乳がんは早期発見、早期治療を目指しましょう。乳がん手術は江戸川病院|乳がんプラザ



月曜日、先週に引き続き雨ですね。(まだ未明なので日中は晴れるようですが…)

先週は(4件目の手術が終わり)5件目の手術へ向かう廊下の窓から「雨が降っていない」ことを確認し、『よっしゃ!(天気予報では雨だったけど)濡れずに走れそうだ!』と喜んでいたのも束の間。

5件目の手術が終わり、「さぁ、走ろうか」と外を見たときの(雨がザーザー降っていたので)「ガッカリ感」は、そりゃもう大変なものでした。

★その日はランニングで「ぐっしょり」濡れました。(いつも「雨の中を走る」際には、「風邪ひかないように!」と願いながらですが、大丈夫でした。)

因みに、もう数年風邪をひいていません。

「どんだけ濡れても、風邪はひかない」そうは信じていても、私の頭の中はいつでも「晴れたらいいな」(ドリカムの曲にありそう?ですが)そんな思いでいっぱいの月曜日です。

 

本編

 

私『それでは、実際の手術手技を説明します。』

 

 

 

 

まず(大胸筋の上に載っている)乳腺を大胸筋から剥がします。

 

 

 

 

 

 

 

 

(剥した)乳腺を反転させます。

 

 

 

 

 

 

 

手術での切除範囲(青線で囲んだ範囲:乳腺とリンパ節)

リンパ節は大胸筋(及び小胸筋)の裏にあるので正面からは見えません。

♯ この状態では(反転した)乳腺とリンパ節はリンパ管で連続しています。

 

 

 

 

私『実際のリンパ節は大胸筋や(大胸筋の更に裏にある)小胸筋の裏側にあるので、正面からは見えません。

これを裏から見てみましょう。』

 

 

 

 

手術での切除範囲(裏から見た図)

裏から見ると、このようになります。

大胸筋の裏に入ったリンパ管が、(血管に沿って)内側へ連続します。

大胸筋の裏にある筋肉(肌色)が小胸筋です。

これより外側(乳腺より)がレベル1(グレー)、この裏側がレベル2(赤)、その内側がレベル3(白)となります。

 

 

 

実際の郭清

レベル1は大胸筋のすぐ裏に見えていますが、レベル2や3は大胸筋に隠れて見えていません。

 

 

 

 

 

私『大胸筋や小胸筋が被さっていて見えていないリンパ節(レベルⅡ、Ⅲ)をどのようにして郭清するのか、ご覧ください。』

 

 

 

 

 

 

①大胸筋に筋鈎をかけます。

 

 

 

 

 

 

 

 

小胸筋の露出

②これ(大胸筋)を内側へ牽引します。

これにより(大胸筋の裏に隠れていた)小胸筋が現れます。

小胸筋の外側(乳腺より)に見えているリンパ節(グレー)がレベル1リンパ節です。

 

 

 

 

レベルⅡの露出

③さらに、小胸筋にも筋鈎をかけて、これも内側に引っ張ります。(実際には小胸筋の膜を切離しないと鈎はかけれません)

そうすると、小胸筋の裏に隠れていたレベル2リンパ節(赤)が現れます。

★ただ、レベル3リンパ節は(小胸筋より更に内側:奥)なので、まだ見えません。

 

 

 

 

レベルⅢの露出

④小胸筋を(大胸筋から外し)テーピングして、先程とは「逆に」外側へ牽引

これにより小胸筋より内側(奥)にあったレベル3リンパ節(白)が現れるのです。

★レベル3リンパ節は奥にあり、(更に)大血管(腋窩静脈)に接しているため、郭清には注意が必要

 

 

Bさん『なるほど! 良くわかりました。

邪魔者(大胸筋と小胸筋)を、どうにかしてどかす(最終的には大胸筋は内側へ小胸筋は外側へ)かが鍵なのですね?』

 

 

 

 

私『その通りです。よく理解して頂けました。

今はこれらの筋肉(大胸筋や小胸筋)は切除せずに、「避けて」郭清している 注9 )のですが、過去には標準術式として両胸筋も合併切除 注10 )していました。

そうすれば、(上記のような)面倒な操作は不要で視野がいい(手術がやりやすい)ことが解りますね?』

 

注9 ) Auchinclossオーチンクロス法といい「(両)胸筋温存乳房切除(全摘)」と呼びます。

(リンパ節の筋肉浸潤でもない限り)これが一般的です。

注10 )これに対し、(大胸筋は切除せずに)小胸筋のみを切除する術式がPateyペティー法といいます。

♯ 術式は「大小胸筋の両方を合併切除する」全摘→(小胸筋のみ切除する)Patey→(両方とも切除しない)Auchinclossへシフトしていったのです

 

Bさん『それは何故ですか? 両方の筋肉も切除したほうが、(視野がよく)安全に手術できるのですよね?』

 

 

 

 

私『その通りです。 (筋肉を切除したほうが)術者としは楽です。

ただし、(小胸筋はいいとしても)大胸筋を切除するとあばら骨が浮き出て、「見た目」も「外傷からの防御」からも、敢えて勧める理由がないのです。』