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江戸川病院乳腺センター長 田澤篤 さん 235件

江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2025-02-07 08:29:16  掲示板 2025年2月2日~2月8日

右側浸潤性乳管癌ステージ1 タモキシフェン服用でうつ病、休薬するか迷っている』を回答していて…

私が仙台時代(11年以上前になりますが…)学んだこと。
無論(大学病院ではなく)東○公○病院でK先生とH先生から学んだことです。

乳腺外科医のエキスパートとなるための掟(仮称)
1.どんな小さな所見でも、必ず針を刺しなさい。
5mm以下を細胞診するなど、(大学病院では)全くあり得ない話でしたが、(ここでは、まず)最初に「厳しく」言われました。
そのおかげで今があるのは間違いありません。

2.術後補助療法では、副作用(有害事象)が最優先事項であり(患者さんの希望あれば)「即刻」中止としなさい

ここでは上記2に焦点を当てます。
治療をするにあたって、常に意識すべきは(この患者さんは)「何のために」この治療をしているのか?です。
それは(その患者さんに対峙した際には)必ず頭になくてはいけません。

★ 一番シンプルに言えば「術後補助療法」のためなのか?「再発治療」なのか?
⇒具体的に言うと…(東○公○病院赴任初年度となるので、20年以上前!のことです。それでも「明確に」頭に残ってます)

術後補助療法として抗癌剤をしていた時のことです。
患者さんから『先生、かなりキツイから止めたいんだけど…』と言われ、返した言葉が
『○○さん、あなたはリンパ節転移もあるし(ガイドラインを念頭において)抗癌剤続けなくてはいけません』

これを耳にしたH先生から
『おいっ!○○さんは、術後補助療法だろ? 何故強要するんだ。(今現在)再発して腫瘍があるわけでもないのに、(それなのに)抗癌剤を無理強いして「何か」起こったらどうなると思っているんだ?

★術後補助療法は(それをしなくても)そもそも再発しないかもしれない患者さん達への治療なのだから「実際にあるかどうかわからない再発予防効果」よりも(現にそれ(抗癌剤)をすることにより生じている)『患者さんの危機(ここでいう「危機」とは実際に生命を脅かしうる合併症である間質性肺炎、重篤感染症に限らず、鬱も本当に進行すると「自殺企図」にも繋がります)など』を優先すべきなのです。

再発治療とは明確に区別が必要です。
再発治療とは(そこに命を脅かしうる)癌が「現に」存在し「治療しなければ、(程度の差こそあれ)癌が進行し「確実に」命を脅かすこととなるのです。
★再発治療の場合には、「治療を辞める」という選択肢ではなく必ず(それに代わる)代替案が必要となるのです。

術後補助療法の対象は『それをしなくても(実際には)再発しない人たちが多く含まれている。 (逆に言えば)それをして利益を受ける人は極めて限定的である』
この認識が重要なのです。

「本来、しなくてもよかった治療を強いて、治療関連死を招くことは絶対にあってはいけない」

QAで時々「副作用が辛いので止めたい」と主治医に行っても「それは副作用ではない」とか「ガイドラインで推奨されているのだから我慢しろ」と言われて、すごく悩んでます。
などというメールが来ると、いつも思います。

◎君(その主治医)は、「この患者さんは、実際には術後補助療法しなくても再発しない可能性が十分にある」という認識があるのか?
それでも、その患者さんのQOLを著しく損なっても許されると思うのか?
(極論すれば)もしも、(強要されることで)鬱が酷くなり自殺に発展した場合、あなたは責任とれるのか?そもそも「鬱がひどくなっても、この治療を継続しなくてはいけない」という根拠がどこにある?




江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2025-01-22 07:12:45  掲示板 2025年1月19日~1月25日

12356 追加質問を回答していて…

luminal typeに話を絞るとしてですが。
質問1での「グレードがうんたらだから抗がん剤を勧める」という担当医のコメントは「明らかに」誤り♯1

そして追加質問では、(何故か?)その担当医は今度は「海外の検査=OncotypeDXをしてから治療方針を決める」にシフトしています。
これは、上記♯1に比べれば「数段の進歩」と言えます。♯2

但し、最終的に(全てを理解したうえで)決めるのは患者さん自身なのです。

つまり患者さんが(OncotypeDXするまでもなく)最初から
1.抗癌剤は絶対にしません。
もしくは
2.(心配だから)是非抗癌剤したい。
のような明確な意思があれば、それ自体「医学的に誤りではない」のだから、そのような意思があれば「それに従うべき」であり、そこで『あなたの思うようにはさせない。もしも抗癌剤したくないというのであれば、OncotypeDXしてから(そして、その結果がlow riskと証明されてから)にしなさい』というのは絶対に誤りです!
医師が「抗癌剤」や「OncotypeDX」を強要することは絶対にあってはならない。

医学的な説明をし、それを理解された上では患者さんの意志が絶対である。
それを勘違いしている医師が多いので今回のような問題となると私は思います。

①まずは患者さんの意志
②その上で、迷うのであれば「じゃーOncotypeDXをして決めましょうか」となります。

上記①②を通り越して、(まるで自分が全脳(全農?)の神(紙?)が如く)「あなたはグレードが高いから抗癌剤しなきゃいかん!」などとは、とんでもない話。
あんたの言うことを聞けば100%再発しない(逆に言うことを訊かなければ100%再発するのか??)
   ↑
 全く、違います。だからこそ最終的な決定権は患者さん側にあるという認識を大事にすべきなのです。
♯ これが不足するがゆえに(先週の)高齢者に抗癌剤?みたいな話になるのです。(一時が万事!)




江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2025-01-05 12:31:21  掲示板 2025年1月5日~1月11日

昨日(1月4日)から新年スタートのQA

私の心の琴線をかき乱す内容が…(あくまでも、その主治医の発言に対してです)早々2番目に登場。
2025 も「unbelievable」な人たちが数多く出現しそうです。

早期乳癌、ルミナールタイプ(ER, PgR共に強陽性)Ki67=5%
これだけ見ても(OncotypeDX勧めるまでもなく)抗癌剤無だね。と思いながら読み進めるも、その「落ち」が『悪性度が2だから抗癌剤を勧める』とは…

新年早々、吉本新喜劇じゃーないんだから「ズッコケ」もいい加減にしてほしい!
OncotypeDXも(流石に)保険適応となっているのだから、(もしもOncotypeDXしないとしたら)次に参考にすべきKi67=5%なのに「抗癌剤を勧める」とは、いったいあんたは「抗癌剤メーカーの回し者ですか?」

今年のunbelievable大賞? まずはノミネートです!




江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2024-12-26 08:04:09  掲示板 2024年12月22日~12月28日

『Q&A 術前治療について 12/25 08:16』を回答していて…

質問内容は本日(公開されるであろう)QAを見てもらうとして…
(以下が、その回答です)
♯皆さん、(質問者の)担当医の治療提案どう思いますか?
表現するとしたら…
その患者さんを診ているのではなく、たんなる「HER2陽性乳癌には、この治療法」というマニュアルブックを開いているが如くの治療(提案)
自分自身のその提案がおかしいと思わない?
★マニュアルブックではなく、目の前の患者さんを診るべき。
よく考えれば、何処かがおかしい。そう気づいてほしいものです。

(以下、QAの回答)
私がこのメールを読んで率直な感想ですが、(担当医には大変申し訳ありませんが、)医師としてというより「人間としてセンスが余りにも乏しくて残念」ということです。

「HER2陽性では術前抗がん剤(抗HER2療法)をしなくてはならない」という固定観念から抜け出せずに、「目の前の患者さん」に対してのベストな治療という考え方が決定的に欠如しています。

そもそも(HER2陽性云々ではなく)84歳の早期乳癌で「抗癌剤ありき」という考え方自体、(私から見れば)正気の沙汰ではありません。

私の常識では
80歳以上で(HER2陽性であろうが、トリプルネガティブであろうが)術後補助療法として抗癌剤(抗癌剤+ハーセプチンも含む)を選択することはおよそ考えられないし、絶対に私から提案することはありません。
★強いて言えば、かなりの進行状態であり、かつ(ご本人、ご家族自ら、抗癌剤をご希望)という条件があれば検討するという程度です。

母は、この治療でいいのかとても悩んでおります。
年齢的のも術前にこの治療をした方がいいか悩んでいます。
⇒上記コメント通り。
全く、私にはその担当医の提案は「馬鹿げている=固定観念に縛られて、正気を失っている」としか思えません。
早期乳癌の84歳で「抗癌剤ありき」とは… 全く理解不能。経験不足だけでは言い訳にならない程センス無さすぎ!

希望すれば田澤先生の診断もお聞きすることは可能でしょうか。
⇒手術です。
もしも温存であれば「大きく切除して(術後)照射も省略」
それが私にとっての常識です。




江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2024-12-23 07:03:56  掲示板 2024年12月22日~12月28日

コラムで感じた追加
他の医師が「cCRできるわけないじゃん」と考えざるを得ない環境にあるとしたら、それら医師に私が(彼らにはできない)「成功体験」を直接お伝えしその考え方を少しでも変えられないか?
ちょっと、そう思いました。

今日、外来カルテを予習していて、
再発に際し主治医から(もともとステージが高かった上に)早期で再発したため『あなたは半年は無理だと思う』などと言われた患者さん。
私が最初に診察した際に、確かに局所やリンパ節など一見「大変な状況」に見えるが、そもそも内臓転移が無いのに「寿命宣言」していいのか?
率直にそう思いました。
当院へ転院し、手術(局所再発も対側腋窩鎖骨下転移も綺麗に切除)その後抗癌剤、そして先日cCR!

その医師へは、「術前の転院ご報告」と「術後の病理結果ご報告」をしていたので、本来は再度の報告する予定がなかったのですが、今回のコラムを書いていて「このような成功体験こそ、それらの医師の記憶に残すべきだ!」という思いがふつふつと…
そしてつい先ほど、
術後、抗癌剤をこれこれ行い12月○日CTでcCRを確認しました。
    ↑
そんな報告をしたのです。




江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2024-12-23 06:56:28  掲示板 2024年12月22日~12月28日

今週のコラム 477回目『「luminalAでは抗癌剤でcCRできない」に対する反証』でluminal Aなのに、何故抗癌剤が効くのか?

これについて、いろいろ思索していました。
「絵に描いた餅」ではない、それは事実。
ということは何か解釈が出来る筈。

一つのポイントは「術後補助療法(ホルモン療法)」による変化(修飾ともいえる)だと思います。
癌細胞にはその性質が必ずしも一様ではなく、例えばluminalAでは「圧倒的に」ホルモン強感受性細胞に混じり「少数派の」ホルモン感受性乏しく抗癌剤に感受性の細胞が存在
   ↓
ホルモン療法により「前者が選択的に攻撃され消滅」その際に「後者が生き残ってしまった場合」に再発する。
これは0-100の話ではなく「ある一定以下であれば(体内の)免疫細胞で駆逐されてしまう」が、それを超えている場合「それがゆっくり増殖⇒再発」を想像します。
つまり術後補助療法の段階では抗癌剤をやっても殆ど意味がない(あまりにも後者の細胞の割合が低いため)が、再発すると(後者の細胞の割合が高くなるため)抗癌剤の効果がある。
♯これは想像の域に(無論)過ぎない仮説ですが、実際にluminalAでcCRとなる症例を多数経験している私にだけは許される想像と言えるのでは?

一つ付け足したいのは…
かつてbevacizumabの登場で、そのようなcCRが出てきても(無論抗癌剤は永久的に継続などできないので)その後にhormone only therapyの中で「再再発が多かった=抗癌剤やっても結局意味ないじゃん」的な思いも感じ始めていた矢先に登場したCDK 4/6 inhibitor !
まさにgame changer !
抗癌剤によるcCRを6年以上継続(まだ天井は見えません。発売して、漸くその程度だから)している患者さん達を見て勇気づけられているのは(患者さん自身以上に)私なのです。




江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2024-12-16 13:39:51  掲示板 2024年12月15日~12月21日

術前化学療法』を回答していて…
世の中に「肉芽腫性乳腺炎」の知識が浸透してきたことに(少なからずの)驚きと、喜びを感じていた矢先!

誤診の素になってしまうとは!
物事には必ず「良い面と悪い面」があることにちょっとショックを感じています。


江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2024-12-15 11:11:43  掲示板 2024年12月15日~12月21日

本日の生動画配信、ご参加ありがとうございました。
以下、補足

無治療での再発率15% ホルモン療法を行ったら5%再発率を改善
⇒これを分解すると
(手術した時点で)
85%は(そもそも)癌はどこにも残っていない★
15%は(画像上見えないだけで)癌が「どこかに」存在している★★
この15%の内 
10%はホルモン療法をしても(治らず)再発する。★★★ 
5%はホルモン療法をすることで(癌が存在していたのに)完全に治癒する。★★★★

遠隔転移とは「画像上癌が見える状態」ではあるが、ここで抗癌剤なりで治療してcCRとなった場合、理論上以下の2つに分けられる
①(画像どころか)実際に消失している。
②(画像では消失しているが)小さいだけで存在している
無論①であることが望ましいが、やはり一度「可視化」した以上②の割合は高いと考えられる。
ただし、この②は上記★★と同様の状態であり、そうであれば(その後の治療にて完全に治癒=根治する)上記★★★★も存在するということ。
    ↑
(無論①であることが望ましいが)とにかくcCRを達成すること。そうすれば(②であったとしても)★★★★が実際に存在するのだから、その可能性を少しでも大きくすること。
そういうことなのでは。




江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2024-12-01 11:10:26  掲示板 2024年12月1日~12月7日

Key word はgame changer
詳細は、今さっき掲載した今週のコラム474回目を参照しただくとして…
Trastuzumab-Deruxtecan から、私の頭から離れないこの言葉。
「成功体験 手術手技編」を書くにあたり、自分こそ患者さんにとってのgame changerでありたい。

今回のコラムには書きませんでしたが(次回に 手術手技編②?で記載予定の)前医で腋窩再発で腋窩郭清したけど、(腋窩だけで鎖骨下リンパ節を郭清しなかった、できなかったから)鎖骨下リンパ節に転移の残存を危惧して私が腋窩鎖骨下郭清した患者さん。(その方にとっては「再々」手術となるわけですが)結果的にその選択は正解でした。

自分の今迄の選択は良かったのだろうか?
そう思うのであれば(今からでも遅くない)game changerはここにいる。
なんて思ったりします。




江戸川病院乳腺センター長 田澤篤
2024-11-25 10:52:35  掲示板 2024年11月24日~11月30日

私の正面には「富士山」がはっきり見えていました。
昨日の私のコメントですが、これは比喩ではありませんでした。

江戸川病院の5階からは、綺麗に見えていたのです。