先週日曜日の屋上
ラーメンときたら餃子です。
ただ残念ながら「餃子の王将」ではなく、普通にセブンイレブンの餃子でした。
そしてマストの納豆オクラの上には(お気に入りの)目玉焼きとなります。
ところで…
何故「先週の写真」を使ってまで今日(土曜日)に(このコラムを)書いているのかというと、
そう!明日から久しぶりの宿泊。
今回は箱根、センチュリオン箱根別邸です。奇跡的に(ギリギリの予約でしたが)取れました。
日曜日月曜日と、ここ東京では激暑となりそうなので箱根には期待してます!
〇 本文
今回のコラムは、同じような境遇の方達の参考になるように事前のやりとり(手術相談メール)や実際の診察などを記載しました。
1.患者さん背景
前医術後、鎖骨下及び鎖骨上リンパ節再発の診断
更にPETを撮影して、上記以外の再発所見は無いことが確認されました。
患者さんが主治医に手術を依頼したところ「手術不能」との回答。
TNだからPD-L1抗体を測定した上での免疫チェックポイント阻害剤(pembrolizumab / atezolizumab)を勧められているようです。
(そこで)「手術相談メール」が私のところに来たのです。
2.手術相談メールのやりとり
まずメールのやり取りで『何故、手術不能なのか?主治医に聞いてみてください』を受けてその患者さんが主治医に手術不能である理由を聞いたところ、
『positionの問題』という返答がかえってきました(私はその主治医とコンタクトはせずに、全てその患者さんを介してのやりとりです)
positionという表現は、その主治医が外国人だからです。
そこまで確認したうえで、以下の条件で診察を引き受けました。
①手術可能かどうか?は私自身がエコーしなければ解らない
②その結果「結局(私でも)手術不能」となる可能性がある。(つまり無駄足となる可能性がある)
なぜ、上記条件を確認したのかと言うと結構遠方の方だったからです。
つまり、『まるで手術可能かのように言っていたから(ワザワザ)飛行機にのってはるばる来たのに、とんだ無駄足だった!』と、なるのは避けるべきだからです。
3.実際の診察
挨拶もそこそこに(いつもですね?)早速エコーです。
3-1 まずは(順番的に)鎖骨下からです。
このエコー解りますか?
それでは、この下に解説付きで…
小胸筋の内側に、これら鎖骨下リンパ節(①②)があります。
正確にいうと①は小胸筋裏なのでlevelⅡ
②がlevelⅢ(鎖骨下リンパ節)となります。
これが本来の解剖ですから…
初回手術ではレベルⅢまで郭清したことになっていますが、実際には(このように)
Ⅱまでの郭清だったのかもしれません。
いずれにせよ、このように手術操作が入っているので、実際には…
このように郭清したⅠ~Ⅱの部分は(術後)瘢痕となり、(危険な)腋窩静脈と癒着していて
腋窩側からは(riskが高くて)外せない可能性があります。
そこでエコーしながら以下のアプローチを考えていました。
アプローチの候補 1
大小胸筋を剥離して小胸筋内側へ
アプローチの候補 2
大胸筋を(小胸筋内側のライン上で)割って小胸筋内側へ
術者が行うエコーとは「こういうこと」なのです。
(少し脱線しますが)術前のエコーを技師任せにして手術に臨む術者の気がしれません。
3-2.鎖骨上
鎖骨上は(転移は)2か所ありましたが、
鎖骨上(外側)
ここは重要血管(内頸静脈、総頚動脈)からは距離があるので全く問題ない
鎖骨上(内側)
これは内頸静脈に「やや」近いですが、十分に距離があります。
これが重要血管との位置関係です。
私の出したカードは「手術可能」
私の感想
その主治医は手術不能の理由を最初は「ポジション」といい(ただ、私がエコーする限り)ポジション=重要血管との位置関係からは「手術可能」と考えましたが、
その後、更に「第2の理由」として「リンパ節に再発しているという事は、全身に再発しているという事」だから、手術は意味がない。
↑
このように言ったようです。
私は『(全身検索していないのであれば、まだしも)PETで他に写って居ないいないのだから、それは一方的な考え方であり根拠のない決めつけに過ぎない』とお話ししました。
手術をしない=(技術的に)手術できない理由として、それは余りにもナンセンス!
医師であるからには「根治の可能性を最後まで追求する」べきでしょう。
少し脱線しますが…
本日回答したQAの「肺転移」の中でも(質問者の)主治医が(有効な薬剤を)「取っておく」という言い方をします。
私はこれにも反対の立場です。
何故なら有効な薬剤であれば、それを(有効ではない薬剤を使って)敵が大きくなってしまってから使用するのはナンセンス!
敵(癌細胞)が小さいうちに、強力な薬剤を使用する方が理に適っています。
↑
これは術後補助療法で強力な薬剤(anthracycline, taxane)が再発率を下げるという事実から証明できます。
術後補助療法で実際に再発率が下がるということは、「敵が小さい=術後は画像所見では再発がないわけだから画像所見では映らないレベルの癌細胞をある一定の確率で死滅させている」ということになります。
敵が小さければ小さいほど強力な薬剤で死滅させる=根治を狙う。
そう思うのです。