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今週のコラム 515回目 今週末、動画生配信 coming soon !

いよいよ動画生配信が、今週末に迫ってきました。

映画予告編風に言えば? coming soon 全米が泣いた! ってところでしょうか。

と、ここからが内容ですが…

一人の患者さんが、突然の告知、(それを受け入れ前向きになった矢先の、主治医からの)絶望的コメント。 このままこれを受け入れなくてはいけないのか? 他に選択肢はないのか?

 

実際の内容は(もちろん)生ライブで、ご本人の口から語っていただきますが…

それを(その場で)理解しやすいように「事前に」要点をかいつまんでお伝えしましょう。(もしかすると、私の誤解釈があった場合には当日ご本人から訂正が入ることでしょう)

時系列

 

近医を受診し、(細胞診で)癌疑いとなり〇崎〇〇医療センターを紹介

第1章 癌の診断と告知。手術予定となる

4月〇日初診、初診時CNB施行

5月A日 cT2, cN0, cM0, cStage2Aと告知され、

約1か月後の手術日も予定され、手術へ向けてCTや造影MRIを予約

 

その後の検査

エコー(技師)レポートには 「腋窩リンパ節転移疑う(転移性)

CT(単純) レベルⅠ~Ⅲ、鎖骨上、頸部リンパ節転移疑い

MRI(造影) レベルⅠ~Ⅲに転移疑い

 

第2章 手術予定といわれた10日後の「どんでん返し」  あなたは、もう治らない(と、同様の)宣告

(癌)告知の10日後

それらの検査結果を聞きにいくと、(癌の告知以上の)驚きの宣告が待っていた!

CTで頸への転移があったので残念ながらステージ4「悲しいお知らせ」と

この時点で6月予定(この日の16日後に予定されていた)していた手術がキャンセルとなり、薬物療法一択の宣告!

PET撮影したうえでAI→効果を見てCDK4/6 inhibitorを追加

 

 

まず、ここまでで(私から見て)おかしな(不自然な)点を挙げさせてもらいます。

近医から癌疑いで紹介され、診察の上針生検を行い乳癌と告知

ここまではいいのですが、その告知の際に 『cT2, cN0, cM0, cStage2Aと告知』されている点です。

そもそも前医(近医)で診察の際に(エコーで)リンパ節転移を(実際には腋窩~鎖骨下~鎖骨上、頸部まで転移があったわけだから)確認しているべきなのに、「リンパ節転移なし」と判断している

ここが、どうしても理解できない。

 

 

そうだよね。

術前抗がん剤が好きであろう? (おそらく)彼らであれば、初診時の診察の時点で「リンパ節転移が(鎖骨上までは、見ないとしても)鎖骨下まである=(手術を予定するのではなく)「術前抗がん剤の提案(ごり押し)」となりそうだよね。

それが(初診時に)リンパ節転移に気づかなかったばかりに「リンパ節転移無しと告知」され、手術予定も組まれたんだよね?

おかしくね?

出演者にとっては自分は(比較的早期の)ステージ2であって、(癌ではあるが)まだホッとした。

そうじゃね?

 

 

謎男、あんたいったい何歳なのよ?

そんな若者言葉使って恥ずかしくね?(お前こそ、使うな)

と、軽く冗談は顔だけにして(古!) 本題に戻ります。

無論、その後実際に私は超音波しているからわかるのだけど、

リンパ節転移は腋窩~鎖骨下、鎖骨上+後頚部まで腫大しており、普通にエコーしていれば気づくはず。

なぜ、「リンパ節転移無」として(最初は)話が進んだのかとても不思議なのです。

♯この疑問については、出演者さんから直に「おそらく、こうであろう」解釈をお聞きしましょう。

 

〇更に、ここから謎が謎を呼ぶこととなります。

「謎が謎を呼ぶ」といえば…

 

謎が謎呼ぶ殺人事件~。ああぁ、パイプくわえて探偵登場!(同年代なら判る筈…)

(郷ひろみも勿論だけど)樹木希林も若い!

『そうでない人はそれなりに』

 

 

公平を規すために、実際のメールから引用します。

(以下、引用)

がんが進行し花咲状態になるのは嫌だったので、腫瘍が小さくなったりすれば花咲を回避するための手術を受けることはできませんか?と質問したのですが、言葉を濁され「それは…」とだけ返事がありました。

そのあとで「がんが皮膚に近いところにあるので全摘すれば皮膚がたらない、大胸筋浸潤しているのでもう手術は…」と言われました。

ステージ4は理解しました。完治しないことも理解したつもりですが、1日でも寝たきりでない状態を維持でき、長く生きたいのです。胸にずっと原発巣があるのが怖いし嫌でいやでたまりません。心が壊れる前に田澤先生に見ていただき、0.1%でも原発巣が取れる可能性があるのなら手術を受けたいのです。

癌の診断を受けてから(ステージ2Aと聞いたときから)乳がんプラザのQ&Aを読み、YouTubeを見たりと自分なりに勉強はしました。

田澤先生なら取ってくれるんじゃないか…田澤先生のセカンドオピニオンを受けよう。でも今見てもらっている病院ではきっと手術はしてくれない。そう思って上に書いたように泣きながらではありましたがセカンドオピニオンを受けたいが、実際は診察してほしい、手術ができるか評価してほしい。手術できるのなら転院したい気持ちが強くなりましたがどのように手続きをしたらよいかに迷い電話しました。

セカンドオピニオンは第三者としての意見を…という仕組みは理解してます。手術を受けるために転院のための紹介状を用意したらいいのか、でも手術できないとなったら元の病院でみてもらうことになるからセカンドオピニオンの準備をしたらいいのかわからなくて困ってるのが本音でもあります。

 

電話対応してくださった方が、手術希望のところでメールするか、水曜の予約がない方の日に受診するかの提案をくださいました。こちらが遠方であることも気にかけてくださり、メールで何回かやり取りができ、予約のほうがよいかもとアドバイスもいただきました。絶望の淵から光が差し込んだ感覚でとてもうれしかったです。

 

 

「謎が謎呼ぶ」って、「がんが皮膚に近いところにあるので全摘すれば皮膚がたらない、大胸筋浸潤しているのでもう手術は…」

と、いうコメントのことだね??

 

 

 

そうなんだよ。

診察したうえで、ステージ2。手術まで実際に予定しておいて

CTで頸部リンパ節に転移が見つかったからって、突然

皮膚が足らない」とか「大胸筋浸潤しているから」とか、(頸部リンパ節に転移がある=ステージ4 とは)全く関係ないことをいい出し無理やり手術不能に話を持っていこうとしているようにしか見えないよね?

★ 結局、実際に私が手術したわけですが皮膚も「十分すぎるほど」足りたし、大胸筋浸潤も無かった。

 

ここで振り返る『今週のコラム 514回目 乳腺外科医としての幅

結局ここに行きつくように思えます。

 

きっと彼らは、(何故か、初診時にリンパ節転移無と思い込み)これは自分たちには「手術できる」と最初判断したわけです。

ところが、乳腺外科医としての幅が(猫の額以上に?)狭いために、「鎖骨下リンパ節」まで転移が分かった時点で、その狭い幅から簡単にscale outしてしまい「頸部リンパ節に転移がある=ステージ4相当だから手術の適応がない」ことを理由に手術を(発表者が強く願ってさえも)放棄したのです。

私は推測します。

たとえ頸部リンパ節に転移所見が無かったとしても…

鎖骨上どころか、鎖骨下リンパ節も手術できないであろう彼らに「手術の選択」はなく、今や耳タコとなっている)術前抗がん剤ごり押しとなったことでしょう。(手術に手が出せないのだから、彼らの幅にはそれしか選択肢がないのです)

 

〇患者さんの思いを叶えるためには…

乳腺外科医としての「幅」が重要です。

 

実際に頸部リンパ節は、「鎖骨上リンパ節に近接」しており手術で一緒に摘出できます。

その幅を持つ私にとっては、発表者は(内臓転移の無い状態なのだから)寧ろ、手術で根治を狙える対象としかならず、「一生抗がん剤(薬物療法)で手術はとんでもない」存在には全く見えないのです。

 

乳腺外科医としての幅の違いで、ここまで患者さんの運命が変わってしまうことが「これでいいのか?」とさえも感じますが、それが現実。

自分の運命を変えるのは自分自身の行動。

発表者が、全国にいるであろう「幅の狭い医師により(運命を)捻じ曲げられそうになっている」人たちに勇気を与えてくれることを期待しているのです。

 

画像供覧

 

 

原発巣のエコー

「皮膚に近いから皮膚が足りない」との前医コメントありましたが…

確かに皮膚に近いけど、決して「皮膚切除しなくてはいけないほどの広さ」ではなく、実際に腫瘍直上の皮膚だけの合併切除であり、何ら特別ではなく「普通」でしたよ。

 

 

腋窩~鎖骨下のリンパ節

これだけで「手術できない=抗がん剤」となってしまう「幅」では本当に困ったものです。

 

 

 

これがSCですが…

SCは想像以上の所見で手術では苦労しましたが…(だけど、結局取れるものです)

SCは(たとえ、一見無理そうに見えても)結局取れるのだという「自信」を与えてくれた「私にとっても」貴重な経験となりました。

 

 

 

これが「頸部」リンパ節

実際には(画像でのイメージ以上に)SCに近いので「SC郭清している際に」普通に同じ視野に入ってくるので取るのは全く苦労しません。

 

 

 

原発巣のPET

皮膚に近いといっても、かなり「狭い」ことがわかりますね。

しかも「どう見ても」大胸筋から「離れて」いますよね? 実際に(手術所見でも)遠ーく離れています。

 

 腋窩~鎖骨下リンパ節です。

このPETを見ても、何故初診時に「リンパ節転移を見落とし、リンパ節転移無cN0」としたのか?

謎ですね。

 

 これが頸部リンパ節 実際にはほとんどSCと離れていない

 

この手術でのハイライトはSCでした。

SCは(エコーで想像していたより)びっしりと視野を埋め尽くし「とっかかり」がない!

しかし、必ず「その時」は来るのです。

「取り切れましたよ!」術後にそう話した時のうれしそうな顔を思い描きながらの地味で長い作業もいずれ「終わり」が来る。

やまない雨はない。 開けない夜もない。 そんなところでしょうか?

 

〇頸部リンパ節転移で思い浮かべたのは1年半前に前医で薬物療法一択を告げられて

 

頸部リンパ節 (血管の裏に写ってます)

 

 こちらがSC

 

 PETでは(頸部リンパ節は)こう写ります。

 

1年半前にSC+頸部リンパ節郭清をした、この方が私に「頸部リンパ節はSCと一緒にとれる」と教えてくれたのです。

まずは術後1年半、cCR継続中です!