことですが、不安です、
現在、つらい自覚症状もなく、通常に仕事、家事と日常生活を送れています。
良い状態が続くことを希望します。
アドバイスよろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
FECの容量にもよりますが、1回投与量が100mg/m2であれば、8回でanthracyclineの生涯投与量となるので、変更しなくてはなりません。
次の治療についてですね?
「①ドタキセル
②ウイークリーパクリタキセル
③ベージニオ
④分子標的薬フェマーラ」
→混乱しているようですね。
③と④の正確な表記は
③abemaciclib + ホルモン療法
④palbociclib + ホルモン療法
のようです。
★組み合わされるホルモン療法は③であれ④であれFulvestrantもしくはLetrozoleとなります。
ただし、私であれば…
1.Bevacizumab + paclitaxel
2.Eribulin
3.Docetaxel
上記で完全緩解を狙い、そのうえで(質問者のいう)③もしくは④とします。