「ソムリエ麦ちゃん」って、知ってますか?
ネットでしか、会っていませんが楽しんでいます。
最近、彼のお勧めで嵌っているのが南アフリカワイン StellenrustとかPaul Cluver
昨日飲んだのが、これStellenrust Barrel Farmented
凄く美味かった。
フランスのブルゴーニュで買えば、この値段では買えない。
昨日の掲示板、naykさんの想い伝わってきます。
今日も昼過ぎからテニス。
終わった後、早めに食事。Paule Cluver seven flagsで早めに就寝
十分な睡眠で、明日も気持ちよく走って、万全の月曜日 perfectに行きましょう。
〇 本文
前回(264回目)腋窩(レベル1及び2)及び鎖骨下郭清について図解しました。
一見、簡単そう?に見えるこれらの操作の何が困難なのか?(つまり「避けられるようになってしまった」のか?)紐解いてみましょう。
まず、264,図1⇒図2
図1 図2
1.大胸筋の外側の膜を切離
ここで、「大胸筋を内側へ牽引する」と書きましたが、実際の操作としては
①大胸筋外側の膜を切離
大胸筋は「全周性に」膜で固定されているので、
このように、「外側の膜」を切離しなくてはいけません。
この操作は大胸筋からの血管を処理しながらの操作となります。
★この操作は視野がいい(遮るものが無い)ので容易です。
②大胸筋の内側への牽引
大胸筋の外側の膜を切離(遊離)することで、このように牽引することができるのです。
ポイント
・「筋肉は膜で固定」されている
・「その膜の中には(小)血管が存在」しているので、それを綺麗に処理しないと出血する(出血してしまうと、視野が悪くなる)
2.小胸筋の外側(手前)の膜を切離
①小胸筋外側(手前)の膜を切離
(1の操作で)大胸筋を内側へ牽引したことで、小胸筋が見えてくるので、この膜を切離することが可能となります。
レベル2は「小胸筋の裏」にあるので、小胸筋の「入口」を開けなくてはいけません。
この入口が外側(手前)の膜と内側(奥)の膜で塞がっているのです。
レベル2郭清の手始めは、「外側(手前)の膜」の切離なのです。
ただ、先ほどの「大胸筋(外側の)膜の切離」とは違い、腋窩静脈に接しているのでこの「青大将を傷つけるリスクが存在するのです。
(拡大)
拡大してみます。
untauchableな青大将(腋窩静脈)からは細い血管が小胸筋裏に数本出ています。
この処理が、やや難易度あり。
細血管① これは小胸筋膜内にあり、この膜の処理の際に結紮処理する必要があります。
この操作の際に小胸筋を適度に牽引して血管をピンと伸ばすのですが、その操作が荒いと細い血管が千切れて出血します。
まず細血管①を処理しながら「小胸筋外側(手前)」の膜を切離しますが、
無造作に小胸筋を(内側へ)牽引すると、(小胸筋の裏側にある)「小血管②」が千切れて出血します。
これは小胸筋の裏側にあるので視野も悪いため出血すると厄介です。
これら小胸筋の外側(細血管①の処理を伴う)及び裏側(細血管②の処理を伴う)をフリーにして初めて小胸筋を内側へ牽引することが可能となるのです。
普段「センチネルリンパ節生検」しかせず、リンパ節転移があると(きちんとした郭清を避けて)術前抗がん剤に頼り、「中途半端な腋窩郭清しかできない」乳腺外科医は、この操作(小胸筋の外側及び裏を遊離する操作)が「関門」となっています。
小胸筋の内側(奥)の膜の処理に比べれば遥かに視野はいいのですけどね。
3.小胸筋の牽引
(2の操作で)外側及び裏側が遊離された小胸筋は安全に内側へ牽引できます。
下図のように膜に鉱をかけて⇒内側へ引っ張ると(小胸筋の裏側にあった)レベル2が出てきます
これでレベル2までの郭清(所謂「腋窩郭清」)が終了です。
ポイントは
1.レベル1は大胸筋(外側の)膜を切離するだけで、(自ら)出てくるので郭清は楽(リスクを伴わない)
2.本気のレベル2郭清には
①小胸筋の外側(手前)の膜に入っている細い血管や小胸筋の裏側に出ている細い血管を処理する必要がある
②これらの処理には(少々)視野が悪い部位での「青大将からの出血のリスク」に直面する。
上記2の操作に慣れていない乳腺外科医は、中途半端な郭清(レベル1+α)となりがちなのです。
つまり、(小胸筋を完全に遊離せずに)「小胸筋の血管を処理しなくて済む範囲」で小胸筋を持ち上げて、その一番手前のリンパ節だけを郭清するような手技になりがちなのです。
中途半端な腋窩郭清
小胸筋裏のリンパ節(レベル2)が手前から奥に向かって①②③と並んでいるとすると
(小胸筋を遊離せずに)手前に見えている①だけを郭清することを「なんちゃって腋窩郭清(レベル1+α)」といいます。
次回の266では、いよいよ「鎖骨下郭清(レベル3郭清)」について詳説します。