皆さん、こんにちは。
今朝も清々しい気候。走っていて気持ちいい。
FM GIFU 「music time line」 今日は1973でした。
今でも時々耳にする(かぐや姫の)「神田川」、(チューリップの)「心の旅」
荒井由実の「ひこうき雲」も、この年でした。
日本のニューミュージックが生まれた年とのことですが、松任谷由実もキャリア長いですねー。
〇 本文
「8561 鎖骨下リンパ節」を回答していて…
リンパ節(郭清)について、「もう一息」解説を試みることとしました。
・正常リンパ節
前回にも出した、このエコー画像が再登場
どれがリンパ節か解りますか?
答えは、ここ(オレンジ部分)です。
それではこの中には1個しかリンパ節はないの?
いえいえ、そんなことはありません。
この画像殆どが「腋窩の脂肪」ですが、この中には10個くらいはリンパ節が隠れています。
点線で囲んだものが「想像上の」リンパ節です。
これらは画像でもわからないし、(実際に)触知するのも殆ど困難なのです。
腋窩郭清
腋窩郭清って、このリンパ節を「摘みとる」ことなの?
違うよ。
この図でみれば、この脂肪全部をそっくり摘出することなんだ。
イメージとしては(お好み焼きの中の)「具」をリンパ節とすれば、(その具を含めて)「お好み焼き全体」をそっくり食べるようなものだよ。
♯ 「お好み焼きの中の具」は、例えとして「適切=解りやすい」なのか、書いているうちに(自分でも)解らなくなってきましたが。
なるほど。
正常リンパ節は認識しずらいんだね。
そう、その通りなんだ。
このQAをよーく見ていると、気付く筈なのですが、
リンパ節転移が10個以上のAさんでは、15/20(15個の転移リンパ節と5個の正常リンパ節)
それに対して、(同じ腋窩郭清をしても)リンパ節転移が1個のBさんでは、1/8(1個の転移リンパ節と7個の正常リンパ節)
上記数値を見て、何か気付きますか?
Aさんと、Bさんのリンパ節の個数が違うよね?
普通に考えれば、(同じ郭清=同じ範囲の脂肪を取れば)Bさんは1/20になる筈だよね?
Bさんは12個リンパ節を取り残しているの?
謎雄くん、いいところに気付いたね。
実は違うんだ。「正常リンパ節」でコメントしたように、正常リンパ節は解りにくいんだ。
実際に郭清している範囲は同じだから(そこに入っている)リンパ節の個数はだいたい同じなんだけど、(正常リンパ節の多くは)周りの脂肪に溶け込んでしまって「病理に提出できずに、捨てられてしまう」んだ。
(それに対して)転移性リンパ節は硬いので、(例え小さくても)リンパ節と認識できるから全部提出しているわけさ。
えーっ、正常リンパ節の中には(提出されずに)捨てられちゃうものもあるんだ。
がっかりだなぁ。
謎雄君の気持ちも解るけど、(我々も人間だから)許してくれよ。
でも、大事なことは「転移性リンパ節の個数」だから、患者さんには実害は無いから安心して。
ここで、8561さんの件に戻ってみます。
ポイントはレベル3が0/0(リンパ節が一つも入っていない)
(転移性リンパ節は無かったとして)『正常リンパ節が入った脂肪を採取できていなかったのか?それとも(きちんと摘出したのだけど)提出する段階で(リンパ節と認識できずに)捨てられてしまったのか?』
その手懸りは、術後のエコーで(レベル3の位置に)「4mmで形も悪そうでない」リンパ節が存在していること。
こうなると、(視野が悪くて)「取れていなかった(=取り残した)」と解釈せざるをえないようです。
レベル3郭清については、前回のコラムに載せたように
1.通常のレベル3郭清の視野
腋窩から、(大胸筋と小胸筋の)隙間を覗き込むような視野
この視野だとレベル3領域の脂肪を全て「綺麗に」郭清することは時に困難かもしれません。
2.本気でレベル3郭清する際の視野
直視下でレベル3を捉える視野
この視野だと、「綺麗さっぱり」郭清できます。
ただ、この視野を作るのには経験が必要
外科医は「視野を作れて一人前 注 1 )」と、言われます。
視野を作れて一人前 注 1 )
⇒「外科医あるある」ですが、研修医に手術をさせる際には「前立(指導者)」が(さりげなく)視野を作って、『ここ切れ、ワンワン。ここ取れ、ワンワン』状態とします。
自分で手術したつもりでいた、その研修医が
手術で実際に大変なのは「視野を作るまで」であることを、後に(自分の力で手術する際に)気付くのです。
8563「腋窩リンパ節再発」の場合の解釈は?
術前画像診断で「1個」転移がみつかり、(手術してみたら)
「腋窩リンパ節15個全てが転移していた」+(主治医が)「取り切れているとは言えない」との結果
私が解釈するに、(失礼ながら)レベルⅢ郭清に精通していないと仮定して
(術前画像では)1個だから、そもそも通常の「レベル2郭清で十分」という認識で手術を開始して、
(術中)「思いのほかリンパ節転移が多そうだ!」と感じても、「レベル3まで郭清しよう」とはならなかったのでは?
もしも、レベル3まで郭清していたら、「レベル3まで郭清したから、(その先の)鎖骨上は照射で十分だよ」と自信を持って答えた筈(と、思います)
15/15となっているけど、本当にリンパ節全部に転移していたの?
おそらく、違うと思う。
転移性リンパ節が多いと、(正常リンパ節は)尚更認識しずらくなります。(どうしても転移性リンパ節が目立つため) 正常リンパ節の何個かは捨てられてしまったのでは?