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今週のコラム 343回目 乳房痛 それは更年期やストレスによるホルモン刺激症状ですよ。

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昨日は、気持ちいい土曜日でした!

肉と野菜のたっぷり入ったラーメンにパン、そして焼き鳥

この時期の喉の渇きには「鬼レモン」です。

 

このまま夏になるといいのにね。

 

〇本文

5月23日の掲示板で以下のように記載しました。

Q&A 10286 乳がん再発転移』を回答していて…

これに関しては、「今週のコラム 342回目」の内容とも(本質的に)重なることなので、是非「今週のコラム 343回目」として(その際には)詳細します

上記は「局所治療の重要性」について(私の経験を踏まえて)コラムにしようと考えてのコメントでした。

更に言うと…

来週(6月3日予定)に控えた「次なる動画撮影」の題材にするつもりです。

 

ただ、(ちょっと、言い訳がましいですが)最近のQAで「更年期に伴う乳房痛」がやたらと目立ったために、(局所治療の重要性は次回の344回目に延期して)今回はこのテーマとしたのです。

因みに、過去の今週のコラムでは「111回目」でも取り挙げていますが、流石に「かなり昔」なので参考にしてくれないこともありそうです。

 

「痛み」があると心配になるのは、仕方がないかなぁ?

頭では「乳癌は痛くない」と理解していたとしても、いざ「実際に痛みがあると不安になる」のは理解しなくちゃね。

 

 

それでは、質問形式で解説しましょう。

 

 

 

Q1 何故痛くなるの? 原因は?

A1 卵巣が不安定となり、(卵巣から)分泌される女性ホルモン(エストロゲン)分泌が不安定となるため、(その刺激で)乳腺や(脇の下にある)副乳が痛くなるよ。

これは(ホルモンの刺激による)「正常な乳腺」の反応なので、正常乳腺こそ痛いことを理解しましょう。

 

 

Q2 好発年齢は? (もしくは)誘因などは?

A2 年齢的には(更年期に向かって卵巣が不安定となってくる)30歳代後半~(実際の更年期である)50歳代頃までが典型的です。

また、妊娠出産授乳~(月経が再開してくる)時期もホルモンが不安定だから、やはり乳頭痛の原因となります。

特に出産~授乳期には(ホルモンの影響で)腋窩の副乳が大きく腫れることも多く「脇のシコリが痛い。これって乳癌?」みたいな発想となるようです。

★腋窩の副乳は(授乳が終わると)元の大きさに戻り、更年期になると「痛みを伴い」再び「存在感を示す」ようになります。

また、誘因として(上記のような妊娠や更年期と関係ないような)若年者でも、「新年度やライフイベント」などによる「強いストレスが原因となり卵巣が不安定となる」ことにより、しばしば乳房痛が起こります。

★新年度の時期に、新卒の年齢の若年女性が「乳房痛」で乳腺外来を受診するのはコレ(ストレス)が原因なのです。

 

 

Q3 典型的な症状は?

A3 「乳腺」や(腋窩の)「副乳」の痛みです。

ただ、(以下の管理番号10304で、質問者が訴えているような)

左側乳房、脇の下が痛く、左腕もらだるい

というのが典型的な症状です。

 

 

10000を超えるQAを虱潰しに紐解けば

 

 

1.胸や脇の痛み

⇒乳腺そのものがあるから

2.鎖骨下の痛み

⇒乳腺の(上の)端が痛むため

3.肩の痛み

⇒これは、(おそらく)乳腺ではなく、ホルモン不安定による肩関節そのものの痛みが原因と思われます。

4.腕のだるさ

⇒これも「地味に」多い典型的な症状です。

5.関節痛

これはエストロゲン欠乏症状であり、以下のような際に顕著となります。

・閉経前(特に30歳代)などで、(術後治療で)LH-RHagonistを使用することによる「急激なエストロゲン欠乏症状」

もともと若くて活発な卵巣が「人為的に急激に」抑え込まれるので「骨盤痛(卵巣そのものの症状」と一緒に起こります。

・更年期、特に(閉経間近で)エストロゲンが急速に低下している時期

例として『Q&A 2022年05月29日1 乳がんステージ1の再発率とタモシキフェンの副作用』を提示します。

(以下、抜粋)

2018年9月、右の乳頭腺菅がん(浸潤性)ステージ1で部分切除の手術をしました。

その時の診断が切除断片陰性、悪性度1、核グレード1、ER陽性、HER2陰性、腫瘍経9.5ミリ×3ミリki67→4.3%(20/467)、発見契機は胸の痒みと皮膚の赤みです。

リンパ節転移なし、ハーセプチン治療費無しでした。

術後、放射線治療、ホルモン療法しております。

1ヶ月ほど前から背中、腰の痛み、右腕のしびれなどが持続

今まで副作用らしきものはなく今年になって飲み忘れがちだった服用を毎日に飲むようになりました。

タモシキフェンの副作用なのか、再発,転移なのか不安な毎日です。

再発、転移の可能性濃厚なのでしょうか。

⇒(私の回答 以下、抜粋)

こんにちは田澤です。

再発、転移の可能性濃厚なのでしょうか。

「関節痛(腰や背中)」及び「腕の痺れ」「胸の張り」は更年期症状及びホルモン欠乏症状(関節痛は閉経前でLH-RHagonistを使うと顕著に出現します)

 

その他、最近のQAから供覧しましょう。

 

供覧

[管理番号:10274]
性別:女性
年齢:40歳
病名:
症状:左脇下ヒリヒリ・左胸時々鈍痛
投稿日:2022年5月14日

はじめまして。

昨年5月にマンモ・エコーをし左胸にシコリがあり組織検査をしたところ繊維種だとわかりました。
その後、5ヶ月後に再度受診する様に言われその時もマンモ・エコーをして異常なしでした。

今週の頭から左脇下がヒリヒリ痛く左胸の外側に鈍痛があるので心配でたまりません。

先生はどのように思いますか?

宜しくお願い致します。

田澤先生からの回答

こんにちは田澤です。
⇒正常な「副乳」です。

30歳代後半から(閉経へ向けて)卵巣が不安定となり、それに刺激されて胸(乳腺)や脇(副乳)が痛むのです。

ご安心を。

 

[管理番号:10301]
性別:女性
年齢:48
病名:
症状:
投稿日:2022年5月20日

ふとした瞬間、左乳房にズキンといった痛みが走るときがります。
痛みは一瞬で走り去るといった感じです。
これもホルモンの影響でしょうか?

田澤先生からの回答

こんにちは田澤です。

これもホルモンの影響でしょうか?
⇒勿論、その通りです。

皆さん癌と乳房痛を結びつけるのは何故でしょうか?
冷静になりましょう

 

[管理番号:10304]
性別:女性
年齢:48
病名:
症状:
投稿日:2022年5月24日

毎年、マンモグラフィー検診をしています。

次は7月に受ける予定です。

数ヶ月前より、左側乳房、脇の下が痛く、左腕もらだるいです。
質問のらあるあるを読みホルモンの刺激症状かなとも思っています。
しかし、痛みが長引いていること、朝起きてすぐそこに痛みを感じること、一日中痛いことから、病気を疑ってしまいます。

次の検診で、手遅れになることはないでしょうか?

田澤先生からの回答

こんにちは田澤です。

質問のらあるあるを読みホルモンの刺激症状かなとも思っています
⇒それこそ、正解です。

年齢や症状から、更年期に伴う症状であることは「火を見るよりも明らか」です。
最近、同様のQが目立つので、急遽「今週のコラム」に出すことにします

 

 

それと…

QAをやっていて気づくのは、「乳がんと診断された」あとに、『脇や鎖骨の辺りや肩が痛いから、リンパ節や鎖骨に転移では?』とコメントする人が多いことです。

また「腕がだるい」ことも「何か?転移に結びつける」ようです。

 

皆さん、お気づきですね?

それは「告知によるストレス」⇒ホルモンが不安定となって起こる症状なのです。