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江戸川病院乳腺センター長 田澤篤 さん 201件

江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2023-05-15 09:05:39  掲示板 2023年5月14日~5月20日

皆さん、おはようございます。
手術開始5分前なので急いで入力しています。

今朝、回答していて…(これから掲載予定)
2023年05月15日1 手術までの期間について(その他不安な事)
(あとでQAが掲載されたら全文を確認してもらいたいのですが *公開されました。リンクを設定済です。)

12月に近くのクリニックで8mmのしこり
  ↓
3か月後の3月15日に再診して3月29日針生検して乳癌の診断

そしてその医師から『悪性度が高いから早く大きな病院で治療をした方が良い』

どう思います??
3か月も無駄に(何故、経過を見る必要がある??)放置しておいて、挙句の果てに「早く治療をしたほうがいい」だと??
12月の時点で針生検すれば、なんてことも無かったのに…
3か月も放置したのは「お前の方だろ!」
そう思いませんか?
★昨日、公開した今週のコラムの関係で、この手の話に(いつも以上に敏感となり)掲示板に書かずにはいられませんでした。
次の患者さんからは、こんなことが無いようにお願いしますよ!(厳に)

(以下、一部抜粋)
昨年、12月に家の近くのクリニックで8mmのしこりが発見されました。

3か月後の3月15日に再度診察を受け、3月29日に針生検をして頂きました。

その結果、4月8日に浸潤性乳管ガン充実型グレード3と言われ、先生から「悪性度が高いから早く大きな病院で治療をした
方が良い」との事でガン専門病院を紹介して頂きました。




江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2023-05-04 07:54:33  掲示板 2023年4月30日~5月6日

今日は連休中日、貯まっていた(どうしても動画などがあると、後回しになってしまう)QandAを回答していました。

その中で(公開は5月8日以降となります)
質問者の主治医の以下の発言
①いずれにせよこの浸潤性微小乳頭癌はかなりたちが悪く予後
も悪いしリンパ節転移が顕著といわれ
②このタイプの癌だから顕微鏡で見たら恐らく転移しているだろうと言われました。
    ↓
 これらの無責任な発言により(質問者は)
悪い結果が続いていた事もあり、頭が真っ白になりました……。

しこりが突然出現したように思えて
⇒これはコラムでも何度かコメントしていますよね_?
乳管内にベターと拡がってから(この間は気付きようがない)シコリとなるので、このように感じてしまうだけで、決して突拍子もなく増大しているわけではない

・脇に転移が1つでも見つかった場合には遠隔転移の可能性がある
⇒この「極めて無責任な」発言!!
リンパ節転移(もしあったとしても)と遠隔転移は無関係
何故なら前者は「リンパ管を通しての(リンパ行性)転移」であり、後者は「血管を通しての(血行性)転移」だから。

しかもこの医師はこともあろうか?
『・現在は2Aであり、転移があったら2Bになる(しかしステージはあまり意味がなく、2Bになったらステージ4を視野に入れて欲しい)』
⇒リンパ節転移があったら、ステージ4を視野に入れろとは…
質問者が余りにも可哀想。
なんて、無責任な発言なのか??

そう思いませんか??(質問者は結局ステージ4の可能性が高いと思い悩んでいる!!)
どうにも腹がたったので、(QAの公開前に)書き込んでしまいました。




江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2023-04-22 08:40:24  掲示板 2023年4月16日~4月22日

カード

最近偶然耳にした医師達(お二人とも女医さんでした)の会話
『今日、午後から細胞診するのよ。不安だからあなた同席してくれないかしら?』
『いいですよ。どの位の大きさなのですか?』
『1.2cm位だったわ。 そんなに小さくないからやり易そうなんだけど、でもちょっと不安だから。いい?』
『もしも何だったら、私がやりましょうか?(私の外来に引き取りましょうか?)』
『いえ、居てくれるだけでいいのよ。もしも途中で難しそうだったら替わってくれる? やっぱり自分でもできるようになりたいのよね。』

皆さん、この会話「研修医」のような若い医師を思い浮かべていますか?
いや、それが50歳代と(敬語を使っている)40歳代の会話なのです。

患者さんは医師を選べないのか?
そして話は飛びますが今週のコラム 390回目
患者さんが望んでも、必要なカードが提示されない。
そして、そのうちの(僅か、0.0…%)だけが乳プラに辿りつく実状。
無論「小さいなら、(怖いから)経過観察を望みます!」みたいな選択を否定はしません。
ただカードは提示されるべきだと思うし、(それが自分自身、無理な医師なら)いっそ、「5mm以下でもご希望ならば生検して100%診断する」っていう医師がいるけど、(もしも希望するなら)乳プラの「確定診断希望メール」しちゃいなよ。
何て、患者さんに言ってくれればいいのに!
   ↑
患者さん自身が経過観察が当たり前だと思ってしまえば(つまり「生検という選択肢に気付かない」)自ら検索することもないのです。
医師が(自分には無いカードだとしても)そんなカードが(世の中には)あることを示してくれない限り患者さんは選択さえもできないのです。

同じことを何度も言っているようで恐縮ですが、
そんなカードが存在するということと、それと(実はこれは重要なのかもしれないと、今更ながら気づいたのですが)実例を挙げて、そのカードが信頼に足るものであることを明示する。

そんな思いで今週のコラム 390回目を書き上げました。
現実にあった話
「5mm以下でも100%確定診断している」という事実を紹介することは、きっと誰かの心を動かしてくれると信じて…




江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2023-04-16 07:33:01  掲示板 2023年4月16日~4月22日

皆さん、おはようございます。
つい先ほど掲載した「今週のコラム 389回目」を読んでから、再度こちらへ戻ってもらえば幸いに存じます。

乳癌再発 「もう一つの選択肢①」鎖骨上編(題名仮 少し硬い?)まず、「もう一つの選択肢」をKey wordとするシリーズの初回はこれにします。(以下、着想なのでザックリお読みください)

皆さん、こんにちは江戸川病院 乳腺センターの田澤です。
人生は選択の繰り返しであり、またその人生は時にカードゲームに例えることができます。
担当医にカードがないが故に、あなたに(与えられるべき)選択肢が与えられなかったとしたら…

(実例)
Aさん 鎖骨上リンパ節再発を担当医から告げられました。
PETを撮影し(鎖骨上リンパ節再発以外に)再発部位はありません。
Aさんからの「手術して欲しい」の再三の願いも担当医からの『鎖骨上の手術はレアだから… ガイドラインにもないし。』で拒絶されました。
どうしても手術して取ってしまいたい! その強い意志で当院に辿りつきました。

私は診察し、「これは手術可能だ」そう判断し手術しました。
術後更なる再発予防として「放射線」⇒「全身療法」(これは、遠方なので地元で)を行っています。

あなたの担当医が「手術ができる」というカードを持っていなければ、「手術」という選択肢があなたに提示されることはありません。
私も昭和の人間です。「人生いろいろ」と昭和の歌にあるように「患者さんの希望もいろいろ」だと理解しています。
そもそも、あなたが「手術は怖いから、絶対嫌だ」という人でなければ「手術」という「もう一つの選択肢」があることを知ってもらいたいのです。

YOUTUBEの時間的には、ここまででしょうか?(無論、PET画像などは示します)
そして、最後にこのような 注)を記載する(つもり)です。

私のガイドラインの解釈など、詳細は「今週のコラム 390回目」をお読みください。

(以下、そのコラムの中の記載)
ガイドラインについての私の解釈をお示しします。

まずは、乳癌診療ガイドライン 治療編2022年班p356 より抜粋(以下)
鎖骨上リンパ節再発の外科的切除は基本的には勧められない
これだけを読むと、「手術は勧められない⇒やっては駄目」のように皆さん感じるかもしれません。
ただ、この記載のあとの「解説」を読むとかなり印象が異なります。
「解説」の要点
1.外科手術を含めた局所療法の意義に関する前向き臨床試験も行われており、鎖骨上リンパ節再発に対する外科的治療の考え方も以前より変化していく可能性があり、更なる研究の蓄積が期待される。
(実際に)放射線療法や何らかの外科的切除を加えることにより、局所制御を良好に保つことが出来た群や完全奏効が得られた群で予後良好であるとの報告も散見する。
2.論文はないが、手術を行うことで非手術に比べて腋窩リンパ節郭清以上に術後合併症は多くなる可能性があり、入院手術コストが増えることも明らか。
      ↓
 つまりガイドラインで「外科的切除は基本的に勧められない」とした根拠は
①外科的切除による予後改善の「前向きランダム化試験のエビデンスが存在しない」ので、推奨する根拠がない
②術後合併症が多くなる可能性があり、(そのリスクを考えると)推奨できない

実際に(現在行われている前向き臨床試験の結果が出て)「手術することで予後が改善する」という結論が得られたとしても…
手術というカードのない医師から、(たとえガイドラインが変更され、「手術が望ましい」となったとしても)あなたに、その選択肢が提示されることは無いのです。

そしてガイドラインについては『ガイドラインは絶対か?』という有名な文章から以下を引用して、この章を終わりにしよう。
(以下、引用)
治療指針の合理的側面を踏まえた上で、目の前の患者にふさわしい治療を機動的に考える結果,当該治療が指針と一致しない場合はしばしばある。それが真に患者の幸福を願う治療であることを忘れてはならない。




江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2023-04-11 14:03:08  掲示板 2023年4月9日~4月15日

今週のコラム 388回目
YOUTUBEの内容
「総論⇒各論の流れ」、まとまっていて非常に論理的だ。
そう(土曜日には)満足していました。

ただ、ふと思いだしました。
私をYOUTUBE再開に駆り立てたのは
『世界に誇るべき江戸川病院の放射線治療』というインパクトだったと。

果たして今週のコラム 388回目のような「総論」が必要か?
むしろ、論理的組み立てこそ「コラムに丸投げ」(つまり、興味のある人には後日にこのコラムを読んでください!的にして)
YOUTUBEはあくまでもパッションの場なのでは!

YOUTUBEでは、私が言いたいことを前面に出して(逆に言うと、それだけをお話しして)それの位置づけは今週のコラム 388回目~3○○回目までを読んでご理解ください。
というところでしょうか?

ただ、私がいいたいこと(つまりパッション)を前面に出す際には、(患者さんもいろいろなのだから)「こういう選択肢もあります」という選択肢は出すべきだ。という表現であり、「このような選択肢を出さないなど、(その医師は)けしからん」にならないような配慮がより必要になりそうです。
   ↑
このような「配慮」をしながら、どうやれば(私自身が)満足できるような(YOUTUBEの)内容となるのか?




江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2023-04-08 08:54:55  掲示板 2023年4月2日~4月8日 (一般の方の「乳がん治療体験談(手術・放射線・抗がん剤に関して具体的なこと)」は掲載できません。該当しないようなコメントをお願いします。YouTubeチャンネル登録よろしくお願いします。)

さて、YOUTUBEの骨子も固まったことだし、今日は土曜日だけど1日早く「今週のコラム」を書き上げました。
実際のYOUTUBEは、コラムを先行させてその最後に「今週のコラム 38○回目をご参考にしてください」と入れましょう。

題名としては皆様からいろいろ提案受けましたが、「もう一つの選択肢」としてみました。

そして、ここ掲示板は(YOUTUBEとは異なり)オフレコのようなもの(?)なので、少々 YOUTUBEに書けない(書かない方が無難な)愚痴を。

外科医(癌種は何であれ)たるもの、手術をしていて目指すべきは「完全」切除(医学用語でいう「治癒切除」)です。
主病巣やリンパ節など癌を手術する際に「取りきって見せる!」この思いが外科医を動かします。
我々古い世代(と、なるのだろうか?)の乳腺外科医はそもそも「外科医」であり、そしてその後の専門分野の選択としてそのの主戦場を乳腺としてきました。

それが次の世代以降は「外科医」としての自覚がない?
外科医としてではなく、最初から「乳腺科(外科)」のようなノリで乳腺外科医となり、「乳腺で大事なのは薬物療法だ!」として「癌をとりきってみせる」という気概に欠けているのでは?
そう思えるのです。
★再発手術はハードルが高いとしても、鎖骨下郭清をやらない、「鎖骨下郭清は(手技的に)危険だし、そこは(手術せずに)術後照射する方が楽」という医師達。
「治癒切除」に拘りはないのか?
(再発ではない)通常の鎖骨下郭清ができない医師に「再発手術」の選択肢はない。
薬物療法の選択肢が増えたとしても、やっぱり目に見える病巣は切除するのが一番確実。
それを求める患者さんが存在する限り、その選択肢があることを発信したいのです。




江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2023-04-07 08:57:20  掲示板 2023年4月2日~4月8日 (一般の方の「乳がん治療体験談(手術・放射線・抗がん剤に関して具体的なこと)」は掲載できません。該当しないようなコメントをお願いします。YouTubeチャンネル登録よろしくお願いします。)

連日投稿、またまた失礼します。
因みに手術日(月と金)の朝は(火水木の外来日と違って)心身ともに?外来日(火水木)の2割増?位調子がいいので、本日の投稿は一味違うかもしれません。 少しだけハイになってる?

と、前置きはここまでとして本題です。
『どのように表現すべきか?』皆さんからの(掲示板での)レスポンスが本当にありがたい! とても参考になっています。
その中で(昨日までよりは)スッキリした頭でYOUTUBEの構想を練ってみました。

主題は「選択」となります。
タイトルについては(以前に管理者より)閲覧数を考えると、タイトルの中に「乳癌」という文言が入るべき。という原則があります。

○タイトル(仮) 乳癌 あなたの選択 1.総論
○内容
まずは私の考えから…
「診断」と「治療」やはり、これは分けた方がいい。
以前よりご指摘のように時間がコンパクト(2分半が目安?)な方がいいことと、一度に2つのこと(主題)を入れると内容がゴチャゴチャになり頭に入ってこないかな?
その上で、今考えているのは
①「総論」
そもそも何故「選択があること」を伝えたいのか?
♯治療にはガイドラインというものがある。
「ガイドライン」とは専門医が知っておくべき「最低限の治療水準」であり、(その上で)個々の患者さんの希望や病状に「より合致する」治療水準が存在している。

時に、「最低限にすぎない」ガイドラインを盾にして、患者さんの希望がシャットアウトされてしまうことがあります。

今回のテーマは「選択」です。
あなたが(主治医に)提案されなかったとしても、実は「より、あなたが求める(あなたに寄り添った)選択肢があるかもしれないのです。

今回は「総論」となります。
次回より「各論」として具体的な内容をお話しします。

次回(予定)
○タイトル(仮) 乳癌 あなたの選択 2.診断

症例①微細石灰化 (ST-MMTが無い病院で)提案された「経過観察」という選択肢、他に選択肢は無かったのか?

症例②5mmのシコリ (小さいから針で刺せないと)提案された「経過観察」という選択肢、他に選択肢は無かったのか?

症例③血性乳頭分泌 (エコーなど画像上、腫瘍がないから)提案された「経過観察」という選択肢、他に選択肢は無かったのか?

第3弾としては「治療」となります。
無論(今までの流れを全て把握している皆さんには推測ついていると思いますが)リンパ節再発です。
今回は、「鎖骨下リンパ節再発」「鎖骨上リンパ節再発」に焦点を充てます。
ここは「診断」よりは、やや気をつかう?ところ

鎖骨上は「手術」という選択肢があること。
ただ「手術」は、その執刀医の習熟度に大きな差が出る治療であり完全な標準化は難しい。
♯ここで(前回のような)乳癌診療ガイドラインの引用を行い「何故、手術がガイドラインに入らないのか?」私の解釈を加える。

そして大事なことは、
(その担当医自身が自分の手術手技に自信をもっていないかぎり「手術という選択肢がある」という選択肢を示されないことが多い現状がある。
この動画で言いたいことは、まさにここです。
『主治医からの提案、本当に他には選択肢がないのか?』

ここで実例

ここまでで「time over」かな?(実例提示までの説明に結構時間かかりそうだから)
(鎖骨上が3.治療vol. 1)とすれば、鎖骨下再発は治療vol. 2とした方が良さそうですね。
鎖骨下に関しては、鎖骨上とは若干アプローチが異なり
初発手術としての「鎖骨下リンパ節郭清」を行わない(やったことも見たこともない)乳腺外科医からの提案には、(当然、自分ができないからという理由で)「手術」という選択肢を示されないことが殆どである。
「あなたの担当医が鎖骨下郭清の手技ができないからといって、手術という選択肢がなくていいのか?」
  ↑
 こういう視点でしょう。
★私が「選択」同様に強調している「立ち位置」に気をつけて、それらの医師を批判するのではなく、たんに他に選択肢があることを強調しましょう。




江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2023-04-06 07:28:42  掲示板 2023年4月2日~4月8日 (一般の方の「乳がん治療体験談(手術・放射線・抗がん剤に関して具体的なこと)」は掲載できません。該当しないようなコメントをお願いします。YouTubeチャンネル登録よろしくお願いします。)

連日の投稿、失礼します。
まずは鎖骨上リンパ節再発に対する手術についてのガイドラインを記載したコラム362から引用

・ガイドライン(乳癌診療ガイドライン 2022年版)ではどうなっているのか?

1. 外科療法

FRQ8 鎖骨上リンパ節再発の外科的切除は勧められるか?

→鎖骨上リンパ節再発の外科的切除は基本的に勧められない。

但し、このステートメントには以下の問題点がある。

1-①鎖骨上リンパ節再発に関してランダム化比較試験は存在しない

1-②後ろ向きの症例集積研究しかないが、放射線療法や何らかの外科的切除を加えることにより局所制御が保つことが出来た群や完全奏効(CR)が得られた群で予後良好であるとの報告が散見

1-③論文はないが、手術を受けることで、非手術に比べて腋窩リンパ節郭清以上に術後合併症は多くなる可能性があり、入院手術コストが増えることも明らかである。

★結局、この「外科的切除は基本的に勧められない」理由として(このガイドラインで)語られているのは、

「外科的切除をすることで予後改善するという明らかなエビデンスがない」のに対し、「術後合併症が多くなる可能性があり、入院手術コストがかかる」からと結論している。

実際に(後ろ向きの症例集積研究ではあるが)予後良好であるという報告があるのだから、本来なら「基本的に勧められない」ではなく、『外科的切除が予後を改善させる可能性はあるが、(ランダム化比較試験は存在しないため)現時点で積極的に勧める根拠には乏しい』が正しい表記ではないでしょうか?

★★実際に、このガイドラインでは、その下の方に以下の記載がある。

1-④外科手術も含めた局所療法の意義に関する前向き臨床試験も行われている(NRG-BR002試験、NCT02364557試験)鎖骨上リンパ節再発に対する外科的治療の考え方も以前より変化していく可能性があり、更なる研究の蓄積が期待される。

1-⑤同側鎖骨上リンパ節の単独再発に関する直接性の高い前向きランダム化試験のエビデンスは存在せず、予後への影響が明らかでないためCQとして取り上げるには時期尚早との意見が出された

1-④、1-⑤の(ガイドラインの)記載を見ても、「基本的に勧められない」は言い過ぎであり、「まだ不明である」とすべきでしょう。

上記から導かれるのは(私を含めて)鎖骨上リンパ節を切除することが予後を改善すると感じている乳腺外科医は存在するし、実際にそのような報告もある。
ガイドラインとして「基本的に勧められない」とする明確な根拠はなく、実際にそのようにしている理由は
鎖骨上リンパ節切除を行える乳腺外科医が極めて限られており、(未経験者が)それを行った場合には(その手術に伴う)合併症のリスクが計り知れない。
ということでは?

患者さんの選択 「治療編」
鎖骨上リンパ節再発
(特に)そこにしか転移が無い場合には、それを手術して摘出することで根治の可能性を拡げるという方法がある。
ただ、この手術は一般的には行われていないので、それに熟練した乳腺外科医に行われるべきである。

上記を理解した上で、
(たとえ、主治医が自らその手術手技ができないからという理由で手術の提案をされなかったとしても)ご自身が手術を希望される場合には、それを「選択肢とする」ことができます。
無論、(主治医のいうように)「手術不能」として薬物療法だけを選択することもできます。

★大事なことは、「手術が無駄」などというエビデンスは勿論なく、患者さん自らが「手術で摘出したい」という思いがあれば、それは(主治医の考えだけで)否定されるべきではないのです。




江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2023-04-05 07:19:13  掲示板 2023年4月2日~4月8日 (一般の方の「乳がん治療体験談(手術・放射線・抗がん剤に関して具体的なこと)」は掲載できません。該当しないようなコメントをお願いします。YouTubeチャンネル登録よろしくお願いします。)

「人生、いろいろ」「患者さんの希望も、いろいろ」
連日の投稿、失礼します。

診断編
 例えば「5mmのしこり」
同じ「5mm」でも、①(画像上)癌の可能性が高いしこりと②そうではないが、癌の可能性も完全には否定できないしこりがあります。
因みに①はカテゴリーⅣ,Ⅴとなります。★ただ5mmではカテゴリーⅤとまで言い切ることは困難でありⅣ(以上)と想定
②はカテゴリーⅢ(明らかな境界明瞭扁平がⅡ)

ここまでよろしいでしょうか?

★私が考える「選択肢がある」とは?
⇒あくまでも上記②です。
この場合には(私は)『良性の可能性が高いですが、癌の可能性もゼロではないので、(一番いいのは)組織診で100%確定診断つけることです。ただし針をさされるのが「嫌」「痛い」などでご希望されない場合には半年後経過観察でもいいでしょう』
♯ 無論①で経過観察など問題外であり、『癌の可能性が十分あるので、組織診で確定診断すべきです。当院では(癌が疑わしいのに)経過観察はしませんので、どうしても組織診が嫌であれば他院を(ご希望の病院や地域連携室経由などでご紹介します。』となります。
⇒実際にこのケースは殆どありません。(皆さん組織診を選択されます)

★★この「診断編」で私が(時に)熱くなるのは…
①なのに「小さいから組織診は難しいし、この大きさで診断しても予後は変わらない(何を根拠に!!) 経過観察しましょう」と組織診を提示せず経過観察へ持っていく医師(輩)です。
⇒これらの輩はQandAにも頻出しますが、(QAを経由せずに)「確定診断希望メール」などで患者さんが直接「小さいから経過観察なんて嫌だ。と組織診をご希望され」癌と診断される方は結構いらっしゃいます。

この「診断編」でいうところの「患者さんの希望もいろいろ」は(私が選択肢があるとしている②ではなく)①ですね。
⇒(画像上怪しいのに、自分の技術や理念?を盾として)生検を提案せずに、経過観察を勧める医師に対して不満を持っていましたが、実は患者さんの中にも(それらの輩に言われるまでもなく『小さいのなら、怖いから経過観察してほしい』という方もいらっしゃることへの気づきです。
   ↑
5mmのしこりは早期発見すべきだ! という従来の一直線な私のアプローチでしたが、
「患者さんの希望もいろいろ」
患者さん自身が希望されないのであれば経過観察は許容されるが、『患者さん自身が(実は)希望している、(もしくは)生検という選択肢の存在を知っていれば希望したのに、医師側の都合(稚拙な技術など)で経過観察が当然のような診療はいかがなものか?』
これが(患者さんの選択肢も加味した私の)新しい「立ち位置」ということです。

次回は「治療編」となります。
こんな風に、頭を整理しつつ来るYOUTUBEへ繋げていきます。




江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2023-04-04 07:28:44  掲示板 2023年4月2日~4月8日 (一般の方の「乳がん治療体験談(手術・放射線・抗がん剤に関して具体的なこと)」は掲載できません。該当しないようなコメントをお願いします。YouTubeチャンネル登録よろしくお願いします。)

昨日の続き…
「患者さんも(やはり)いろいろ」であること(どこかの歌詞にも「人生いろいろ」とありますね。
重なるときは重なるもので、つい最近乳管腺葉区域切除した患者さんから『手術を勧められたから手術をしたけど、「待ってもいい」状況なのだと知って居たら手術なんか選択しなかったわ』と言われました。

当院で乳管腺葉区域切除をしたことがある人なら皆ご存知ですが…
市川で乳管造影して「乳管内病変が疑われた」場合に私は必ずこのようにお話ししてます。
『乳管内病変(腫瘍)が原因での分泌(時に出血)であることが判明しました。ただ病変(腫瘍)といっても良性もあるし(乳頭腫など)、乳癌もあります。これは現時点ではエコーで見えない位小さいのでこの段階(エコーで見えないほと小さい状態)で診断するには乳管腺葉区域切除しかありません。これは手術であり、もしも(結果として)癌であれば究極的早期発見となりますので希望する場合には週明けに市川に電話してください。その場合江戸川病院の受診予約などご相談します。もちろん現時点では癌の診断はついていないわけだから、「癌でないかもしれないのに手術されるのは嫌だ」と言う場合には経過観察(その場合には半年後エコー)となります。週末よく考えて手術を希望される場合のみ週明けに連絡ください』

少々長くなりましたが… いつもこのようにお話ししています。
分泌で当院を受診されるケースの多くは「前医で、これ以上診断しようがない。経過観察するしか選択肢はない」と言われて、「でも分泌(特に血性)は不安だ。経過観察は嫌だ」として受診される方達なので、たいてい皆さん手術を希望されます。
  ↑
上記のような経験が積み重なると、つい「分泌で受診される方は皆(経過観察よりも)積極的に診断されることを望んでいる=乳管腺葉区域切除を望んでいる」と(私自身)無意識に思うようになっていたのかもしれません。
決して「手術したほうがいいですよ」と言ったつもりはありませんでしたが、冒頭の患者さんのように(そもそも特に早期発見云々にこだわりがあるわけでは無いのに)「手術すべきだ」と半ば無理やり勧められたと感じる患者さんもいることに気付いたわけです。
   ↑
長ーくなりましたが、この一例も私に「選択肢」というKey wordを意識させた一因となったのです。
次回は、「人生、いろいろ」「患者さんの希望も、いろいろ」という観点からYOUTUBEでの「私の立ち位置」を「選択肢」にシフトさせて、「軋轢がなく、(それでいて)その選択肢を望む人たちに響く」そんな風に描いてみます。