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今週のコラム 165回目 乳癌診療の基本4 説明同意書入院案内 『気が済むまでうがいをして、”随分良くなった”と自分自身が信じること」それが大事です。』

今年、最後の「今週のコラム」です。

今朝はとにかく寒かった。

手袋して走り出したけど、それでも手がかじかみました。

〇いい天気

東京はいい天気ですね。

各地の雪の映像など見ると、(冬場は特に)恵まれていると感じます。

 

本題です。

〇説明同意書入院案内

 

『それでは、説明同意書入院案内に入ります。

まず同意書は3つあります。最初は「麻酔の同意書」です。

麻酔は全身麻酔で行います。とても安全な麻酔でありトラブルは1度もありません。この本 注14)をお渡しします。「麻酔の同意書」は、この本の内容に対する同意書となります。

注14)「手術を受けられる方へ」という小冊子 麻酔の方法などの記載がある。

次が肝心な「手術に対する同意書」です。

内容は、この紙に記載されている通りです。

・手術日は〇月△日

・術式は「乳房温存+センチネルリンパ節生検(術中迅速診断)」

・センチネルリンパ節生検の取り扱いについては(前々回で決めたとおり)微小転移では郭清省略

・合併症としては「出血と感染」となるが、現実には殆どない。(非常に稀)

まず、ここまではよろしいですか?何か質問ありますか?』

 

 

『いいえ、解りました。この間の説明通りですね。理解しています。』

 

 

 

 

『それで最後の同意書が「輸血の同意書」となります。』

 

 

 

 

『えっ! 輸血? 輸血するなら自己血にしてください。』

 

 

 

 

『落ち着いてください。 輸血はしません。(過去に数千症例執刀していますが、輸血をしようか?と思ったことさえありません)

ただ、病院の規則で「輸血の同意書がないと、手術室に入れない」ことになっているのです。

私が決められるのであれば「輸血の同意書」など即刻廃止しますが、これは仕方がないのです。(病院全体としては「輸血の同意書が必要となる科」も存在しているので統一が必要なのです)』

 

『あー、そうですか。良かった。

輸血なんて聞くと、ドキドキしちゃうわ。 他に注意点などあります?』

 

 

 

 

『そうですね。時々手術当日になって「喉が痛い」とか、「熱っぽい」とか心配される人がいますが…

乳癌の手術では何も心配する必要はありません。

そのように(手術当日に)言われると、「とにかく、気が済むまでうがいをして、”随分良くなった”と自分自身が信じること」それが大事です。

そう私はアドバイスしています。

自分自身が不安に思っていると、それが看護師に伝わり… その果てに「調子悪いなんて言っている人の手術は延期したほうがいいよ」などと言いだす人もいないとも限りません。』

 

 

(病棟で)

 

『あなたは何しに入院したの?』

 

 

 

 

『手術のためです。』

 

 

 

 

『それはいつ?』

 

 

 

 

『今でしょ。』

 

 

 

 

そうなんです。

『喉が痛い』だの不安に感じることで、(その結果)手術が中止となり、そのまま退院する羽目となってしまったら…

『あなたは何しに、入院したの? 何がしたいの?』

手術が中止となってしまうことで、大変な不利益を被るのは(私ではなく)他ならぬ「あなた」なのです。