[管理番号:11723]
性別:女性
年齢:38
病名:右乳癌
症状:
投稿日:2024年04月09日
田澤先生、はじめまして。
診断確定前から拝見しております。いつもありがとうございます。
2024年1月確定 右浸潤性乳管癌
検査
エコーにて1.1cmの腫瘍、石灰化多数
CTにて約3.5cmの腫瘍
MRIにて5.5×3.5×2.0cmの広がり
PETにて腋窩リンパ節転移あり、遠隔転移なし
生検にてホルモン陽性 HER2陰性
ki 31% グレード? ルミナールb
ステージ3
BRCA1,2共に陰性
※結果用紙等は受け取っていなく、全て口頭で説明を受けております。
2024年2月より、術前化学療法としてddAC開始し現在3クール目です。後半はドセタキセル4クールを予定しております。
今回、いくつかおうかがいしたく、以下質問させていただきます。
①各検査で、腫瘍の大きさが異なるのが気にかかります。MRIでは大きめに計測される、ということは有るのでしょうか?
②AC後10日程は動悸・息切れが強く、ほぼ寝たきりとなっています。軽労作で脈が120を越えることもしばしばで、診察時に訴えるのですが安静にして下さい、と。
この程度の副作用は一般的でしょうか?心毒性につながるのではと不安でいます。
③まずは画像上の完全消失を目指していますが、
先生のご経験上、ルミナールタイプでは化学療法で完全奏功が得られにくいということはありますか?
④標準治療以外で先生がおすすめされる治療は何かおありですか?
温熱療法を受けていますが、できることは何でもやりたいと思っています。
⑤娘が2人おり、私に加え、私の母と主人の母も30代で乳癌の既往があり、
子供への影響が心配です。将来的に検査は何歳頃から受けることが推奨されますか?10代や20代で罹患される方も現代ではいらっしゃるのでしょうか?
お忙しいところ恐れ入ります。よろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
①各検査で、腫瘍の大きさが異なるのが気にかかります。MRIでは大きめに計測される、ということは有るのでしょうか?
⇒MRIは、まさに「そのため(USで解らない拡がりを見る為)に存在している」ので、その傾向は多分にあります。
②AC後10日程は動悸・息切れが強く、ほぼ寝たきりとなっています。軽労作で脈が120を越えることもしばしばで、診察時に訴えるのですが安静にして下さい、と。
この程度の副作用は一般的でしょうか?心毒性につながるのではと不安でいます。
⇒所謂anthracyclineによる心毒性は、生涯投与量が900mg/m2以上となるとリスクが増します。
つまり蓄積作用なので、単回投与での症状は「一時的な心への負荷(による症状)」だと思いますが、強い有害事象といえるので(そこまで無理して)何故「術前抗がん剤?」と正直(私は)思います。
③まずは画像上の完全消失を目指していますが、
先生のご経験上、ルミナールタイプでは化学療法で完全奏功が得られにくいということはありますか?
⇒そう思います。
④標準治療以外で先生がおすすめされる治療は何かおありですか?
⇒私が「標準治療」以外をお勧めすることは無いし、適応外診療は絶対に行いません。
⑤娘が2人おり、私に加え、私の母と主人の母も30代で乳癌の既往があり、子供への影響が心配です。将来的に検査は何歳頃から受けることが推奨されますか?10代や20代で罹患される方も現代ではいらっしゃるのでしょうか?
BRACAnalysis陰性なのだから、考えすぎですね。
余計なお節介かもしれないので、以下の部分は無視してもらっても構いません。
ただ最近、今週のコラムで「腋窩鎖骨窩再発」についていろいろ考えているので、コメントせずはいられないだけです。
なぜ術前抗がん剤をしているのかが、「そもそも」不明
正直「リンパ節転移があるから…」とか、「腋窩郭清は苦手(大変)だから…」という理由で、患者さんに「全身に散らばっているかもしれない癌細胞を先に叩くために抗癌剤をしましょう」と『尤もらしい』理由をつけて術前抗がん剤をゴリ押ししているのではないか?
と勘ぐってしまいます。
正直に言えば…
普通に「手術先行でリンパ節転移も、キッチリと郭清」して、術後に「病理結果に従い(必要ならOncotyepDXをして)術後療法を選択する」方が、あとあとの腋窩再発などのリスクが無いのでは?と考えてしまいます。
「今週のコラム439回目」に記載したように、このような(腋窩リンパ節転移があるからといって行う)術前化学療法後に手術するケースは腋窩鎖骨窩再発のパターン2となるリスクを考えてしまいます。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/4/17
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質問者様から 【質問2】
全切除後の断端陽性
性別:女性
年齢:39
病名:右乳癌
症状:
投稿日:2024年07月26日
田澤先生、度々お世話になります。
2024年7月に右乳房全切除術、腋窩リンパ節郭清を受けました。
最終病理組織診断では、
・組織型:浸潤性乳管癌
・浸潤径:10mm(非浸潤部も含めると70mm)
・組織グレード:2
・脈管侵襲:リンパ管+、静脈-
・切除断端:陽性
・リンパ節転移:2個
・サブタイプ:ルミナールA
・ステージ:2A
との結果が得られました。
今後の方針として、追加切除をするか、放射線治療にするかの答えが出せず、悩んでおります。
なお、5~6箇所?スライス?に断端陽性が認められて、全て非浸潤部のようです。
わかりづらい文章で大変申し訳ありませんが、
どうか田澤先生のアドバイスをお聞きしたいです。
よろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
追加切除をするか、放射線治療にするかの答えが出せず、悩んでおります。
なお、5~6箇所?スライス?に断端陽性が認められて、全て非浸潤部
⇒全摘で本来断端陽性は「あってはならない」ものですが…
非浸潤癌で陽性ということは、「断端陽性の原因が、浸潤癌が胸筋などに浸潤していることに気付かなかった」ということですらなく、「乳腺に切り込んだ(非浸潤癌は乳腺に留まっているため)」ことを意味しています。
それであれば、その「切り込んだ部位」を特定して再切除すべきです。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2024/8/6
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