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今週のコラム 310回目 pembrolizumab 何故、今注目されるのか?

未だ夜明け前ですが…

今日も晴れてくれるかな? ワクワクしています。

 

『道民にとって、バウムクーヘンと言えばコレなんです。』注1)

ということで、またまたバウムクーヘン登場です。

『白樺の木肌』を表現したという「三方六」です。

 

 

DSC_0110

 

 

と、いうことで昨日はこんな感じでした。

左からClub Harie   治一郎 三方六

皆さんのお陰で、こんな夢の競演が😢

 

今日も晴れたら、食レポを…

2021/10/11追記

昨日も晴れました!

さて、食べ比べですが…(まずは、それぞれ違いあれど「美味しい」ことは強調しておきます)

まず、「治一郎」がわたしにとってのスタンダード(言い換えればひとつの「完成形」)だということにきづきました。(大袈裟?)

基本がしっかりしている(評論家でもないのに、偉そうにすみません…)

治一郎が(私にとっての)スタンダードとして、他の2つをコメントすると、

club Harieは、やや柔らかくて「優しい」感じ、(比べれば)少し甘い。

三方六は、(厚みが少し足りないのは)構造上仕方がないけど外側のチョコレートがいいアクセント

皆さんの食レポも(掲示板で)期待しています。

 

注1) ところで北のフネさん、同じ道民としてコメントを。

⇒「しょっぱい系」が好きとのこと。

個人的には「日本酒」には「しょっぱい系のつまみ」が合うけど、「辛口ワイン」だとどちらもいけます。

 

本題

『「トリプルネガティブの再発戦略」』を回答していて…

pembrolizumabを取り挙げることとしました。

 

それは何故?

 

 

 

 

(手術不能、再発)トリプルネガティブ乳癌に「適応拡大」されたからだよ。

そうなると、治療戦略は以下のようになります。

 

★ トリプルネガティブで再発した場合の治療の選択肢

1.従来の抗がん剤

2.atezolizumabを使う

レジメンは1択 atezolizumab + nab-paclitaxel

3.pembrolizumabを使う

レジメンは3択 ①pembrolizumab + gemcitabine + carboplatin

②pembrolizumab + nab-paclitaxel

③pembrolizumab + paclitaxel

 

 

えーと、atezolizumabは(前からあった)免疫チェックポイント阻害剤だよね。

そのpembrolizumabは何なの?

 

 

 

pembrolizumabもatezolizumab同様に「免疫チェックポイント阻害剤」なんだ。

しかも、機序が「かなり」似ている。

下の図を見てごらん。

 

 

腫瘍免疫

上が「がん細胞」下が「T細胞」

T細胞:腫瘍免疫を司る免疫細胞の一つ。

癌抗原を認識し癌細胞を排除する(腫瘍免疫)

 

 

 

なるほど!

T細胞君、癌細胞をどんどん捕まえてほしいね!

 

 

 

そうだといいのだけど…

癌細胞も「黙っては」いないんだ。

 

もう一度、図を出して説明するね。

 

癌細胞の「PD-L1」と「PD-L2」という2つの手が、T細胞に出ている「PD-1」を捕まえて無力化してしまうんだ。

 

 

 

 

 

 

そこでpembrolizumabの登場だね!

 

 

 

 

 

謎雄君、冴えてるね。その通り。

pembrolizumabがT細胞側の「PD-1」に結合することで、癌細胞の2つの腕(PD-L1/PD-L2)がT細胞を捕まえられなくなる。

捕まえられなければ、T細胞は活性化して癌細胞を排除(腫瘍免疫)できるようになるんだ。

 

 

それでは、atezolizumabの機序は?

 

 

 

 

atezolizumabは(pembrolizumabがT細胞側の「PD-1」に結合するのに対し)逆に癌細胞側の2本の腕のうちの「PD-L1」と結合するんだ。

 

 

 

なるほど、癌細胞の(2本の腕のうちの)1本と結合することで(2本のうちの)1本を無力化するんだね。

ただ、「PD-L1」は無力化されても、もう一本の腕「PD-L2」があるから不完全なのでは?

 

 

 

まぁ、理屈ではそうなるね。

製薬会社的には、「そこを強調」して、pembrolizumab > atezolizumab 的な力関係を匂わせているよ。

 

 

 

 

 

実際にそうなる?

 

 

 

 

エビデンス的には…

「直接対決」がないからね。

確かに個々の臨床試験の結果を比べてみよう。

ただ、併用されていた抗がん剤が違うからね。

KEYNOTE-355試験 pembrolizumabの有効性を証明した試験

この試験ではpembrolizumab併用により(プラセボ群に対して)ハザード比は0.65となる。

 

 

 

 

 

IMpassion130試験 atezolizumabの有効性を証明した試験

この試験ではハザード比は0.62

 

 

 

 

 

 

似たような薬剤と言えるよね。

それでは「使い分け」に困ってしまいそう…

 

 

 

ここで、最初の『★ トリプルネガティブで再発した場合の治療の選択肢』に戻ろう。

併用薬剤が違うよね?

それは、それぞれの臨床試験(KEYNOTE-355試験 , IMpassion130試験)の試験デザイン(実際に併用した抗がん剤)の違いが理由なんだ。

 

 

なるほど!

KEYNOTE-355試験での(pembrolizumabとの)併用抗がん剤は

1.gemcitabine+carboplatin 56%

2.nab-paclitaxel 29%

3.paclitaxel 15%

それに対してIMpassion130試験での(atezolizumabとの)併用抗がん剤は nab-paclitaxelだけなんだね。

 

 

そうなんだ。

それが「そのまま」適応となっているので、現実に「上記組み合わせ」でしか使えない。

 

 

 

atezolizumabをgemcitabine+carboplatinと併用したくても「できない」んだね!

 

 

 

現在大問題となっている『nab-paclitaxelの供給停止』により、現在はatezolizumabを使いたくても使えない。★

 

 

★ 現在、これが臨床の場で大問題となっています。

次回は具体例で説明します。