昨日も天気よかったのですが、用事があり屋上にあがれず…(パスタ旨かった)
今日も天気よく暑そうだから、屋上写真は今日撮ろうと思ってマス。
鰻が食べたいから、鰻になるかな?
ただ、この暑さでサウナスーツで走ると「あっさり」系が食べたくなるかもしれません。
どうなるかは、こうご期待?
○ 本文
turning pointは、実は幾つもあることに気付きました。
1.診断 早期発見されるのか?
せっかく「小さく」発見されたのに「発見」されても「診断」されない。
そんな悲劇が起きないように…
2.手術 理想的な手術がされているのか?
①センチネルリンパ節生検の精度の問題
⇒「のち」の腋窩再発のリスク
②温存術の場合 乳管を乳頭直下まで確実に切除しているか?
⇒「のち」の温存乳房内再発のリスク
③全摘の場合 胸壁浸潤が疑われた場合に、その部分もきちんと切除されているか?
⇒「のち」の胸壁再発のリスク
④腋窩転移がある場合 きちんと「鎖骨下」まで綺麗に郭清されているか?
3.再発治療
再発は「治らない」と(担当医に)諦められていないか?
再発は(当然ながら)患者さん誰一人として「同じ」はありえません。
それなのに「再発はどうせ何をやっても治らない」から、「楽な治療から…」みたいで本当にいいのか?
勿論、全員とはいいませんが、
局所治療(手術、放射線)、全身治療(抗癌剤)を駆使してcCRを作り(その状態を)サブタイプによって異なりますが、日常的に負担でない治療の継続で長期間維持する。
その先にこと「根治の可能性」があるのであって、「病変をcCRにしない限り、その可能性に蓋をする」こととなります。
薬物療法の進歩は、(それまでの)再発したら「何をしても同じ」という概念を変え続けている。
再発治療は「効く」治療こそが鍵。 「楽な」治療でお茶を濁す必要はありません。
長く続いたanthracycline一人横綱の時代 そこにtaxaneが出て術後の補助療法を変えた。
次はbevacizumab その強力な効果と高い奏効率は別格
CDK 4/6 inhibitorはluminal typeの再発治療を大きく変えたgame changerと言っていい存在。
『抗癌剤でいくら頑張ったって、その後のホルモン療法じゃ、すぐに再燃するよ』
そんな悩み一掃してくれたのです。
HER2 typeに対するtrastuzumab-deruxtecaneには(その絶大な効果に)驚かされました。
このtrastuzumab-deruxtecaneの兄弟ともいうべきdatopotamab-deruxtecane(ダトロウェイ)そしてtripple negativeで最初に適応を通したsacituzumab-govitecan(トロデルビ)
現在はtripple negativeだけでの適応であるsacituzumab govitecanは近々、luminal typeにも適応が通るようです。
海外ではdatopotamab deruxtecaneよりもsacituzumab govitecanの方がより強い効果があることが証明されているので、luminal typeにとって(CDK 4/6 inhibitorで維持するまでの)cCRを狙える薬剤として「とても、とても」期待できます。
抗癌剤が効くからと言って「薬物療法一辺倒」になってはいけません。
可能であれば局所治療を駆使して「相手(癌)をより小さくして」こそ、協力な薬剤の「更なる」効果を期待するのです。
と、「再発治療」の記載が長くなってしまいましたが
「診断」「手術」「再発治療」それら全てにturning pointがあるのです。
今回の配信は、この「診断」の中でも最も重要である「生検の実態」について迫っていきたいのです。
今回の「配信出演者」は「当院で早期発見された」というケースではなく、診断された後に(時はコロナ禍)手術する病院として当院に辿りついたので今回の配信で「生検の実態」とするのは、少しずれがあるのですがご容赦ください。
出演者からの手記の中の
『「私では、癌かどうかわからない。」と、自身で癌の診断が出来ず。「大学病院を紹介します。」』
と言う記載に引っかかった(言い換えれば、腹がたった)からです。
この医師のように「18mm」で診断ができない。(言い換えれば生検ができない?)というのは、もちろん論外ですが…(存在意義が不明)
巷には、せっかく「小さく発見」されても「小さいと診断されない」という(私から見ると)とんでも無い悲劇が起きている。
症例1
この計測では10mm
何故、前医でこれを「外す」のか?
そもそも、「癌を疑う」エコー像だし(8mm位あると、結構「良悪の鑑別」が画像でも解りやすくなる。)
♯5mmだと、なかなか画像だけでは「はっきり」しない。
「はっきりしない」から(針を刺さずに)経過観察ではなく、「はっきりしないから、こそ」針生検で決着をつける
↑
この発想が必要だと思います。
結局、前医では(まずは)細胞診 ←(画像上、癌を疑うのだから)「最初から針生検しろよ!」といいたい。
細胞診もクラス3(鑑別困難)⇒この結果で「癌の可能性がある」から針生検となり、
針生検では「検体不良inadequate」となって(確定診断希望メールから)当院受診。
CELEROで(画像通り)浸潤性乳管癌の診断となったわけです。
私にとっては、いとも簡単な針生検(CELERO)ですが…
何故、皆下手糞なのか…
理由は複数あるとは思いますが、それを考えても仕方がない。
それが事実、それ「こそ」が事実。
「今そこにある危機」を自覚することが重要なのです。
症例2
小さいけど(7mm)「かなり不整形」
これ、癌だろ?(私がエコーしての第一印象)
結果は(印象通り)浸潤性乳管癌
この方は、前医で細胞診「クラス3」
症例1の前医とは異なり「それじゃー、針生検しよう」とならずに、何故か経過観察
何故? 画像怪しいだろ? 診断すべきは
当院でのCELEROは、やはり浸潤性乳管癌
小さいうちに診断する意義
それは(当たり前ですが)圧倒的な予後です。
QAから「懐かしい」症例を
QA 387『ADHと診断されました』
5mm
だけど不整形ですよね?
結局当院で組織診(当時はMMTEかもしれません)
非浸潤性乳管癌の診断で2015手術 ちょうど10年くらいです。
手術病理で非浸潤性乳管癌確定 放射線のみ、薬物療法なし
つい先日受診され、「勿論」再発なし。
その2か月くらい後QA744『嚢胞の中に白っぽい丸い影』
これも、やはり当院で非浸潤性乳管癌の診断(先の症例の)2か月後に手術
♯たまたまですが、お二人とも大阪の方です。
やはり照射後、薬物療法なし。
この3年後2018 毎年の当院での検診で
(倍率が大きいのは)市川のエコーだから
これも6mm 非浸潤性乳管癌
手術後(対側同様に)放射線のみ
その後も1年に1回通院していますが、(当然ながら)無再発です。
ちっぽけなんだから「診断しなくてもいい」ではありません!
ちっぽけだからこそ、(その時点で)根治と言えるのです!
それを、「大きい乳癌は見逃すと大変なことになる(非難されるどころか、下手すれば裁判になる)」位の気持ちで診療しているから、そうなる(小さい病変を診断できない)
根本の問題はそこにあります。
1期でも5%程度は再発するわけだから、それを0%にすることこそ使命なのです。
○付録 これ(この画像でも)癌の症例 どちらも「つい最近」です。
これ、非浸潤性乳管癌
5mm 特に不整形でもない(今までの画像と比較してください)
あなたなら経過見ますか?
ここで手術したら「間違いなく」根治なのです。
別の症例
これは上記と比べると「不整形」ですよね?
やはり5mm
かなり拡大しているから「それらしく」見えますが、やはり「この大きさ」だと画像だけで「癌を確信」とまではなかなかいきません。
「癌と確信できないから経過観察」ではなく癌だと『画像では確信できないからこそ』組織診で決着すべきなのです。