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今週のコラム 238回目 「残存した転移性リンパ節」が、術後数年し再発するかもしれませんよ。

こんにちは。田澤です。

 

YAMAHA  SALLY(だったと思います。何分、昔なんで・)

キッカケは忘れましたが、想いだしていました。

高校生のころ、県内有数の「自由な校則」の新〇南高校。

それでも、バイク通学は禁止されていました。

当時は、原付はヘルメット着用義務なし(後に、スクーターブームで転倒者が社会問題となり義務化されましたが)

とっても爽快、(今でも覚えていますが)高校から少し離れた歩道橋の影に(隠すように)停めていました。

ある日、左折車(運転者は若い女性 勿論その当時は私より年上です)に巻き込まれて転倒。

警察沙汰にすると、高校にばれてしまい処分(停学?)されると考え、(バイクは壊れたけど)怪我が無かったので「大丈夫」で済ませました。

友達と一緒に休日に、寺泊(地元では有名な、魚が獲れるところ)までツーリング(原付だけど)した、あの楽しい日々が失われた瞬間でした。

 

 

 

 

〇本編

■ レベル3までの転移が(術前抗ガン座により)画像上消失したら、(見えないわけだから)郭清はできないのか?(Q1)

〃                   郭清する必要はないのか?(Q2)

 

上記2つは、異なったQuestionですが、本質は一緒です。

今回、これを解説します。

まずは、解剖からおさらいしましょう。

 

①腋窩(リンパ節の)解剖 『今週のコラム 225回目 乳癌治療の実際 「局所治療」vol.1 手術』より

 

まず、リンパ節は血管(腋窩静脈)沿いにあるのですが、

全て「大胸筋」で覆われています。

腋窩郭清は、この大胸筋の外側を「内側へ捲(めく)る」ことから始まります。

 

 

大胸筋を「内側に」もっと頑張って引っ張ると、その裏に「小胸筋」が現れます。

この小胸筋より「外側」をレベル1リンパ節と呼びます。

レベル2リンパ節は、この「小胸筋の裏側」にあります。

小胸筋より内側(奥)をレベル3と呼びます。(この時点では見えていません)

 

この小胸筋も(大胸筋と一緒に)内側に引っ張ると

(小胸筋の裏に)隠れていたレベル2が出てきます。

 

 

 

 

「腋窩郭清」というと、ここまで(レベル2まで)を言います。

これは2枚の筋肉(大胸筋と小胸筋)を「内側へ引っ張るだけでよい」ので簡単。(サルでもできる?)

 

(ココから更に)レベル3郭清(鎖骨下郭清ともいいます 注 1 ))をしようとすると、「手間」ばかりか(慣れていないと)「リスク」も伴います。

注 1 ) レベル3リンパ節は鎖骨下リンパ節とも呼ばれます。それでレベル3まで郭清することを「腋窩(レベル1及び2)鎖骨下(レベル3)郭清」と呼ぶのです。

★ このように(手間とリスクがあるので)レベル3まで郭清するのを嫌がる(「嫌がる」というより「できない」)医師が多いのです。

★★ 転移があるのに、「術前抗がん剤をゴリ押しする医師が多い理由」がこれなのです。

 

それは、何故?

 

 

『(術前抗がん剤によって)レベルⅢは画像上消えたから、レベル2郭清として、レベルⅢは放射線にしましょう』とするのは、「レベル2郭清が簡単(もしくは、そこまでしか「したことがない」もしくは「見たことさえない」」だからなのです。

〇通常のレベル3郭清

 

なぜ、ここから先の難易度が高い(見たことさえない乳腺外科医が多い)のか?

ポイントは「小胸筋」です。

小胸筋は大胸筋の裏側にあって、視野がとりにくい(内側に引っ張るだけなら簡単ですが)

この「小胸筋の更に内側(レベル3領域)」を取るには、『大血管(腋窩静脈)から小胸筋の内縁(奥)』を完全に剥がす必要がある

一歩間違えば「腋窩静脈からの大出血」が起こるのです。

首尾よく小胸筋を腋窩静脈から外して、これを外側へ引っ張りだすことに成功したとしても、その更に奥(内側)にあるリンパ節(レベル3)を(危険な)腋窩静脈から外さなくてはならない。

この図に記載しているように、(大胸筋が邪魔で)非常に視野が悪い部位での微妙な操作となります。

この操作を(例えば)研修医や新人にやらせるなんて、こちらの心臓が幾つあっても足りないことでしょう。

 

更に「もう一手間」かけて(レベル3の直上で)大胸筋を割って真上から良好な視野で郭清すると非常に安心感があります。

 

 

 

★つい先日も、大胸筋の外側からでは、とてもアプローチできない(血管から外せない)レベル3を、この手技で綺麗に摘出しました。(それでも「手に汗」握る、操作でした)

②リンパの流れと区分

 

・リンパの流れ

腕からのリンパ流と乳腺からのリンパ流が「腋窩」で合流します。(それで腋窩郭清で「腕のリンパ浮腫」が起こり得るのです)

「腋窩」で合流したリンパ流は、「鎖骨下」を通り、「鎖骨上」へ上がり、そのまま「頸部」へと流れます。

 

 

・リンパ節

リンパ節は(リンパ流に沿って)「腋窩」⇒「鎖骨下」⇒「鎖骨上」⇒「頸部」へと連続しています。

(大胸筋を外すと)小胸筋というトンネルをくぐって存在しています。

リンパ節は図のように、(黄色の)脂肪の中に豆のように存在しています。

 

 

・リンパ節の区分

小胸筋の外側までをレベルⅠ、小胸筋の裏をレベルⅡと区分します。

レベルⅠ及びレベルⅡを総称して「腋窩リンパ節」と呼びます。

小胸筋より内側をレベルⅢ(鎖骨下領域なので「鎖骨下リンパ節」とも呼びます)

 

③リンパ節転移と術前化学療法

 

・リンパ節転移

リンパ節に癌細胞が転移すると、リンパ節内で癌細胞が増殖し、(癌細胞に置き換わった)リンパ節が増大します。

 

 

 

 

 

 

・実際のリンパ節画像(エコー)

 

上段:正常リンパ節 黒い部分(皮質)が薄く「2層性が保たれている」と言います。

 

下段:転移性リンパ節 全てが「真っ黒」腫大し、「2層性が消失」と言います。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで術前抗がん剤をした場合

 

case. 1  抗がん剤により癌細胞が消失した場合

 

 

 

 

 

case. 2 抗がん剤によりリンパ節転移が残存していた場合

画像上(一見)リンパ節転移が消失しているように見えるが、

実際には(顕微鏡レベルで)癌細胞が残存している。

 

 

case. 2の状態で「レベル2まで郭清」した場合

★画像上「転移が消失?」と思えても、細胞レベルで癌細胞が消失しているか?までは解らないのです。

 

 

 

このように(郭清しなかった)レベル3に(顕微鏡レベルで)転移が残存してしまうのです。

この「残存した転移性リンパ節」が術後抗がん剤などで一定期間抑えられたのち、

「術後2年で再発」 時々みかけるケースなのです。

 

〇 ここで冒頭の疑問に戻ります。

 

レベル3までの転移が(術前抗ガン座により)画像上消失したら、(見えないわけだから)郭清はできないのか?(Q1)

 

 

もう、お解りですね?

リンパ節は「転移がなくても」それを含んだ「脂肪ごと」郭清するのです。

♯ リンパ節は「1個1個」認識して取り出すわけでは無く、それを含んだ脂肪ごと摘出するのです。

 

レベル3までの転移が(術前抗ガン座により)画像上消失したら、郭清する必要はないのか?(Q2)

 

 

 

答えはNo!

「残存した転移性リンパ節」が、術後数年し再発するかもしれませんよ。

 

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