皆さん、こんにちは。
番組改変期です。
日曜日朝『週刊『BUZZる』編集局~秘密のネタ会議』が終わってしまいました。
とりあえず、『スカロケ』『サンフリ』『安部礼司』が継続でホッとしています。
また、スカロケ終わりに速水 健朗のスローニュースが始まり少し楽しみが増えました。
例年とは違った新年度となってしまいましたが、「止まない雨はない」頑張りましょう。
〇本編
抗がん剤をしていると、腫瘍マーカーがちょくちょく動くことがあります。
私の経験上、よくあるのがTC療法中の肝機能障害に伴うマーカー(特にCA15-3)の一時的上昇です。
一応、警戒しますが(TCが)終了し肝機能が戻るのと歩調を合わせるように正常化します。
今回、それとは異なり抗HER2療法中にCEAが上昇し『再発か!』と思わせた2症例を紹介します。
症例1) trastuzumab投与中に甲状腺機能が低下し、CEAが上昇
上がCEA
下がT4(甲状腺ホルモン)
経過
pT3, pN3, HER2 type
術後補助療法 ECx4⇒trastuzumab(H)+docetaxel(DTX)x4⇒放射線⇒trastuzumab(H)x14
trastuzumab(H)単独となって数回目でCEAが異常値(6.0)となりPET撮影:異常なし
そのままH継続するも、CEAが12.3となった時点で消化管の精査目的で消化器内科紹介 注 1 )異常なし
その頃より「浮腫み」と「疲労感」の訴え 注 2 )が強くなる。
甲状腺機能低下症の症状と一致する為、内分泌内科へ紹介、甲状腺機能低下症の診断となる。
その治療(甲状腺ホルモンの補充)で正常化するに伴ってCEAも正常化していることが解ります。
甲状腺機能低下に伴うCEAの症状だったのです。
trastuzumabの副作用とは思えず、docetaxel併用中から「徐々に」CEAが上昇していることから、docetaxelによる甲状腺機能低下によるものと考えます。
消化管の精査目的で消化器内科紹介 注 1 ) :CEAは消化管の癌(胃がん、大腸がん)でも上昇するため
「浮腫み」と「疲労感」の訴え 注 2 ):docetaxel投与中には「よくある」症状ですが、trastuzumab投与になってからの症状なので最初は戸惑いました。
症例2) trastuzumab投与中に肝機能障害と共にCEA上昇
上がCEA
下がGOT(肝機能)
経過
pT2, pN2, luminalB(HER2陽性)
術後補助療法 ECx4⇒H(trastuzumab)+P(pertuzumab)+DTX(docetaxel)x4⇒H+P x14
docetaxelの終盤で肝機能上昇しウルソ併用開始、これ以降肝機能は(高めながら)ある程度安定化する。
ジワジワとCEAも上昇し、docetaxel終了し、trastuzumab+pertuzumabになって数回で異常値(5.6)となったため、PET撮影:異常なし
しかし、CEAは上昇し続けたため消化管の精査を行い異常なし。
『画像所見で不明ではなるが、さすがにどんどん上昇(最高値16.5)しているので、化学療法の併用を検討しましょう』
と、検討していた矢先、16.5(max)⇒11.8⇒7.9と自然に低下してきたのです。(正常値2.8まで下がりました)
CEAとGOTの関係をみると、肝機能障害から遅れてCEAが上昇し、肝機能回復から遅れてCEAが低下しているようです。
まとめ
抗がん剤投与中の腫瘍マーカー上昇は(注視しつつも)慌てないようにしましょう。
○ このQandAでよく見かけるQのパターン
Q 『TC療法中なんですけど、「肝機能と腫瘍マーカーが増加」しているんです。私って(抗がん剤中なのに)肝転移なの?』
A 『おそらく違います。(ゼロとは言いませんが)
頻度的に一番可能性が高いのが、抗がん剤(特にdocetaxel)による薬剤性肝障害、それに伴うマーカーの(見かけ上の)上昇です。』
○ 肝転移で肝機能障害がでるのは「かなり進行してから」です。(肝転移の大部分は肝機能正常です)
抗がん剤中の肝機能障害の99%は「抗がん剤による薬剤性肝障害」が原因です。