先週の「プロフェッショナル 仕事の流儀」
FMでしか知らなかった「一之輔」
私にとっても新鮮でした。
業界でも群を抜く「寄席の数」
それでも、2年先まで予定が埋まっているとの事。
そのような多忙な日常の中でも、「その先を見つめて、更なる向上を模索する葛藤の日々」
「本物」の凄みを感じました。
「阿部哲子」という最強パートナーを得て、ますますサンフリは黄金期を迎えています。
○今日のサンフリ
一之輔
「NHKって凄いねー。まるで俺って、いつも悩んでいるみたいだよね?」
「そんなに陰気な男じゃないけどね。NHKにかかると…」
「寄席の後も、楽屋でただ疲れたなーって、顔していただけなのに…」
(それを)放送では『客の反応が良くなかった。その時、一之輔は悩んでいた。』
(テレビで見ていた)かみさんから、「あなたって、あまり受けていないの?もっと受けてるんだと思ってた。」だって。
一之輔
「そんな事ないよ。結構受けていたのに。まるで(客に)受けなくて悩んでいるように(NHKは)作るんだもんなー。俺って結構面白いよ? 本当、営業妨害だよ(笑)」
いいね。この感覚。
いつまでも続いてほしい。
○今週の「騎士団長殺し」からの一文
『私達が直面しているのは、関数ばかり多くて、具体例な数字がほとんど与えられていない方程式のようなものだ。何よりもひとつでも多くの数字を見つけ出さなくてはならない。』
「管理番号4631 HER2陽性の手術不能乳癌の化学療法」
(以下、抜粋)
『「適用」「適用外」というのはどのような基準で決まっているのでしょうか。お医者様個人ですか?それとも病院の方針ですか?あるようでない癌センターとやらのガイドラインでしょうか。』
これを読んだ際、「今週のコラムのテーマは、これだ!」
迷わず決めました。
○「適応」と「ガイドライン」
これらは「似て非なるもの」です。
上記4631で回答したように、「適応」とは絶対的なものです。
1.適応
それは、その薬剤が厚生労働省で認可される際に「承認」された「対象疾患」なのです。
つまり、国は「この疾患が対象なら、保険診療として認めますよ」という「国からのお墨付き」なのです。
「何を見れば、適応が解るのか?」
答えは「添付文章」です。
○術前術後に適応のある薬剤
・epirubicin hydrochloride (ファルモルビシン)【アンスラサイクリン系抗がん剤】
♯適応症が「乳癌」となっていますよね?
これは「乳癌であれば、何でも(術後補助療法でも、転移再発でも)OK]ということです。
・paclitaxel(タキソール)【タキサン系抗がん剤】
同様に適応症は「乳癌」となってます。
・docetaxel(タキソテール)【タキサン系抗がん剤】
(商品名が)タキソールと名前が似ているので注意
♯ paclitaxelと双璧を為す「タキサン系薬剤」
・Trastuzumab(ハーセプチン)♯HER2+のみ
歴史的に、(最初は)「転移性乳癌のみ」に適応(2001)⇒(やがて)「乳癌」へと適応が拡大(2008)
♯ここには「術後」となっていますが、細かく言うと
「術後のみ(2008)」⇒「術前も正式にOK(2011)」となっています。
○「適応が乳癌」となっているのに、「術後補助療法で使ってはいけない」と警鐘をならしているもの
・nab-paclitaxel(アブラキサン)【タキサン系抗がん剤】
♯下記のように「補助化学療法における有効性及び安全性は確立されていない」とされているのに、(paclitaxelやdocetaxelと同じ感覚で)アブラキサンを使用することは「誤り」なのです。
・UFT
経口抗がん剤で「唯一」「乳癌で適応症」が通っている。
ただし歴史的背景にすぎず、実際には標準療法では用いられない。
○術前術後は適応外であり、「手術不能または再発乳癌」のみに適応のある薬剤
上記薬剤以外は、全てが「手術不能又は再発乳癌」のみが適応となるのです。
(例)
・capecitabine(ゼローダ)
・Tegafur/Gimeracil/Oteracil(TS-1)
・bevacizumab(アバスチン)
・eriblin(ハラヴェン)
・vinorelbine ditartrate(ナベルビン)
・pertuzumab(パージェタ) HER2+のみ
・Trastuzumab emtansine(カドサイラ) HER2+のみ
2.ガイドライン
適応のように国から法的に承認されたものではありません。
学会などが、「日本中どこでも均質な治療が行われるように」定めているものです。
日本で用いる代表的なものは、勿論「乳癌診療ガイドライン」がありますが、海外のものとしてはアメリカのNational Comprehensive Cancer Network (NCCN)のガイドラインは私も良く使っています。
☆国が「適応症」として「法律」をあたえ、(その範囲内で)学会などが「このようにした方が良い」と(ある程度の幅をもった)ガイドラインを示すのです。
☆☆我々、現場の医師は『適応症を守るのは大前提、ガイドラインから逸脱しないように診療を行う』ということなのです。
ここで、4631に戻ると…
HER2陽性、手術不能乳癌
1.「適応」という観点でみると…
全ての薬剤が適応となります。
♯つまり「どの薬剤」を用いても「適応外」とはなりません。
2.ここで「ガイドライン」という観点でみると…
明記してあるのは
「CQ20 HER2陽性転移・再発乳癌に対する抗HER2療法は勧められるか」(乳癌診療ガイドライン 治療編2015版)
推奨グレードA トラスツズマブとペルツズマブとドセタキセルの併用療法は強く勧められる。
推奨グレードB 化学療法とトラスツズマブの併用療法は勧められる。
●ここには「HER2陽性 手術不能乳癌」という記載が見当たりませんが、「手術不能乳癌と転移再発乳癌は」添付文章では「手術不能又は再発乳癌」と一括りにされていることからも解るように、『手術不能乳癌と転移再発乳癌の扱いは一緒』なのです。