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今週のコラム 195回目 乳癌診療の基本Ⅱ vol.13 地元で放射線照射をする場合

昨日、暑かったですね。

市川外来がpm2時過ぎに終了し、河原のランニング

今年一番の暑さに、(毎年恒例)今年初の裸のランナー登場!(しかも3人)

シャツを2枚重ねで走っている私から見ると「うらやましい」

 

注)この人ではありません。

(もしも)写真なんか撮影したら、『おい!お前。 何撮ってんだ!』的なことに発展するかもしれません。(皆さんも気を付けましょう)

 

 

 

 

 

〇本編

BさんはECを4回終了。今日がDTX初回です。

 

『今日から薬、変わりますね?ちょっとドキドキします。ECが思ったほど酷くはなかったから、今度の薬剤が怖いわ。』

 

 

 

 

『大丈夫です。却って楽に感じると思います。』

『だるさや、筋肉痛などの副作用は投与翌々日の夕方位から現れます。だるさは仕方が無いですが(休むしかない)痛みは鎮痛剤で対処してください。』

 

 

 

『DTXって、taxaneですねよ? ネットでは「痺れ」とか「浮腫み」って書いてあって・ マジ怖なんですけど?』

 

 

 

 

『ちょっと、誤解がありますね。確かにtaxaneには「痺れ」「浮腫み」があるけど、それは蓄積だから4回位では 注 47 )十分対応可能です。』

 

 

 

注 47 )再発治療となると10回も20回も行うことがあります。  そうなると、痺れは結構長期間継続します。

 

『ひとつ注意点があるのはtaxane特にDTXにはアレルギー反応が出やすいという点です。』

 

 

 

 

『どうすればいいの?』

 

 

 

 

『予めステロイド処方しています。2週間飲み切ってください。ステロイドは胃粘膜が荒れるので、あらかじめ胃薬と一緒に処方しますね。』

『(それで)かなり抑えられると思いますけど、それでも薬疹が出る場合があるのでフェキソフェナジン 注 48 )も頓用で処方しておきますね。』

 

 

 

注 48 )抗アレルギー剤 花粉症の際に用いられる 所謂「アレグラ」です。

 

 

 

 

 

『後半(3回目以降)になって、「痺れ」や「浮腫み」が出てきたら、漢方 注 49 )や利尿剤 注 50 )を処方しますね。』

 

 

 

注 49 )牛車腎気丸 即効性は無いが、リリカのように副作用(ふらつき、眠気)がないので使いやすい

注 50 )ラシックス 酷い時には朝昼で1Tずつ内服⇒朝のみ内服⇒終了(徐々に減らす)

 

〇いよいよDTXも最後に1回を迎えます。

 

『今日で最後ですね。よく頑張りました。放射線については考えてきましたか?』

 

 

 

 

『はい。25回ですよね? ここまで来るのは2hかかるので地元で照射を希望します。』

 

 

 

 

『病院は決めているのですか? 』

 

 

 

 

『(家の)近くがいいとは思ってます。どこがいいとか、ありますか?』

 

 

 

 

『それであれば、病院間で手配します 注 51 ) 』

 

 

 

注 51 )地元で放射線照射をする場合

case. 1 (患者さんに希望の病院があり)そこに、すでに予約している場合(病院によっては個人からの予約も受け付けています)

⇒(当院から)紹介状や資料を郵送します。

case.2 (患者さんに希望の病院があるが)「病院から予約してくれ」と言われた場合(病院によっては個人からの予約を受け付けない場合があります)

⇒(当院の)地域連携室より、「予約」をして更に(当院から)紹介状や資料を郵送します。

case.3 (患者さんに希望の病院はなく)「病院探し」から当院で行ってほしい場合

⇒(当院の)地域連携室が(ご希望に沿う)病院をあたって、予約までとり、(当院から)紹介状や資料を郵送します。

 

 

『それでは、次回は半年後となる 注 52 )ので、このまま診察しますね。』

 

 

 

注 52 )luminal typだとホルモン療法をするので(3か月処方なので)「3か月毎」診察となりますが、TNの場合には純粋に「診察(+採血)」目的となるので「半年毎」診察+採血となるのです。

 

 

『半年後には何するの?』

 

 

 

 

『半年に1回、診察エコーと採血腫瘍マーカー、年に1回は(対側)マンモを撮影します。』

 

 

 

 

『CTとか、PETは?』

 

 

 

 

『ルーティーンとしては行いません。 腫瘍マーカーが異常値の場合には行います。』

 

 

 

これにて、全13回にわたる「乳癌診療の基本Ⅱ」も終了です。

最初は「再発」が頭から消えないBさんも、2年もするとすっかり忘れて過ごしていることに気付くことになります。

 

★次回予告

 

ご本人から、『このサイトで写真をみなかったら、今の私はなかった。是非、(私の腫瘍の)写真を載せて欲しい』

そう強くリクエストされました。

手術が(誇張抜きで)もう1w遅れたら、「取り返しのつかない事態(手術不能)」に陥っていた。

そんな特別な思いが私にもあります。