[管理番号:10531]
性別:女性
年齢:53
病名:乳がん、腋窩リンパ節再発
症状:
投稿日:2022年8月22日
田澤先生 初めまして。
よろしくお願い致します。
●2018年6月 右乳房全摘手術
腫瘍径:2.1cm
浸潤腫瘍径:1.7cm
組織学的悪性度;グレード2
核異型度:グレード2
エストロゲンレセプター:陽性90%
プロゲステロンレセプター:陽性40%
HER2:陰性
KI67:20%
リンパ節転移:センチネル1/2個(微少転移1ミリ)
初発術後は閉経確認後、ホルモン療法(アリミデックス)服用。
放射線、化学療法は行わず。
定期検査は術後2年は三か月毎に血液検査(腫瘍マーカーはCA15-3とCEA)と触診。
半年に一度肺のレントゲン。
一年に一度骨密度測定。
二年越えてからは半年に一度の受診で血液検査と触診、肺のレントゲン。
一年に一度骨密度検査。
エコー定期検査はなし。
別医療機関で年に一度人間ドッグ受診(エコー検査あり)。
2018年10月BRCA2変異により左乳房全摘と卵巣摘出を同時手術。
●2022年7月 腋窩リンパ節再発により腋窩リンパ節郭清手術
2022年6月に人間ドッグのエコーにて右側腋窩に11ミリのリンパ節指摘あり。
触診ではわからないレベルであったが、気になったので主治医を受診。
こちらでも触診では触れなかったが、エコーに写り、すぐに細胞診をする。
5日後に先生から連絡あり追加でCT造影検査。
腋窩リンパには転移がみられる(そのときは3つくらい癌化しているとのこと)。
首から下リンパ以外は転移なし。
7月末に右腋窩リンパ節レベル2まで郭清
組織学的悪性度;グレード2
核異型度:グレード1
エストロゲンレセプター:陽性90%
プロゲステロンレセプター:陽性40%
HER2:陰性(スコア1+)
KI67:35%
リンパ節転移:レベル1が12/15 レベル2が6/6 一番大きいものが7ミリ
サブタイプは初発とほぼ変わらないものの、リンパ転移数の多さに驚いています。
主治医も造影CTやエコー、術中の目視ではここまで転移数が多いと思わなかったよう
です。
術後の治療は
①抗がん剤(ドーデンスというやり方でアンスラサイクリング系の薬を2週毎に4回。その後タキサン系を通常サイクルで3か月)
②その後3~4週間あけて放射線
③ホルモン療法の順で提案されています。
②のあとはレージニオという分子標的薬も検討されているようです。
質問① 術後の治療については使用薬剤、順序等これでいいのでしょうか?
過去の投稿をみていますと、放射線が先かと思ったのですが、主治医は命にかかわる全身治療を先にと考えてらっしゃるようです。
質問② 腋窩リンパ節レベル2に6/6転移あるということは、レベル3はもちろん、鎖骨上にもすでに転移しているのではと懸念しています。
今回のように画像に写らなく、術前に把握できないこともあるのでしょうが?(ごく微少の場合など)
エコー(主治医がされています)や造影CTには映らなかったが、MRIやPETでは映っていたのでしょうか?
質問③ 術前に確認されていればレベル3までの郭清を希望したのにと悔やまれます。
今回の場合は追加郭清ではなく、放射線に期待するしかないのでしょうか?
可能であれば田澤先生に追加手術をお願いできたらと思うのですが、こうなった後では遅いでしょうか?
質問④ 今後の治療について遠隔転移の早期発見も含め、どのような治療、検査を行うべきかアドバイスいただきたく存じます。
(今までの定期検査がエコーなしだったのも気になっております。今後は何をリクエストすればよいでしょうか)
大阪のがんに特化した大病院に通院しております。
当初は経験豊富な先生に診ていただいていたのですが、この春より他院から来られた少し若めの先生に変わり、少し不安に思うところがあるのです。
年齢だけで判断してはいけないのですが、、、
宜しくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは田澤です。
担当医は全身療法に拘りすぎて局所を過小評価しているように(私には)見えますが…
今回の焦点の一つは質問者が気にしているように「レベル3(転移残存なのか?は不明ながら)の処遇」となります。
先ずは『今週のコラム 267回目 鎖骨下(レベル3)郭清 「隙間視野」と「直視下」』を熟読してください(できれば、コラム264~267まで順番に)
追加手術するとすれば、大胸筋をスプリットして直接レベル3を郭清となるでしょう。
ただし、そもそも本当にレベル2までキッチリ郭清(小胸筋内縁まで)しているのか? 知りようがありません。
★なので手術するとすれば(レベル2まではきちんと郭清してある事を前提に)レベル3だけを郭清することになります。
その上で回答
質問① 術後の治療については使用薬剤、順序等これでいいのでしょうか?
過去の投稿をみていますと、放射線が先かと思ったのですが、主治医は命にかかわる全身治療を先にと考えてらっしゃるようです。
⇒(私なら)局所治療を先行します。
(できれば手術)⇒放射線⇒その後は大よそ同じです。(dose denseはしませんが、
anthracycline+taxane ⇒ CDK4/6inhibitor + letrozole(anthracycline+taxaneの時点で化学療法閉経となっていると想定できるのでLH-RHagonistは併用無で)
質問② 腋窩リンパ節レベル2に6/6転移あるということは、レベル3はもちろん、
鎖骨上にもすでに転移しているのではと懸念しています。
⇒(鎖骨上はともかく)レベル3に転移が残存している可能性は(当然)その担当医も認めざるを得ない筈です。
担当医はその点について、どう話しているのですか?
★放射線で済まそうと考えているのは見え見えですが、(そもそも)レベルⅢ郭清の手技に精通していないから(最初から)手術で郭清するつもりが「さらさら」無いのでは?
質問③ 術前に確認されていればレベル3までの郭清を希望したのにと悔やまれます。
⇒その担当医に、その選択肢があったのか?(鎖骨下郭清は、できる医師が「かなり」限られています)
今回の場合は追加郭清ではなく、放射線に期待するしかないのでしょうか?
可能であれば田澤先生に追加手術をお願いできたらと思うのですが、こうなった後では遅いでしょうか?
⇒冒頭に挙げた通りです。
質問4 今後の治療について遠隔転移の早期発見も含め、どのような治療、検査を行うべきかアドバイスいただきたく
⇒3か月毎のエコーと腫瘍マーカーです。
今週のコラム 264回目 腋窩鎖骨下リンパ節(レベル1~3)の解剖
今週のコラム 265回目 腋窩郭清(レベル1+2)
今週のコラム 266回目 レベル3が視認できるまで
今週のコラム 267回目 鎖骨下(レベル3)郭清 「隙間視野」と「直視下」
***
再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2022/8/31
***