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今週のコラム516回目 「深い」は何故難しい? 針生検はプロにお任せ(その理由が解りましたか??)

驚くほど全て「セブン」セブン、セブン、セブン、セブンセブンセブン(ウルトラ!)

 

昨日(土曜日)屋上

今日は仕事で夕方までかかってしまいました(とほほ、でも今週は火曜日があるさ!って元気になりました)

 

屋上も「居たたまれない」ほどではなくなったので…

 

 

〇 本文

『Q&A 針生検の結果について 9/19 』を回答していて…

その中の記載「深い位置にあったらしく、エコーを確認しながら針を到達させましたが、組織を取ったのは1回のみでした。」

質問者は、(文中で)最初は3回採取すると(その医師が)言っていたのに実際は1回しか採取しなかったことを「疑問」にも思い、かつ「不安(ちゃんと採取されているのか?)」にも感じているのを行間に感じます。

 

針生検の難易度が上がる条件もいくつかありますが、(時に「全ての条件が揃いすぎている」ことさえあります)

代表的なものとして

1.深さ

2.硬さ

3.周囲に大血管がある

♯(3については)乳腺での針生検ではなく、腋窩で針生検を行う際に問題となる。

 

その「深さ」とは??

 

 

echo画面の深さについて

乳腺の裏には筋層(大胸筋)があり、その裏に「肺」があります。

肺に刺さると「肺がしぼむ=気胸」となります。

 

 

乳腺の「浅い」部位にしこりがある場合

このように「かなり」角度が立っている①でさえ、シコリを貫いても(貫かないと十分なサンプルは得られません)針先は乳腺内であり、「肺に刺さってしまう」可能性はありません。

 

 

これは乳腺の「深い」部位にしこりがある場合です。

 

 

 

この場合には先ほどのような角度①~③では「シコリを貫く=肺に刺さる」リスクが非常に高くなるのがわかります。

実際には、④のように「非常に寝た角度(皮膚に水平に近い)」でアプローチするため①②③より非常に長~い距離を(硬い乳腺の中)針を進ませなくてはならないことがわかります。

ここでイメージしてもらいたいのですが…

「針を進ませる」ことの難易度です。

上記①②③のように、「皮下脂肪」を通って「乳腺の中の距離は短い」場合は何故楽なのかというと、

無論(前述したように)「長い」こと自体もありますが、実際には「それ以上に」「硬い中を進ませる困難さ」が大変なのです。

♯皮下脂肪は「ほとんど硬さがない」から、ほぼ(まるで)空気の中を通っているかの如く楽ですが、「硬い乳腺(特に若年者で乳腺が発達している場合には顕著なのですが」を通すのは「力がいる♯2」し、場合によってはそれで針が曲がってしまうこともしばしば(局所麻酔の細い針は必発といえます)です。

♯2 この「力が要る」ということが時に「女医さん」に針生検が下手な人が多い(と、いうか避けたがる)大きな理由といえます。(女性に対して大変失礼なことを言っているのは100も承知ですが、厳然たる事実なので敢えてコメントさせてもらいます)

これが「深い=(距離が長い、しかも硬い乳腺の中が特に長くなる)=難易度が高い=下手な乳腺外科医ではその病理結果に信用ならない」となる理由なのです。

 

 

これも「深い」例です。

 

 

 

やはり、赤矢印のように「かなり」寝かせないと十分なサンプルが採取できません。

若年者の硬い乳腺の場合には特に苦労することでしょう。(まるで他人事?)

私は慣れているので「力の入れどころ」が解っています。

 

 

 

 

ここで乳腺ではないですが、直近で乳がんプラザ経由で主治医から

「血管のそばだから生検はできない」と言われたが不安で「100%確定診断希望メール」で受診された例をお示しします。

 

 

実際には、こんな状況です。

小さなリンパ節(5mm)が2つさるのですが、角度がつけられない(すぐ裏に血管)上に、腋窩静脈が「そのすぐ先」に鎮座されてます。

 

 

 

お手上げ?

正直、「これは、久しぶりに来たなー。」

ただ、わざわざ飛行機で来てもらって『できません』では男が廃る(古!)

 

 

実際に、どうしたのか??

まず、かなーり針を寝かせて非常に遠くから(まず局麻のカテラン針が届くのか?)とさえ危惧するくらい遠くから局麻によりリンパ節の裏に針を入れて局麻薬でリンパ節を可能な限り持ち上げます。(車の下にジャッキを入れて持ち上げるイメージ)

少し浮いたリンパ節をCELERO針で「串刺し」にします。

♯ここで、ちょっとでも動いたら血管を突き刺してしまうので慎重な操作です。

 

 

少~しずつ針を持ち上げていきます。(とはいっても、もともと水平の角度なので)これがそう簡単ではないのですが…)

 

 

 

 

ここまで持ち上げたら(ファイアしても腋窩静脈をかすらないと確信したら)

 

 

 

 

この機会を逃さずファイア!! 無事に採取できました。(内心、自分自身で手をたたきました)

♯実際には、この操作をもう1回行っています。(100%に対する執念なくして100%を語るなかれ!)

 

ここまでの症例は、流石に稀ですが「生検はプロにお任せ!」その理由が解りましたか?