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今週のコラム 403回目 転移性乳癌の治療②

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先週、箱根に行く前日(土曜日)の屋上

珍しい2色カレーは

新潟の和牛カレーとバターチキンカレーです。

ライスの白と3色?となり、気持ちいい夏空に映えてます。

 

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そして箱根!

個室についた露天温泉(天然温泉ではありませんでしたが)が私の必須条件

 

標高のある箱根とはいえ、真夏の暑さでしたが、風がとっても気持ちいい!

足が写り込んでいるのも、ご愛嬌?

 

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そして、昨日梅雨明しました。

ふるさと納税で届いたばかりのカンパチを丼にして、西から届いたとびっきりのスパークリングワインで乾杯!

 

 

〇 本文

前回のコラムが手術不能①だったので、今回は②なのかな?と思いきや…

「今週のコラム 401回目 転移性乳癌の治療」に対しての続編として②としました。

前回(401)ではルミナールタイプだったので、cCR後CDK4/6 inhibitor+hormone therapyがポイントでしたが、今回はHER2 typeです。

症例 pT4b, pN2, HER2 type

本来ならば(当然のように)術後抗HER2療法されるべきでしたが、ご本人の強い拒絶(自己責任)で術後無治療

 

残念ながら、術後8か月目での肝転移出現(図の赤)

このスライス以外にもあり、結構な「多発」でした。

 

術後の抗HER2療法は拒否されましたが、さすがに再発となると…

『抗がん剤(抗HER2療法)頑張ります!』

しっかり決心されていました。

★化学療法未施行の方ですから、常道は

1.anthracycline⇒trastuzumab + pertuzumab + taxane(docetaxel)

2.(とりあえず、anthracyclineではなく、先に)trastuzumab + pertuzumab + taxane

上記どちらかが一般的でしょう。

ただ、私は(術後ケモを拒否した位だから、副作用が強いと「辞める」と言い出したら困るな。)との思いから選択したのは副作用が最も軽く、それでいて効果は同等であるeribulinでした。

と、いうことでtrastuzumab + pertuzumab + eribulinを4 cycle(3か月)施行しました。

 

 

見事に消失!

 

 

 

 

それから約2年。

肝転移は消失したままでしたが…

 

 

 

SC 再発です。

 

 

 

エコーで診ると…

こんな感じで結構大きい

 

 

 

無論、手術という選択肢もありましたが…

当時は(今ほど)私も鎖骨上郭清の経験が無かったので、手術を強くは勧めなかったのかもしれません。

いずれにせよ、ご本人は(肝転移に威力があった経験から)再度の抗がん剤治療をご希望されました。

レジメンは(前回と全く同様に)trasutuzumab + pertuzumab + eribulin

すると3か月後には…

 

 

cCR

画像上はnormal nodeのみとなりました。

 

 

cCRでしたが、ご本人が手術をご希望されたので手術となりました。

鎖骨上郭清施行 0/7  ←結局pCRが確認されました。

 

それから3年半が経ちましたが…

無治療経過観察でCRを持続中です。(肝転移で言えば消失してから5年近くとなります)

 

再発治療

『治らない。一生抗がん剤だ!』

こんな風に言われることが多いようです。

 

無論、大風呂敷を広げるつもりはありません。

ただ、昔とは違ってきています。

それは、サブタイプで言えば…

luminal type⇒ CDK4/6 inhibitorの登場

HER2 type⇒強力な抗HER2療法(trastuzumab, pertuzumab)の存在

TN type⇒免疫チェックポイント阻害剤(atezolizumab, pembrolizumab)の登場

ただ、せっかくのこれら「宝」も、持ち腐れのないように使わなくてはいけません。

時には局所療法として手術や放射線を上手に使って、とにかくcCRを狙うことです。

cCRとなることは、(再発前の)術後の状態に可能な限り近づけるという事です。

 

術後補助療法

時々、再発もしていないのに『乳癌は(手術の時点で)、既に全身を廻っているから必ず抗がん剤しないと再発する』ような馬鹿げたことを言う乳腺外科医がいますが…

1.術後補助療法を(自己責任などで)放棄する人や、有害事象で中止する人がいますが、それらの人達が全て再発するわけではない(今更、当たり前ですが)

2.術後補助療法は(例えばホルモン療法、anthracyclineやtaxaneなどの化学療法など)再発率を下げる(だから術後補助療法の適応となっているわけですが)

これら「当たり前」の事実から導き出されることは

術後の患者さんは以下の3群にわけられる

1群 治療(術後補助療法)をしてもしなくても再発しない

2群 治療しなければ再発する運命であったが、治療をしたことで再発を免れた

3群 治療しても再発した

★1群はそもそも全身に癌細胞など廻っていない

全身に癌細胞が廻っているのは2群+3群である。

 

2期のHER2 typeでいうと「術後補助療法としての抗HER2療法は再発率を半分にする」わけなので

1群 80%

2群 10%

3群 10%

つまり、そもそも「80%の人は全身に癌細胞など廻っていない=無治療で再発しない」と言う事実と、「全身に癌細胞が廻っていても、その半数は根治できる」と言えます。

 

話を戻すと…

再発してもcCRとすることで、(画像上見えないだけで、全身に癌細胞が廻っていたとしても)上記のように強力な全身療法で根治出来る可能性が出てくると考えるのです。