皆さん、こんにちは。
どんどん早起きになって(老人かい!) 今気になっているFMは吉田照美の Please テルミー !「マニアックさん。いらっしゃーい!」です。
世に(多くは)知られていない、その道のマニアックさんが登場。
今日は、「植物」でしたがここ最近は「食べ物系」が多く、先週は「パン」でした。
その中で気になったのは神楽坂の「亀井堂のクリームパン」、吉田照美お気に入りは「東京マリオットホテル「GGCo.」のカレーパン」
あー、書いていても腹減ってきます。
〇 本編
先週は腋窩の「解剖」について解説しました。
乳腺から出たリンパ管は、遠い旅(大航海)に出ます。
大胸筋の「外縁」を回り込み、その「裏側」に入り(この大胸筋の裏側を「腋窩(腔)」といいます)、大胸筋の裏側を内側へ向かい、小胸筋の裏(レベル2)を通り、(小胸筋を)抜けて(ここがレベル3)、鎖骨下を通りその上へ(ここが鎖骨上)更に頸部へ向かうのです。
この大胸筋の裏へ回り込んだ最初の港(リンパ節は航海でいうところの「停留港」と呼ぶにふさわしい)を「センチネルリンパ節」と呼ぶのです。
・ センチネルリンパ節
QAや、実際の診察の場でも時々患者さんから「センチネンタルリンパ節」という表現が出ます。
何とも懐かしや! 伊予は未だ16だからー♪ センチネンタル?ジャーニー♪(きっと、皆さん歌ったのでしょう。私もその一人です)
意味は「見張り」リンパ節です。
リンパ節はリンパ管を流れてくる外敵(癌細胞もそのひとつ)を「トラップする場」と考えると解りやすいでしょう。
前回出した図
癌からのリンパ管が大胸筋の外縁を「裏」へ回り込んでいます。
・ センチネルリンパ節の部位
・ 実際のリンパ網
これは実際の「人体」のリンパ管が「網の目」のようになっている図譜です。
センチネルリンパ節(SN)に到達したリンパ管は「網の目」のようなルートで血管(腋窩静脈)に沿って内側へ流れていきます。
・ センチネルリンパ節生検 実際の手技
1.外観
2.透視図
このようになっていますが、(当然ながら)表面からは見えません。
手術手技としては「色素」を術中に乳輪部分に皮下注してリンパ管を染める 注)のですが、皮膚の上からでは、その色素を視認することはできません。
注 )色素法といいます。
かつては「RI法」を併用して「同定率(SNを探し出す%)」を調べていた時期もありましたが、(手技的に稚拙だった)昔と違い、色素法で100%同定できるので、RI法は「無用の長物」と化しています。
3.腋窩の拡大
この部分を拡大します。
4.腋窩小切開
まずは、この位置に皮切です。
この時点では実際は、これらのリンパ管などは『見えていません』が、位置的にSNよりも下(腫瘍に近い方)で切開するようにします。
5.(切開した)皮膚を広げると、皮下脂肪が出てくる。
皮膚を筋鈎で広げると、(皮下にある)皮下脂肪が見える。
痩せた人だと(皮下脂肪が殆どないので)この時点で(青く染色された)リンパ管が見えて透見できますが 注 )、通常はまだリンパ管は見えません。
注 )痩せていることは手術される際に、とても有利に働きます(脂肪に邪魔されずに構造物が良く見えるため)が、これもその一つです。
6.この皮下脂肪を掻き分けると、遂に(青く染色された)リンパ管が見えてくる。
皮下脂肪でマスクされていた(見えなかった)リンパ管が脂肪を掻き分ける(どける)ことで見えてきます。
(術中撮影した実際) 皮下脂肪の奥に(青く染色された)リンパ管が透見
青く染色されたリンパ管が(黄色い脂肪の)奥に「うっすら」透見できます。
これを見つけるのが(センチネルリンパ節生検という主義の)「第1歩」となります。
7.このリンパ管を上へ追いかけて「センチネルリンパ節生検」を行う
ここでリンパ管を捕まえて、(創を上に引っ張り)そのリンパ管に連続したリンパ節(センチネルリンパ節:これも青く染色されています)を取り出し 注 1 )、術中迅速診断します。
(先ほど、うっすらと認識された)リンパ管をペアンで把持
把持したリンパ管を奥へ向かって追いかける
リンパ管を上へ追いかけると、最初に到達するリンパ節(SN)に到達する。
上記の状況をイラストにしたもの
リンパ管を追いかけてSNに到達したところ
このリンパ節を更に(上へ)追いかけると腋窩リンパ節(レベル1)となる。
色素は(最初に到達したSNを超えて)更に腋窩リンパ節(レベル1)へ到達する 注 2 )
注 1 ) センチネルリンパ節生検という言葉からの連想なのか、
患者さんの中には、「取り出さずに」検査すると勘違いしている方がいらっしゃいますが、「取り出さなければ顕微鏡で検査はできない」のですよ。
センチネルリンパ節生検について解説しました。
次回は、QAでも時々出てくる「失敗例」について解説します。(上記 注 2 )が重要となります)