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今週のコラム 266回目 レベル3が視認できるまで

 

Concha y Toro  Amelia chardonnay

ソムリエ麦ちゃん情報によると、スペインのコンチャ侯爵家が19世紀にチリでヨーロッパのワインを超えることを夢見たのが始まり。

そんなロマンあふれる歴史を思いながら飲むのは格別

果実味と塩見を帯びた強い酸味

南アフリカワインとは少し異なる主張があり、とても魅力的

「ふく鳥」の濃厚なスープと鳥の柔らかさ。 期待以上のものがありました。

 

○本編

前回、腋窩郭清(レベル1及び2)を紹介しました。

ここまでの操作は

1.大胸筋の「外側」の膜を切離して、これを内側へ牽引

2.小胸筋の「外側」の膜を切離して、これを内側へ牽引

というものでした。

つまり小胸筋の「外側(手前)」だけの操作で済むのです。

ここまでの腋窩郭清(レベル1及び2)と、これからの鎖骨下郭清(レベル3)の大きな違いは「小胸筋の内側(奥)」の操作であるということなのです。

(前回のおさらい)

 

これが(大胸筋及び小胸筋の)外側の膜を切って、レベル2まで郭清している視野です。

視点を変えないと、小胸筋の内側(奥)を見ることはできません。

 

 

 

それでは、どうするか?

小胸筋の内側(奥)を見るには、まず「小胸筋の内側(奥)」の膜を切離して、小胸筋を外側(手前)に引っ張りだす必要があります。

そのたまには、いくつかのステップが必要となります。

1.大胸筋と小胸筋の間を剥がす

大胸筋の裏に小胸筋があるわけですが、

 


① これが大胸筋が完全に覆っている状態

 

 

 

 

 

 

② 大胸筋と小胸筋が完全に剥がされて、大胸筋を内側へ捲り上げている状態

①の状態から、(大胸筋を内側へ捲り上げながら)この状態にするためには

小胸筋を貫いて大胸筋へ分布している(中間)胸筋神経や(伴走する)血管を処理しなくてはいけません。(乱暴に剥がせば血管が引きちぎれて出血します)

 

 

 

①’  実際に②の状態にするには、これらの処理が必要です。

 

 

 

2.小胸筋の内側(奥)の膜を切離する

1の操作で漸く、小胸筋の内側(奥)が見えてくるのですが、その膜の切離には注意が必要です。

 

③ 小胸筋の膜

小胸筋の膜には腋窩静脈(小胸筋の内側で鎖骨下静脈と名前を変えますが)へ交通する血管が数本あります。

この視野で「無造作に」膜を切離したら大出血で大変なことになります。

 

 

それでは、実際にはどうするのか?

 

④ 小胸筋の裏から(そーと)ペアンを入れて、小胸筋の内側へ通しテーピングします。

ここで(小胸筋内側の)膜の一部を(ペアンで)破って通すわけですが、慣れていないとこの場面で血管をやぶってしまい(狭い視野からの出血で)難渋することになります。

 

 

 

 

⑤ ペアンでテープを掴んで

 

 

 

 

 

 

⑥ 小胸筋にテープを通します。

 

 

 

 

 

⑦ このテープを外側へ牽引することで小胸筋の内側(奥)の膜が拡がり、その膜内の血管が「良く見え」かつ「ピンと伸びる」ので安全に処理(この膜の切離)が出来るのです。

 

 

 

⑧ 小胸筋の内側(奥)の膜が切離された状態

これで、安全に小胸筋を内側へ思いっきり引っ張りだすことができるようになるのです。

 

 

 

⑨ レベル3の視認

小胸筋の内側(奥)の膜が外れたことで、これを思いっきり外側へ牽引できるため、(その内側に存在する)レベル3が(漸く)視認できるようになるのです。