華味鳥
今、(鍋のシーズンでもないのに)ほぼ毎週!食べてます。
鴨鍋⇒黒もつ鍋(先々週)⇒水炊き(先週)⇒(再度)黒もつ鍋(本日)
スープに(見事に)嵌ってしまいました。(やられた!)
★勿論、「鶏肉」自体も美味(念のため)
(以下、抜粋)
博多の水炊きは、まず【スープを味わう】ことから始まります。
このスープの味が水炊きの命と言っても過言ではありません。創業者が鶏骨の鮮度、部位、量、スープを炊き出すための水、温度、時間、すべてにおいて独自の製法を造り上げました。何度も何度も失敗を重ね、ようやくこの「凝縮された雫」へと辿り着いたのです。
そして現在も日々、その製法を受け継いだ職人たちが、この精魂込めた白濁のスープを守り続けております。
と、季節外れの話題で始まりましたが、ここからが本題となります。
〇 本題
前回 再発「続編」に引き続いて、今回は「続々編」となります。
腋窩鎖骨下再発
今回は「ここ」に話を絞ります。
「鎖骨下」領域は神聖なる領域。
手術にとっての厄介な2要素『視野が悪い』『直ぐ傍に危ない臓器がある(この場合「鎖骨下静脈」)』が揃っているのです。
かつて、「乳癌は(数が少なかったために)一般外科の一分野」でした。
そんな時代の私にとっては、あくまでも「乳腺外科」です。
あくまでも「外科の一分野」として「男性医師が圧倒的に多い」世代です。
時代は変わり、乳癌が増えてくると「乳腺科」なる言葉(外科の2文字が無いと凄い違和感!)が使われるようになりました。
いつの間にか「乳腺外科」から「外科」の字が消えたのです。
そうすると、(外科手術が専門という印象が希薄となり)「薬物療法を中心に捉える女性医師が急増」
今や乳癌学会に行くと「女性医師の多さ」に圧倒されます。
それらの「乳腺科」世代の医師は、「手術は最小限、薬物療法の専門家」みたいなスタンスが目につきます。
「手術手技が患者さんの運命を変える」みたいな発想は(おそらく)無いのでしょう。
リンパ節転移があると、「術前化学療法」して(自らにとって)負担のない最小限の手術を行う。(それが「患者さんにとって最善だから」と信じているのかもしれないが、やはり「取り残し」など問題点は多い)
レベルⅢ(鎖骨下リンパ節)に転移があっても(日頃から、そのような手術を避けているので)手術できない。
『手術はレベルⅡまでで、Ⅲは抗がん剤で叩きます』などと、堂々と言っている。
★ 当然ながら抗がん剤で消失するとは限らないわけです。(放射線も同様)
そのような(世代の?)医師が「腋窩鎖骨下再発」に出くわすと、どうなるのか?
実例を見てみましょう。
20XX年 乳房切除+センチネルリンパ節生検施行
その3年後 腋窩再発
全身検索をして遠隔転移など他に問題がないことを確認した上で
『(再発した腋窩リンパ節は)手術で取れると思います。』
(手術が出来ることに、ホッとしながら)『お願いします。』
★ 後に判明した事実
ただ、残念なことに、
(担当医は、きっと腋窩鎖骨下郭清に不慣れだったのでしょう。)
「手術中、(奥のリンパ節が)腋窩静脈から外せない」となり途中で撤退していたのです。
術後
取ったリンパ節は全て転移していました。
抗癌剤と放射線が(今後)必要となりますが、まずは「放射線先行」としましょう。
担当医は言葉を濁していたが、「取りきれずに、まだ残っているのでは?」という印象を感じ
(術前から感じていた)不安が増大する中でQ&Aの扉「8563 腋窩リンパ節再発」を叩いたのです。
(結果的に)私が(再々)手術をすることになったので、前医での「再手術の状況」は事細かに解ります。
(以下、前医での再手術の状況)
腋窩に
大胸筋が被さっている状態
大胸筋に鉱をかけ
引っ張り挙げると、(裏にある)小胸筋が見えてきます。
大胸筋を更に引っ張り挙げ、
出てきた小胸筋に鉱をかけ
小胸筋を引っ張り挙げるとレベル2が顔をだします。
小胸筋を限界まで引っ張り挙げて郭清するのが
所謂「レベル2郭清」となります。
★ただ、図のように
レベル2が(その奥にある)「レベル3とくっついて取れない」
何故なら、レベル3が「この視野からでは外せない」からなのです。
(再手術をした)担当医の言う『奥のリンパ節が血管とくっついていて外せない』という
状況は、まさに「コレ」でした。
それでは、私が行った「再々手術」を以下に示します。
小胸筋は引っ張り挙げずに…
大胸筋と小胸筋の間にある血管神経を処理し、
小胸筋の全貌を出します。
大血管(鎖骨下静脈)を破かないように細心の注意を払いながら
小胸筋の奥の膜を(ペアンで)「そーと」破き
テープを通し、
小胸筋をテーピングし、
小胸筋を手前(外側)へ引っ張ることで
小胸筋の奥の膜が拡がります。
この「奥の膜」を切離することで、漸くレベルⅢが直視下となるのです。
更に小胸筋を手前に引いたところ
(前医の視野では)奥の方にあって見えなかった
レベル3が直視下となり、血管とくっついてはいましたが、
慎重な操作で「全て外せた」のです。
前医の再手術で「奥のリンパ節が血管とくっついていて外せない」として手術不能と言われていたものを
再々手術で綺麗に郭清できた、「その差」はどこにあるの?
それは、常日頃から鎖骨下郭清(レベルⅢ郭清)を行っているからだよ。
「癒着のない」通常の手術で鎖骨下郭清をしていない(できない)術者が、「癒着があり難易度の増した」再手術での鎖骨下郭清が出来る訳がないんだよ。
★ 癒着とは手術操作が一度加わることで起こり、この場合大血管(腋窩静脈)との癒着が問題となります。
例えるなら「錆びついたドア」のようなもので、「初回手術ならスムーズに開く扉」も錆びついていたら容易には開かない。
それを無理やり開いた時に「血管の壁がくっついてきて、一部でも破けたら…」(この恐怖が前医を襲ったのです)
腋窩鎖骨下再発
手術を提案されることもなく、「一生、抗がん剤です」
あなたは、それでいいのですか?