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今週のコラム 496回目 エコーの精度、生検の精度

よく晴れた屋上、とっても気持ちいい!

 

火曜日、祝日の屋上

最近、焼き鳥が旨い(当たり前?)

 

 

 

○本文

『術後の定期検査について教えてください。』QAの中で時々あります。

その際には大抵、『ホルモン療法中であれば3か月に1回通院しているのだから、毎回(3か月に1回)もしくは2回に1回(半年に1回)エコーしてもらっては?』と、回答しています。

それは当院ではそのようにしているからですが、何となく術後5年までは「毎回」5年を超えたら「2回に1回」のように振り分けています。

 

1.エコーの精度

ホルモン療法中(まだ5年未満なので)毎回エコーしている、ある患者Aさん。

今回も『異常無いよなー』などと考えながらエコーしていると、

 

①最初のエコー画像

 『あれっ?』

 

エコーは「流れ作業(っていう表現も変だけど)所謂動画」なので、「動画を一時停止するかのように」手を止めました。

その理由は、4mmと小さいながらもやや「縦長だな」ということで(注意が惹かれて)思わず一時停止となったのです。

 

②角度を変えていって、一番「不整形に見える」角度での写真

 不整形では…

 

エコーは、何か所見があるとその対象を(プローブの)角度を変えて「様々な角度」で観察します。

ここでプリントアウトしたのは、(少なくとも、この角度でみると)「不整形」だからです。

③角度を変えていく中で「乳腺内脂肪?」の可能性も否定できない角度での写真

 

 

いろいろな角度で見ていると、こんな「脂肪と繋がっている=乳腺内脂肪?」みたいに見えたります。

 

 

 

因みに、これは「私カテゴリ」ではCat.5 乳癌の可能性の方が(良性よりも)高い

例)所見が小さくて癌とは断言できないが、不整形であり癌を(良性よりも)疑う

3mm位だと画像診断で乳癌を(強く)疑うことは難しい

♯まさに、この3mmと4mmの差は絶大で「たった1mm(の差)で、そんなに違うの?」と思われるかもしれませんが、当たり前ですが、

10mmと11mmでは1mmの差は「僅か10%]でしかないのに、

3mmと4mmでは1mmの差は「33%」もの「差」となるのです。

 

chapter. 1  3mmで見つけられるのか?

 

 

3か月に1回エコーしているのだから、3か月前は「3mm」とかで、(本当は)見つかったんじゃないの?

 

 

 

これが、そう簡単ではないんだ。

3mmだと、「不整形」で無い限りエコー操作という「流れ作業」の中で目に留まることが難しい。

たまたま、通常のプローブ角度でのスクリーニングで「不整形」であれば3mmでも目を引いたかもしれないけど、今回の所見は①だから(つまり通常のプローブ角度では不整形ではない)3mmでは解らなかったのでは?

♯そもそも3か月前に3mmだったのかも不明ですが…

結論として「エコープローブのあらゆる角度で不整形の3mm」であれば「目に留まる」が、そうでないと「4mm」がエコーで見つかる最小サイズとも言える。

 

実は、同じ週の外来で

(この方は)術後5年以上経っていて薬物療法もしていなかったので「半年に1回」エコーしていたBさん。

 

 

5mmで見つかりました。

やはり「半年」だと(たまたま)診察の際に4mmで見つかることもあるだろうけど、間隔が空けば仕方がない範囲と言えます。

 

 

 

 

 

5mmあると所見も「はっきり」してきますよね?

CELERO IDC

 

 

 

chapter. 2   自信をもって生検を勧められるか?

ここで生検を勧めるためには(自分自身の)画像診断に対する自信と、(生検した場合)絶対に外さない100%の自信が必要となります。

幸いAさんは、私の「5mm以下でも外さない」という信頼感を持っていただいていたので、その日CELEROを施行しました。

 

2.生検手技の精度

勿論、このように「エコーではっきり見えている」のだから私は外しません。

『○mmだから生検しても、当たらないかもしれないから経過観察しましょう』

などと、もしもあなたが言われたら(残念ながら)その医師の生検精度は信頼に値しません。

やはり「急がば回れ」遠方であっても100%自信を持っている医師がいることを忘れないで欲しいのです。