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今週のコラム 293回目 石灰化 2.石灰化の進展と誤解 早期乳癌は小さい(狭い)の?

梅雨入りせずに暑い今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

冬の間はワイン一辺倒だった私は、この時期「チューハイ」も飲みます。

今一番美味しいと「嵌っている」のは、「鬼レモン」 このレモン感、半端ない。一度ご賞味あれ。

 

〇 本編

1.癌の発生

 

癌細胞は、乳管の壁(の細胞)から発生し、

まずは、乳管内で増殖します。

 

 

2.癌の進展のパターン

 

 

癌の進展のパターンとして

左)比較的すぐに浸潤するパターン

右)浸潤せずに、乳管内で増殖すると、

中心部分が(血流不足で)壊死を起こす

壊死した細胞には石灰化が起こりやすい。

 

 

① 比較的すぐに浸潤するパターン

通常、石灰化はおこしません。

 

 

乳管内を伸展することなく、

乳管から「外」へ出て増殖し、

 

 

 

その場で、小さなしこりを形成

この「しこり」が3mm以上となると

上手なエコーでは発見されます。

 

 

② なかなか浸潤せずに、乳管内を長く伸展するタイプ

石灰化を起こす典型的なパターン

 

 

増殖した癌細胞が、浸潤しないと

乳管内を押し出されて、長い範囲に拡がっていきます。

 

 

 

 

長い範囲に充満した癌細胞が

「所々で」壊死して乳管内の石灰化が増加するのです。

 

 

 

なるほど、②のパターンだと、非浸潤癌(0期)の状態で広い範囲となりやすく、

①のパターンだと(エコーで小さいうちに見つけると)浸潤癌(1期)となる。

0期でも(温存手術できず)全摘となり、1期の方が(狭い範囲で)温存しやすいと言えそうだね。

 

 

Q&Aで、時々「急に出現した大きなしこり、恐怖!」みたいなケースがあるけど…

(下図のように)

マンモグラフィーで「たまたま」発見されない限り、気付かれずに

広く拡がった非浸潤癌(この時点では触知しない)が「複数個所で浸潤」すると、

「いきなり広い範囲の」マスとして出現することになりがちです。

この場合は「マス全体が浸潤ではない」ので「シコリは大きいけど、最大浸潤径は小さい=早期」となるのです。