カショギ氏殺害
久しぶりの時事ネタです。
それにしてもムハンマド皇太子!「全てを掌握する男」
人間、権力を持ちすぎると碌なことになりませんね。
権力が無ければ「普通のナイスガイ」なのでは?
◎アベマシクリブの登場(発売) 11月30日か(予定)
CDK4/6阻害剤としてパルボシクリブ1周年を迎える直前、同系統のアベマシクリブが登場します。
何故、同系統が?
使い分けはどうなの?
気になるところです。
★選択肢は多いに越したことはない。
パルボシクリブは昨年12月発売以来、11か月近く。
担当者(fizer)は(何と!)私の仙台時代にも担当していた顔なじみでもあり、突っ込んで色々情報提供してもらい安心して使っていました。
一方でアベマシクリブの担当者(イーライリリー)は、今回まで殆ど面識無く(私は、ゲムシタビンは使わないため)
アベマシクリブ発売前に、徹底的に両担当者に「使い分け」について議論を挑みました。
1.投与間隔
パルボシクリブは3週内服1週休薬に対し、アベマシクリブは休薬無し。
ここで面白いのは、それぞれの担当者が「その違い」を「自社製品のいいところ」と捉えているところ(思わず笑ってしまいました)
私 「パルボシクリブと何が違うの? セールスポイントは何?」
イーライリリー氏 「アベマシクリブは、”休薬無し”なんです。」
私 「えっ? そこがセールスポイント? 患者さんにとっては、休薬=休息だから、休薬が無いことは寧ろ嫌なことですよ?」
イーライリリー氏 「そうではありません。休薬しないからこそ効果が期待できるんです。そして何故、パルボシクリブが1週間休薬しなくてはならないかというと、白血球(好中球)減少するが故なんです。当社の製品(アベマシクリブ)は安全に継続して内服できる=効果がいい。そういうことなんです。」
◎後日
私 「アベマシクリブ(の担当者)は、”休薬無”を売り込んでたけど。」
Fizer氏 「いやー、(あちらは)そう来ましたか。患者さんにとっては”休薬がある方がいい”ように思います。当社の製品(パルボシクリブ)は休薬しても効果があるんです。」
★ 同じ内容を
イーライリリー社は「休薬せずに続けられるから効果がある」といい、fizer社は「休薬無しでは患者さんが大変」と主張しています。
皆さん。「物は言いよう。」ですね。
2.服薬
パルボシクリブは1日1回ですが、アベマシクリブは1日2回
回数は少ない方が楽ですよね?
3.副作用
添付文章を読むと「山ほど」記載されていますね。
ただ、実際に起こるものは?
〇パルボシクリブ(この1年だけでも私には多数の使用経験があります)
好中球(白血球)減少症:(私は)ほぼ抗がん剤で叩いたのちに使用するので、どうしても減量投与になりがちです。(自覚症状は殆どありません)
(それ以外は)脱毛も含め、殆ど困る副作用がない。
( 拡大 )
脱毛もグレード3は無く、殆どが1
口内炎や悪心もグレードが低い(軽症)であることが一目瞭然です。
♯ これは(私自身の)11か月の使用経験のimpression通りです。
★ここが、最大のチャームポイントとなります。
数年前に発売された(経口分子標的薬である)エベロリムスとはここが最も違います。
(効果があったとしても)副作用が強ければ継続困難となるのです。(私はエベロリムスは「その理由で」使っていません)
〇アベマシクリブ
これは発売前だから(無論)使用経験がありません。
当然のことながら、イーライリリー氏には「ここ」を重点的に突っ込みました。
問題となるのは「下痢」
8割に起こり(酷いのは1割)最大の問題となります。
ただ(イーライリリー氏によれば)止痢剤で十分対処可能
4.効果
本来、一番重要なことのようですが…
効果は、両薬ともに『FDAの優先審査指定で承認された』というお墨付きであり、 「直接比較がない」上に、臨床試験(一次も二次も)の患者背景が異なるのです。
つまり、優劣の議論はできない。
5.サブ解析
患者背景が異なることは敢えて承知の上で、「使い分け」を想定すると…
「軟部組織(リンパ節など)や骨転移」にパルボシクリブは強く、
「内臓転移」にアベマシクリブは強い。
そして内分泌一次抵抗性(ホルモン療法による補助療法2年以内に再発)の方にもアベマシクリブは強い。(比較しているわけではないので、これはどうかな?)
6.結論
高齢者や副作用に弱い患者さんには、アベマシクリブはつらそう。(下痢がこわい)
パルボシクリブで好中球が低下して減量投与となっている(だけど「若くて、体力がある」)患者さんにアベマシクリブを試みる価値あり。(イーライリリー氏曰く、『好中球減少症はパルボシクリブよりも軽い筈』)
骨転移と内臓転移の使い分けも参考に。
12月からはパルボシクリブは(2週間処方の)縛りがなくなります。
アベマシクリブは、この1年間は「2週間処方の縛り」があります。