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今週のコラム 231回目 抗HER2療法中にCEAが上昇し『再発か!』と思わせた2症例

皆さん、こんにちは。

番組改変期です。

日曜日朝『週刊『BUZZる』編集局~秘密のネタ会議』が終わってしまいました。

とりあえず、『スカロケ』『サンフリ』『安部礼司』が継続でホッとしています。

また、スカロケ終わりに速水 健朗のスローニュースが始まり少し楽しみが増えました。

例年とは違った新年度となってしまいましたが、「止まない雨はない」頑張りましょう。

 

 

〇本編

抗がん剤をしていると、腫瘍マーカーがちょくちょく動くことがあります。

私の経験上、よくあるのがTC療法中の肝機能障害に伴うマーカー(特にCA15-3)の一時的上昇です。

一応、警戒しますが(TCが)終了し肝機能が戻るのと歩調を合わせるように正常化します。

今回、それとは異なり抗HER2療法中にCEAが上昇し『再発か!』と思わせた2症例を紹介します。

 

症例1) trastuzumab投与中に甲状腺機能が低下し、CEAが上昇

上がCEA

下がT4(甲状腺ホルモン)

 

 

 

 

経過

pT3, pN3, HER2 type

術後補助療法 ECx4⇒trastuzumab(H)+docetaxel(DTX)x4⇒放射線⇒trastuzumab(H)x14

trastuzumab(H)単独となって数回目でCEAが異常値(6.0)となりPET撮影:異常なし

そのままH継続するも、CEAが12.3となった時点で消化管の精査目的で消化器内科紹介 注 1 )異常なし

その頃より「浮腫み」と「疲労感」の訴え 注 2 )が強くなる。

甲状腺機能低下症の症状と一致する為、内分泌内科へ紹介、甲状腺機能低下症の診断となる。

その治療(甲状腺ホルモンの補充)で正常化するに伴ってCEAも正常化していることが解ります。

 

甲状腺機能低下に伴うCEAの症状だったのです。

trastuzumabの副作用とは思えず、docetaxel併用中から「徐々に」CEAが上昇していることから、docetaxelによる甲状腺機能低下によるものと考えます。

消化管の精査目的で消化器内科紹介 注 1 ) :CEAは消化管の癌(胃がん、大腸がん)でも上昇するため

「浮腫み」と「疲労感」の訴え 注 2 ):docetaxel投与中には「よくある」症状ですが、trastuzumab投与になってからの症状なので最初は戸惑いました。

 

症例2) trastuzumab投与中に肝機能障害と共にCEA上昇

 

上がCEA

下がGOT(肝機能)

 

 

 

 

経過

pT2, pN2, luminalB(HER2陽性)

術後補助療法 ECx4⇒H(trastuzumab)+P(pertuzumab)+DTX(docetaxel)x4⇒H+P x14

docetaxelの終盤で肝機能上昇しウルソ併用開始、これ以降肝機能は(高めながら)ある程度安定化する。

ジワジワとCEAも上昇し、docetaxel終了し、trastuzumab+pertuzumabになって数回で異常値(5.6)となったため、PET撮影:異常なし

しかし、CEAは上昇し続けたため消化管の精査を行い異常なし。

『画像所見で不明ではなるが、さすがにどんどん上昇(最高値16.5)しているので、化学療法の併用を検討しましょう』

と、検討していた矢先、16.5(max)⇒11.8⇒7.9と自然に低下してきたのです。(正常値2.8まで下がりました)

 

CEAとGOTの関係をみると、肝機能障害から遅れてCEAが上昇し、肝機能回復から遅れてCEAが低下しているようです。

 

 

まとめ

抗がん剤投与中の腫瘍マーカー上昇は(注視しつつも)慌てないようにしましょう。

 

○ このQandAでよく見かけるQのパターン

 

Q 『TC療法中なんですけど、「肝機能と腫瘍マーカーが増加」しているんです。私って(抗がん剤中なのに)肝転移なの?』

 

 

A 『おそらく違います。(ゼロとは言いませんが)

頻度的に一番可能性が高いのが、抗がん剤(特にdocetaxel)による薬剤性肝障害、それに伴うマーカーの(見かけ上の)上昇です。』

 

○ 肝転移で肝機能障害がでるのは「かなり進行してから」です。(肝転移の大部分は肝機能正常です)

抗がん剤中の肝機能障害の99%は「抗がん剤による薬剤性肝障害」が原因です。