今日も晴天!
秋晴れ(冬?)コンディション凄くいいですね。
ZOOMXを履いての初めての日曜日(普段、朝晩に分けている距離を朝一気に走ります:つまり2倍)
予想通り(以上?)のtime upに気分あげあげ(昨日の「ブラタモリ」でもこのワード出てました)でこのコラムを書いています。
〇 レベル3まで転移があるのに「鎖骨下郭清は一般的ではない」という理由で、それを行わない(行えない?)
そんなケースを最近目の当たりにしています。
私は、とても憂慮しています。
★ 鎖骨下郭清について
視野が悪く腋窩静脈からの大出血のリスクがあるため、「それこそ」一般的ではなくなりました。
ただ「一般的ではない」ことと、(それが必要な際に)「それができない(患者さんに提供できない)こと」は別次元!
私の解釈
1.画像上(最初から)転移所見が無い場合
⇒ 鎖骨下郭清(レベル3郭清)をする必要はないでしょう。
かつて、(リンパ節転移が無くても)「郭清=鎖骨下まで郭清する」時代がありました。(大小胸筋も合併切除する時代)
その頃を「鎖骨下郭清が一般的であった時代」と呼ぶのであれば、今は(必要が無い時には)鎖骨下郭清はしない=「鎖骨下郭清が一般的ではない時代」と呼ぶことはできます。
2.画像上転移所見がある場合
①術前抗がん剤をした場合
①-1術前抗がん剤でレベル3が(画像上)消失した場合
⇒多くの施設で「レベル2まで郭清」して、「鎖骨下リンパ節郭清は一般的ではない」という理由で、その部位(鎖骨下)は放射線で済ませる
上記が一般的になっているようです。
私は、それには賛成しません(私だったら鎖骨下まで郭清します)。
何故なら(その後の)鎖骨下リンパ節再発のリスクだからです。
ただ(画像上消失しているから)「許容範囲」か!(仕方がないな)とも言えます。
①-2術前抗がん剤をしたが、レベル3が(画像上)残存している場合
⇒問題はこのケースです。
何故なら「抗がん剤は無敵ではない(当たり前)」からです。
このケースでは「当然」鎖骨下リンパ節郭清すべきです。
ただ問題なのは、『日頃から鎖骨下リンパ節郭清を避けている医師に、(難易度の高い)この手技ができるのか?』です。
そのような医師は、(手技的な)不安から…
本来、レベルⅢ郭清(鎖骨下郭清)すべきこのケースで「鎖骨下郭清せずに、鎖骨下は放射線で済ます」
これは大問題!
鎖骨下リンパ節再発のハイリスクとなる(上記①-1とは次元が異なると私は思います)
②術前抗がん剤をしなかった場合
当然、手術でレベル3までキッチリ郭清(鎖骨下郭清)できるという自信がなければこれは選択できないでしょう。
★ 逆にいうと、「リンパ節転移があると、術前抗がん剤をゴリ押しする医師が多い」背景だと私は憂慮しています
つい、本編と関係ないことを熱弁してしまいました。
ただ、次のコラム「腋窩郭清」に続く内容となります。
〇 本編
センチネルリンパ節生検の失敗
(前回の図)
まずは、この図をご覧ください。
(癌から)流れた色素はSN⇒腋窩リンパ節(レベル1)へと流れていきます。
ここで、(もしも)皮膚切開を、このように「正しい位置よりも上」にしてしまったら…
どうなるか?
このように、(本物の)SNが残存してしまいます。
この場合色々なケースが(実際に)起こります。
1.郭清省略されてしまうケース
この場合には迅速診断で提出された(偽物の)SNが「転移陰性」と判断され、郭清省略されます。
しかし、数年後に(転移のある)本物のSNが大きくなり「腋窩再発だ!」と騒がれることになります。
2.追加郭清はしたが、(転移した)本物のSNが残存してしまうケース
この場合には「追加郭清」されることになります。
追加郭清の際に「本物のSNに気付いて」これも郭清されて(事なきを得る)ケースと「本物のSNに気付かずに」やはりSNが残存してしまうケースがあります。
皮切の位置がいかに重要か?
お解りいただけましたか?
本物のSNよりも下(上流)に皮切を置かないと、それは起こり得るのです。
それでは、「できるだけ下(上流)で皮切したらいいのでは?」と皆さん思うかもしれません。
リンパ管を見つけて、上(下流)に追いかけても、(SNまでに)距離が長くて結構大変となります。
こんなイメージです。
術者の心情としては、『なるべくSNに近い部位で皮切して「サクッと」終わらせたい』
となるのです。
結局、ここに「SNの失敗の元凶」があるのですが、「経験」しかそれを克服できないのです。