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今週のコラム 194回目 乳癌診療の基本Ⅱ vol.12 この時期に喉の違和感があったら、(熱が出る前に)うがいをしつつ、抗生剤を早めに飲むこと。これに尽きます

こんにちは。梅雨が続いています。

昨年が短かっただけに、余計に長く感じるのは私だけではない筈です。

 

京アニ放火事件

逆恨みをされたとはいえ、簡単にこんなことが起きたことに大変驚いています。

一人の狂人のせいで、30人以上の尊い命が「あっという間」に失われたのです。

 

つい先日。

再発治療を数年頑張ってきた80代後半の方が(治療の)引退をしました。

(病気とは無関係に)痴呆が進行し、(ご本人も)ご家族も治療の継続を断念したのです。

高齢の患者さんでしたが、常に前向きに治療に臨んだ数年間。本当に頑張りました。

そんな人生の大先輩へ、若輩者の私から『卒業証書』をおくります。

 

 

 

命とは、それくらい大事なもの。

一人の命を救うために、どれくらいの思いがあるのか(我々医師だけではなく、その家族も含めて)

命の重さを日々感じている、そんな日常。

それを「突然、強制終了させられた」34人。

 

 

 

〇EC療法

ますは、予め以下のプリントをお渡ししています。

 

EC療法 3週間に1回の点滴(4回)

E:エピルビシン(ファルモルビシン)アンスラサイクリン系

C:サイクロフォスファマイド(エンドキサン)

〇消化器症状(胃腸の動きが悪くなり、胃がもたれる=吐気、腸がもたれる=腹部膨満感や便秘)がメイン

吐き気 当日夕方~3日間程度(実際に吐くことは稀)

⇒(対処)イメンドを3日間内服(当日点滴前、翌日及び翌々日はご自宅で)

便秘 1週間程度

⇒酸化マグネシウム(カマ):便を柔らかくする(10日間処方)

胃もたれ、腹部膨満感など

⇒3種類の胃腸の薬(ビオスリー、ナウゼリン、ドグマチール)(3週間連日内服)

10日~2週間目に白血球低下の時期が来る=免疫力の低下

・この時期に脱毛が「いきなり」あります。

・のどで炎症が起きやすいので「うがい、手洗い」⇒うがい薬(アズレン)処方

・喉が痛くなったら(熱がでるまで、待たずに)早めに抗生剤開始⇒抗生剤予め処方しておきます。

・この時期には平熱より上がったら早めに熱さまし内服(38度まで待たない)⇒カロナール予め処方しておきます。

 

初回は採血ありませんが、2回目以降には毎回採血して白血球が回復していることを確認します。

〇EC 4回終了後、薬剤変更(DTX)4回予定します。(再度説明します)

 

 

私『このプリント読んでおいてください。(点滴)当日には、再度処方しながら説明します。』

 

 

 

 

Bさん『解りました。よく読んでおきます。』

 

 

 

〇点滴当日

 

『今日から開始です。プリント読んできました?』

 

 

 

 

『一字一句覚えています。(笑) 少し緊張しています。』

 

 

 

 

『まぁ、普通の治療ですから… 気楽にいきましょう。』

『まず、吐気は夕方からです。丁度、夕食の頃合いでしょうか。イメンドのお陰で実際に吐いたりはしないと思います。イメンドは3日間処方します。(保険の縛りでそれ以上は処方不可です)』

『胃腸の症状は1週間、便秘にも注意が必要です。 3種類の整腸剤+胃腸薬は丸々3週間継続してください。便秘に対するカマは(勿論)自己調整してください。』

 

『最初は、消化器症状ね? よくわかりました。 吐気はちょっと怖いけど… 頑張るわ!』

 

 

 

 

『そして、次の「山」は10日~2週間目です。』

『白血球が低下する時期なので、この時期を「早めの対処で乗り切る」これがコツです。』

 

 

 

『具体的には?』

 

 

 

 

この時期に喉の違和感があったら、(熱が出る前に)うがいをしつつ、抗生剤を早めに飲むこと。これに尽きます。』

 

 

 

 

『ネットとかには〇℃以上になったら飲みましょう。と書いてあるけど、早めでいいのね?』

 

 

 

 

『早めがいいのです。』

 

 

 

この後、Bさんは無事に化学療法(ECx4⇒DTXx4)を終了後、放射線へと進みます。(次号へ)