今週のコラムも積み重ねた結果、ついに222回目! しかも今日は2月2日!
何となく(?)縁起がよさそうな2並びの今回、乳がんプラザの内容を一新させるべくシリーズをスタートします。
乳がんプラザのホームにある「乳癌の分類」「乳癌の検査」「乳癌の治療」などは、乳がんプラザを立ち上げる際に「とりあえず、体裁を整える」ために、一般論をずらずら並べているものです。
5年も前の話だし、(そもそも)乳がんプラザを開始してから(私自身の)環境も劇的に変わり、積み重ねたものを伝えたくなりました。
具体的に言うと…
1.乳癌診断の実際
2.乳癌治療の実際
3.〇〇〇(未定)
そのパッションが冷めないうちに!
『いつやるの?』
『今でしょ!』
と、いうことで『乳癌診断の実際』シリーズがここからスタートします。
まず、今週のコラムで紹介し、後ほどそれをトップページに「乳癌診療の実際」として掲載するスタイルとします。
乳癌診断の実際
vol.1 画像診断(前編)
「しこり(もしくは、所見)」は、まず画像診断されます。
・マンモグラフィー 以下「マンモ」と略します
客観性は高いが質的診断 1)には不向き、主として存在診断 2)として用いられる。
・エコー
乳腺診療の中では間違いなく「中心的」存在
病変の細部も観察できるので質的診断としての能力が高い。
それでいて(マンモに比べて)ごく小さな病変も検出できるので存在診断としても価値が高い。
★一見「いいこと尽くめ」のようですが、「客観性の低さ」が術者を選ぶ検査と言えます。3)
・MRI
あくまでも病変の拡がり診断目的で用いられるべきもの
決して質的診断として用いてはいけない 4)
注1)注2)(癌に限らず)「何か病変があるのか?」を存在診断といい、「それは一体何なのか?」を質的診断といいます。
注3)客観性の違い 簡単に言えば「術者の主観が入るのか?」による違いです。
マンモは「ありのまま」を撮影するだけなので術者の主観が入る余地が無い
エコーは(それに対して)全体を丸ごと撮影することはできません。
あくまでも(術者の主観で)「自分が気になる場面のみを記録する」という作業の繰り返しなのです。
そうなると(実際は所見があるのに)術者が気付かないと(その)画像は残らないので「見逃し」が起こるし、
逆に、(実際は大した所見でないのに)術者が気にすると(それらしい)画像として「検診で引っ掛けすぎ」となります。
Invenia ABUS
これはエコーの弱点を克服するために開発された「見逃さない」エコーです。
このように乳房全体を自動的にスキャン(full volume scan)して、その全てのデータを解析するのです。
♯江戸川病院では既に購入済であり、近々導入予定です。
(どの場面で用いるのか検討しています)
注4)トップページの『今週のコラム 56回目 超音波で異常所見があるのに、MRIで異常がないから大丈夫。など、とんでもない診療です。』を是非、ご参照のこと。
今回、まず画像診断の最も基本である、「マンモ、エコー、MRI」についてお話ししました。
エコーには強い拘りがあります。
『今週のコラム 211回目 私が、私自身のエコーについて語り始めた理由』を参照のこと
〇乳腺外科医自身がエコーをすること
仙台時代、極めて「当たり前」だと思っていたことが、そうではなかった!
東京に来た2014年4月 エコーを技師任せにする乳腺外科医が多い(というか、殆ど)ことに衝撃を受けました。
と、同時に「これが俺の最大のadvantageだ」
その思いは今も変わりません。
★今から11年前 (H19.7月の乳房超音波講習会 in Tokyo)
(その当時)私は東北公〇病院の中堅乳腺外科医でしたが、部長であったH〇先生と、宮城県出身で当時から〇研〇明にいて(現在も在籍している)M〇先生と一緒に受けました。
結果、非常に好成績であり、「随分簡単だな」正直にそう思いました。
その頃はその理由は解らなかったのですが(「俺って凄い?」的ににやけていたかもしれません)今思えば、「自分自身でエコーしている」そのadvantageだったのです。
(一部拡大)
特に「動画試験」が満点(100%)なのが解ります。
★「静止画」は机上の勉強で何とかなっても、『動画は実際に自分で行わなければ身につかない』
まさに、その「差」が出ているのです。