Site Overlay

今週のコラム 417回目『私が術後補助療法としてTS-1を勧めない理由』誤解を解くために追加!

DSC_0946

 

es koyama  兵庫県

兵庫県から(お店の人の言う通りに)箱を水平に気をつけて持って来ていただいた師玉のバームクーヘン

水曜日から、この日(土曜日)が来るを一日千秋の如く待っていました。

 

DSC_0942

 

 

そして、更に…

プロの方からのブリュット ブラン・ド・ノワール

黒ブドウの芳醇な香り

 

 

DSC_0944

 

ほうれん草たっぷりのラーメン

♯冷凍ホウレンソウ一袋丸々入ってます。

 

 

 

DSC_0942

 

そして屋上

シンプルにラーメンと餃子をシャンパンで…

 

 

DSC_0948

 

食後は、そのまま屋上で

奥がes koyama、手前が治一郎

「どちらが美味?」というレベルを超えていました。

左のCLUB HARIEも実にお洒落でそして(バームクーヘンとはまた違った)美味しさ。

大変優雅な土曜日となりました!

 

〇 本文

 

つい金曜日に『TS-1について』が来ました。

注)管理番号11334 質問2なのですが、解りやすいように別番号として再掲載する予定です。【対応済11387

その内容を読んで、『これは、誤解があるようだ。何とかしなくちゃ!』と、いうことで今回のコラムとなりました。

 

誤解1)TS-1は保険適応になりました。

今週のコラム 369回目にそのことは紹介しています。

なので、「他の方への回答に、『TS-1の術後補助療法としての使用は明らかな適応外使用なのです。とあります。」という記載があるとしたら、それは2022/11/24以前の筈です。

術後補助療法としての適応拡大の前(つまり2022/11/24以前)からTS-1を術後補助療法として使用していたら(実際にそのような「けしからん」医師は常に存在するものですが)それは「適応外」診療となりますが、現在(2022/11/24以降)は下記④適応を充たす場合には「適応外診療」とはなりません。

2022/11/24 POTENT試験の結果を受けて術後補助療法としての適応が追加されました。

1.TS-1の術後補助療法追加

①保険収載 2022/11/24

参照コラム 369回目

③根拠となった臨床試験 POTENT試験

④適応 luminalかつHER2陰性でpN1もしくはpN0で以下の条件を満たす場合

HG3

HG2の場合

浸潤径2cm以上

Ki67 ≧30%

Ki67 ≧14%かつOncotype DX RS ≧18

脈管侵襲

HG1の場合

浸潤径3cm以上

浸潤径2cm以上3cm未満の場合にはKi67 ≧30%もしくはKi67 ≧14%かつRS ≧18 or 脈管侵襲

 

つまり現在(2022/11/24以降)は上記④の条件を満たす限り術後補助療法としてTS-1を使用しても「適応外診療とはなりません(つまり「文句は言われません」)

 

私が今週のコラム 416回目で対象としているのはあくまでも「適応ではあるけれど、(私的には)TS-1を推奨すべき症例がない」という話です。

この点をシンプルに語りましょう。

luminal typeでの術後補助療法は

1.化学療法の適応がない

2.化学療法の適応がある。

上記2つに大きく分かれます。

これを更に分けると、

1.化学療法の適応がない。(OncotypeDXでlow riskだから)⇒①

2.化学療法の適応がある。

2-1.OncotypeDXでhigh riskだから⇒②

2-1.pN2以上だから⇒③

 

つまりluminal typeは上記①②③に分けられます。

それでは上記①~③にTS-1をすべきか?を考えると…

① No! 何故なら(OncotypeDXで抗癌剤が効かないと解っているのに)経口抗がん剤であるTS-1を使用する意味がないから

② No! 何故なら(OncotypeDXで)high riskで再発率を下げるのはanthracycline もしくは taxaneであり、それを行います。

その(anthracycline もしくは taxane施行)後にTS-1を追加すべきかとなると、

POTENT試験の対象者の中で、それらの抗癌剤を施行しているのは半数以下であり、anthracycline もしくはtaxane施行後に有効であるとは言えないからです。

 

★ここを詳細しましょう。

POTENT試験は

ECやTC, EC+docetaxelなどを術前もしくは術後に行っている症例と(それら抗癌剤を行っていない)症例が混じっており、しかも後者(それら抗癌剤を行っていない症例)の方が多いのです。

これをどう解釈するか?

前者は言い換えると、

hormone+(EC, TC, EC+docetaxel) vs hormone+(EC, TC, EC+docetaxel) +TS-1

後者は

hormone vs hormone +TS-1

となります。

皆さん、前者と後者どちらが差がつきやすいと考えますか?

答えは後者です。♯「上乗せ効果」を理論的に咀嚼すれば自ずと解るはずです。

結論

POTENTによる「上乗せ効果」は後者に引っ張られている=前者に対象を絞った場合には「上乗せは少ない or 上乗せは無い」

だから、私は前者(EC, TC, EC+docetaxel既治療)に対してTS-1を(無理してまで)推奨しないのです。

 

③ No! 何故ならこの群がEC+docetaxel後に行うべき治療は(TS-1ではなく)abemaciclibだからです。

何故なら、(abemaciclibの術後補助療法適応獲得の)morarchEでは(POTENTとは大いに異なり)その95%以上でanthracycline/taxane既治療なんだ。

つまりabemaciclibは(TS-1とは異なり)EC, TC, EC+docetaxel既治療に対してエビデンスを持って有効であると言い切れるのです。

 

まとめ

TS-1は2022/11/24 luminal typeの大部分で術後補助療法としての適応となりました。

なので、TS-1を術後補助療法として使用してはいけないということは全くありません

ただし私から言わせればluminal typeを3通りに分けて検討すると、結局それら全てでTS-1を推奨できない(厳密に言えば、あくまでも「個人的意見」と言ってもいいでしょう)ただ、QAはあくまでも「私個人の意見の場」でもあるのです。

 

 

それでは、いよいよ『TS-1について 投稿日:2023年10月27日』について回答していきましょう。

 

 

「乳癌の術後治療として主治医からTS-1を勧められてから、田澤先生のコラムや他の方への回答を読んでいるうちに、疑問が沸いてきました。

 

コラム416回目に、「術後補助療法としてTS-1を勧める症例はありません。」とあります。

また、他の方への回答に、「TS-1の術後補助療法としての使用は明らかな適応外使用なのです。」とあります。

2022/11/24術後補助療法として保険収載されてからは、この回答は無い筈です。

 

 

TS-1は昨年、術後補助療法として保険収載され適応が広がったようですが、どういうケースの人が適応になるんでしょうか。

⇒保険適応の条件は本文にも載せていますが、ここにも抜粋します。

(以下、抜粋)

④適応 luminalかつHER2陰性でpN1もしくはpN0で以下の条件を満たす場合

HG3

HG2の場合

浸潤径2cm以上

Ki67 ≧30%

Ki67 ≧14%かつOncotype DX RS ≧18

脈管侵襲

HG1の場合

浸潤径3cm以上

浸潤径2cm以上3cm未満の場合にはKi67 ≧30%もしくはKi67 ≧14%かつRS ≧18 or 脈管侵襲

 

先生の見解では適応外なので、術後TS-1を飲んでいる人たちは、間違った治療を受けているということでしょうか。

質問者の勘違い!

「間違った治療」ではなく、(私から見れば)「不適切(不必要)な治療」ということ

本文を読んでご理解いただけていますか??

(適応外だからではなく)適応内ではあるが、私個人の見解として「不必要な治療」だから勧めないのです。

 

また、私が主治医にオンコタイプを受けたいと言ったら、「受けても構わないが、RS値はTS-1をやるやらないの指標にはならない。」

⇒そもそもTS-1をやるやらないの前に「抗癌剤が必要なのか?」OncotypeDXで確認すべきなのです。

抗癌剤で上乗せが無いのにTS-1の効果があると思いますか??????

 

あなたの場合はTS-1の適応です、と冊子を見ながら説明されました。(pN1のため)

何度も言いますが、適応ではあります。

ただ、それが必要なのか?判断するためにOncotypeDXがそもそも必要なのです。

 

抗がん剤は、あくまでもRS値(RS≦24か以上か)で判断する、で間違いないでしょうか。

⇒その通り、TS-1も抗癌剤ですよ!

 

最期に…

(駄目押しで)それでは、質問者はどうすべきなのか?

(回答通り、極めてシンプルに)OncotyepDXすべき!

そしてlow riskならばホルモン療法だけだし、high riskならばTCを行うべき(TC後にTS-1は不要)と私的にはなるのです。

その主治医が(OncotyepDXをせずに)TS-1を推奨していることは適応上間違いでは勿論ありません

私はその主治医を責めているのではなく、(OncotyepDXせずに)保険適応だからと(効果があるのか?解らない)TS-1を推奨することに反対だということなのです。

 

以上、これでも質問者の疑問が解決できないとしたら…

それはひとえに私自身の力不足となるので、これ以上説明することは不可能です。

なので、再質問は厳にお控えください。