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今週のコラム 77回目 針は「枠」にしか刺せないのです。

暖かくなってきました。

すっかり春を感じます。

 

○故郷

この1週間で(比較的珍しい)「新潟からの患者さん」をたて続けに診察する機会にめぐまれました。

新潟は私の人生最初の18年間を過ごした場所。やはり思い入れがあります。

紹介先の「新潟南病院」という文字を目にした時、私の脳では「新潟南高校」に瞬時に変換されていました。

 

時代は「チェッカーズ」「CCB」を経て「カラフル」を求め、カラーソックス、カラーTシャツが流行する中、

自由を求め(初めて)自分で選択し、入学した高校。

 

「高校生になってまで先生に服装をとやかく言われたくない。」そう思っていました。

(校則にあるような)白いソックスも白いワイシャツも着た事はなかった。

だけど、先生から「そんなこと」で注意された事も無かった。

 

昼休みの級友とのソフトボール、そして放課後のバレー部の練習、夜ごと、家にたむろして悪友とのバカ話。

 

そんな楽しい高校時代でしたが、(同時に)閉塞感を感じ始めていました。

新潟と言う土地柄は、「袋小路」なのです(同郷の人、ごめんなさい)

そこは「行き止まり」なのです。

そこに居る限り、どこへも行けない。

同級生は皆「新潟大学(地元ではシンダイと呼ばれています)」へ入学、そんな「シンダイ」は同級生や同県人でいっぱい。(共通1次世代の私の頃は、地元率がとても高い大学でした。今は解りませんが…)

 

新潟から出たい。

いつしか、そう思い始めていました。

新潟で暮らすこと。それは、想像するに…

(ここからは私の妄想です)

 

★日曜日、ある晴れた日

床屋へ行くと、「よお、篤! いつもの髪型でいい?」

私を出迎えた床屋の主は(同級生の)「剛」です。

 

「剛、今日飲みにいかない?」

 

「OK.篤知ってる? 道夫がさー。新車買ったんだぜ。あいつさー」

 

「えーっ?まじかよ。あいつ、この前買い換えたばっかりだよな。 どういことよ? それなら、今日、道夫も呼び出そうよ。」

 

「床屋、早く閉めるから、3人で楽しくやろうぜ。早く閉めると嫁さんが煩いんだけどね。」

 

「順子(剛の妻、そして同級生)ちゃん、昔から厳しかったもんなー。」

「“男子達、まじめに掃除しなさい!”って、俺ら歳とっても変わらないねー」

 

「全くだ! アハハハハ。」

 

(以上、全くの妄想です)

そんな人生(?)も今では、少し憧れたりしますが、高校生の当時とても窮屈に感じていたのです。

 

とにかく、新潟から出たかった。

現役で入学したのは九州大学(福岡)。とにかく(できるだけ)遠くへ行きたかった。

しかし、僅か数カ月で退学し、翌年東北大学へ入学することとなるのですが…

 

ここから先は、この「今週のコラム」が続く限り、いつかはお話する事もある(?)かもしれませんが…

今回はここまで。

 

○「騎士団長殺し」からの、今日の一文

潤いのない単色の世界だった。まるで画家が途中で興味を失い、染色することを放棄してしまった風景画のようだ。

 

○FMから流れたshort story

ボブ

「おい、マイク。 100$でお前から買ったテレビだけど、1hもしないうちに映らなくなってしまったぜ。」

マイク

「何だよ、ボブ。お前から貰った100$だって、1hも持たなかったぜ!」

 

 

○ST-MMT(stereotactic mammotome biopsy)

「石灰化三部作」として、このホームページ創世期に特集しましたが、またまた登場です。

通常は簡単な手技であり「挟んだ状態で、20分程度」で終わるのですが…

稀に「難関症例」に遭遇します。

♯患者さんは、医師より『あなたは「①奥にあるから」とか「②薄いから」難しいんだよ』などと言われたりします。

それは、どういう意味なのか、説明するのが(意外に)難しいと思い、今週のコラムに取り上げる事としたのです。

「原理」

原理は簡単です。

左図のように

「固定」して(位置を)「測定」して(その部位に)「正確に針を刺す」

 

 

 

 

採取に苦労する条件

「①奥にある」

針は「枠」にしか刺せないのです。

(下図)であれば、簡単に枠に入れるように挟めますが、(上図)のように「石灰化が奥に存在」する場合には、『枠内まで引っ張りだすのに大変な苦労を要する』ことが容易に想像できますよね?

♯患者さんには「思いっきり引っ張り出すので痛いですよ。」といいながら、(患者さんには我慢を強いながら)強い力で引っ張り出さなくてはならないのです。

時に「どうしても、引っ張り出せない」そういうことなのです。

 

 

「②薄いから」

これが意外に説明するのが難しいところです。

段階的に説明していきます。

・針の構造

ST-MMTの針は左図のように、「窓」がついています。

そして、針の「内部は空洞」となっており、「矢印」のように吸引圧で、この「窓」から引っ張り込んで採取するのです。

 

 

 

 

 

・針の誘導

実際には、(コンピューターで計算した)石灰化の位置へ、この針の「窓」を

合わせるのです。

♯この「窓」以外からは引っ張りこめないのです。

 

 

 

左図のように石灰化が「底面」近いと

石灰化が採取できないことが解りますよね?

 

 

 

 

 

 

◎対処法は「石灰化を浮かせる」