「8029 線維腺腫は必ず生検しなきゃいけませんか?」を読んで、
『田澤先生が今までご自身が診察する中で線維腺腫や嚢胞など良性腫瘍のある患者様も生検を進めるのでしょうか?」
→違います。
全くの誤解です。
例えば…
『今週のコラム 211回目 「迷ったら経過観察」ではなく「迷ったら、生検」この繰り返しが「生検そのものの精度を上げる」と同時に「エコー所見を経験から判断できるようになる」のです』の症例1は、
100%良性と言い切れる所見ではありません。
解説に書いたように
「境界は明瞭だし、癌を疑う所見ではない。」が、①『境界明瞭だが、いびつ(ひょうたん型)』②『血流もある(黒いシコリの中に赤い点がありますよね?これが血流です)』のです。
★私がこのコラムで記載した主旨は、(「良性と解り切ったものも、念のため生検しなさいではなく」)『良性所見だとは思うけど、癌の可能性も少しはあるかな(100%否定しきれない)と、迷った場合には生検しなさい」』と言っているのです。
カテゴリーで言えば、1,2は無視(良性と断定、迷っているわけではないから、無論生検不要です)であり、カテゴリー3(良性所見だが、悪性も否定できず)が対象なのです。』
以下に実例を挙げます。
この方は同側に2つの腫瘍がありました。
①腫瘍1 下外側の腫瘍
(画面中央)
綺麗な楕円形をしています。
しかも扁平(縦横比が低いと表現)
柔らかいからつぶれて平たくなるのです。
同じ腫瘍の別角度の写真
②腫瘍2 上外側の腫瘍
(画面中央やや左より)
①とは異なり、分葉状ですよね?
しかも、(扁平ではなく)やや張りがある。
同じ腫瘍の別角度
これで、皆さんどうしたと思いますか?(時間が来たので、回答は夜)
朝になってしまいましたが、(現在2019/11/20 am6:32)
①は「明らかな線維腺腫」として生検不要、しかし②は葉状腫瘍も否定できず(無論100%癌でないとも言い切れず)『迷ったので(経過観察ではなく)生検』しました。
結局、病理結果は「線維腺腫」でした。
ご理解いただけましたか?
何でもかんでも生検しなくてはいけないのではありません。
100%良性(迷いなし)→生検不要
癌を疑う→生検(当たり前)
癌を疑うわけでは無いけど、かといって100%良性とは言い切れない(万が一、癌だと困るから経過観察ね)→ではなく、『生検しなさい。』そういいうことです。