Site Overlay

今週のコラム 232回目 BRACAnalysis検査の適応拡大 2020/4/13依頼分より

みなさん。こんにちは。

今朝走り出すときは「雨」でした。

しかし、だんだん小雨になってきて、後半ついに雨があがった。

「快適だな。」凄く気分が上がった自分がいました。

その時、思い浮かびました。

コロナが蔓延している今が「雨」なら、これが終息した際は「晴れる」ということ。

「晴れている時に雨が降ってくると気分は下がるけど(現状は、まさに「コレ」)、いつかは上がる。

「雨」が上がったときには、「気分は間違いなく上がる」そんな日は必ず来る。 それを想像するとワクワクする。

それでいいじゃない。

 

(本編)

○遺伝性乳癌卵巣癌症候群(hereditary Breast and Ovarian Cancer Syndrome, HBOC)の既発症者に対するリスク低減乳房切除術(Risk-Reducing Mastectomy, RRM)ならびにリスク低減卵管卵巣摘出術(Risk-Reducing Salpingo-Oophorectomy, RRSO)が保険収載となりました。

これについて、詳細します。

 

この手術(RRM)を受けるにはHBOCであること、つまりBRACAnalysisを行い「変異陽性」を確認しなくてはできません。

つまり、手術適応拡大の前に「(BRACAnalysis)検査適応拡大」となりました。

 

1.BRACAnalysis検査の適応拡大 2020/4/13依頼分より 注 1 )

今までは(HER2 陰性の)「再発乳癌」だけでしたが、RRMの保険収載にあたり、「再発していない乳癌患者さん」へ適応拡大となりました。

ただし以下の「条件」を満たす必要があります。

     ↓

   条件

家系内でBRACAnalysis陽性の方が確認されている

乳癌発症者(とは、いえ全員ではありません。以下のいずれかの条件を満たす場合です)

・45歳以下での発症

・60歳以下でのトリプルネガティブ発症

・2個以上の原発性乳癌発症 注 2 )

・第3度近親者内  注 3 )に乳癌または卵巣癌発症者が1名以上いる。

卵巣癌、卵管癌及び腹膜癌を発症

男性乳癌である。

 

注 1 ) RRM自体の保険収載は2020/4/1からですが、(そのためのBRACAnalysis適応拡大が4/13依頼分からなので)実質4月後半以降となりますね。

注 2 ) 娘結節が有っても適応とはなりません。あくまでも「全く別の区域」です。

注 3 )これは、かなり「広い」ですね。(祖父母や叔父、叔母、姪どころか)曾祖父母、大おじ、大おば、いとこなどまで含みます。

 

この検査は、どこの病院でもできるの?

 

 

 

「地方厚生局」に届け出が必要です。

施設基準は緩いので、乳腺外科医が常勤している病院であれば「ほぼ全ての病院」が要件をみたします。

♯ 因みに江戸川病院でも提出済です。

 

この検査が認可された病院であれば、RRMもできるの?

 

 

 

残念ながら、RRMの施設要件は(現時点では)厳しく、一般病院では満たせない(=RRMができない)

 

 

2.RRMが許可されている病院の要件

 

昨年RRMの保険収載の噂が流れ始めてから、

『保険収載されたら、江戸川病院で行いたい』と、複数の患者さんからリクエストされていました。

 

「残念なことに」

現状、当院ではRRMを行うことができません。

何故なら、RRMの実施施設要件として「遺伝カウンセリングを行う常勤医が必要」だからです。

いずれは「実施施設要件の緩和」が進むかもしれませんが、現状、大病院でないと、「遺伝子診療科」はありません。

◎まずは(上記のような)「大病院で行ってください」ということのようです。

 

一般病院が「遺伝診療科」を自前で備えることは(経営的にも)難しい。

(院内の)複数の診療科が「遺伝診療科」を必要としない限り、当院に「遺伝子診療科の新規立ち上げ」は困難だと思います。

 

現状では、「検査はできる」ので、RRMの希望者には検査を行い、

(その結果)陽性であれば「RRMの要件を満たす大病院 注 5 )を紹介」することになりそうです。

注 5 )当院の連携である東京医科歯科大学(手術助手もお願いしています)もしくは、「ご本人希望の病院」