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今週のコラム 406回目 この患者さんが「思わぬturning pointを手にしたように」質問者にもchanceはきっとあるのです。

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昨日の市川帰りのランニング、暑かった!

例年8月第1土曜日(江戸川花火の日)が暑い時期なのですが、第2土曜日なのに暑かった!

オクラ納豆は丼にして、オカズとスパークリングはセブンイレブンセレクトで、暑いとスパークリングワインが激旨になります!

 

〇本文

週の後半までは別のテーマを考えていたのですが、週末舞い込んだQを読んでいて…

この内容は「コラム」で、きっちり回答したほうがいいな。(瞬間的に、そう思いました)

全国にきっと数多くいらっしゃる同様の悩みの方々へ届け―!

 

『11250 乳房の痛み、リンパ節転移、乳房全摘/温存の可能性、病院選択について 質問2(08月12日 08時40分受付)

 

以下、質問の抜粋 (癌なのにクラス3は、正直「論外」ですよ)

 

PETCTの結果、胸骨に2か所転移しているとのこと(1.5cm、5㎜)、ステージⅣ

1.胸骨転移の症状について

薬物療法等の効果が薄い場合、咳等が考えられますでしょうか。

無論症状は、全くありませんよ

 

2.骨の治療を優先する、その後左乳房手術の可能性を検討する。

⇒果たして「胸骨転移」の治療を優先する必要があるのか?

後で提示する「実例」を見て質問者自身がよく考えてみてください。

 

3.微熱、寝汗が続く件

前回も書きましたが、最高37.0℃位ではあるものの手のひらや上半身が熱っぽい日が続きます。

更年期障害かと思っているのですが、そうではなく腫瘍熱のようなものも考えられますでしょうか。

1000%更年期症状であり、それを酷くしているのは精神的ストレスです。

★腫瘍熱というのは癌の本当の末期に、その大量の腫瘍による発熱です。全く余計な知識であり、ネットの情報にも大変困ったものですね。(全く論外)

 

実例

 

前医でのPET

中央の「胸骨転移」と左乳腺(皮膚表面に露出した原発巣cT4b)

 

前医では骨転移(胸骨転移)があることで手術は拒否。「一生抗がん剤、手術はしない」と言われて当院を受診。

私は、胸骨単独の骨転移よりも「寧ろ」皮膚浸潤(cT4b)している原発巣が手術不能となる前に、手術することを優先と考えました。

★無論、これには患者さん自身の「とにかく、(胸の腫瘍は)気になるから手術を先にして欲しい」という希望があったことも後押しとなりました。

2017.〇, 〇  手術 lt. Bt+Ax, pT4b, pN3, luminal

術後 bevacizumab + paclitaxel (3投1休)を3クール

 

 

抗癌剤終了後の(当院)PET

胸骨転移、消失!(cCR)

 

 

ここで局所治療としてradiation ( lt. chest wall, lt. PS, lt. SC, sternum)

pN3ということでlt. chest wall及びPS, SCへのradiation

更に(画像上消失はしていますが)念のためにsternumへのradiation

 

その後はhormone therapy(Letrozole) + denosumab

術後もうすぐ6年ですがcCR継続中

 

(補足)

現在の治療方針だとCDK4/6 inhibitor併用するところですが…

1.その当時漸く当院の(CDK4/6 inhibitor)が始まったばかりだった。

2.相当遠方の方なので、(当初1か月毎に通院が必要な)CDK4/6 inhibitorを強くお勧めできなかった

おそらく上記1.2の理由でCDK4/6 inhibitorを併用していないのですが、(念のためdenosumabをしながら)hormone therapyだけでcancer freeの状態が「もうすぐ6年」なのです。

 

さて、11250の質問者さん!

この方がこのままホルモン療法を10年まで続けたら(きっと、このままcCRを継続すると私は予想し期待しています)根治だと思いませんか??

どうか、大いに参考にして自分自身でよく考えてください。

この患者さんが「思わぬturning pointを手にしたように」質問者にもchanceはきっとあるのです。