こんにちは。また大雨です。
ここ東京では想像ができないのですが、テレビ画像を見ると「愕然」とします。
被害が拡大しないことを、心より願っています。
オラパリブ(リムパーザ)が適応承認されました。
この薬剤が(他の薬剤と)決定的に異なるのは適応条件として「BRCA遺伝子変異があること=BRACAnalysis検査をする必要」があることです。
☆これを「コンパニオン診断」といいますが、オラパリブを使用するには必須の検査となります。(薬剤より先に、検査の方が保険承認されています)
今回、オラパリブに「特別感」を感じるのは、このコンパニオン診断があるからでしょう。
(前回も例えましたが)HER2陽性にハーセプチンが効くように、「BRCA遺伝子変異陽性ならば、オラパリブは効く」これが心理的に重要なことだと思います。
○この薬剤の本領発揮は「OlympiAにより、術後補助療法に適応承認がされてから」だとは思います。
術後補助療法への追加こそ、心待ちにしているのです。
そのため、オラパリブについてアストラゼネカの担当者だけでなく、BRACAnalysis(米Myriad社)の日本代理店であるSRLの担当者からも説明を受け江戸川病院でスムーズに処方ができるように、(承認前から)準備をしてきました。
適応条件
・手術不能または再発乳癌で以下を全て満たすもの
アンスラサイクリン及びタキサンの使用歴がある。
HER2陰性である。
BRACAnalysisでBRCA遺伝子変異が確認されている(以下の1.2)
1.病的変異(BRCA1/2遺伝子に病的な変異がある)
2.病的変異疑い(BRCA1/2遺伝子に病的と疑われる変異がある)
3.臨床的意義不明のバリアント(現在は遺伝子の変異が病的かどうか不明)
4.遺伝子多型の可能性(病的な変異がない可能性が高い)
5.遺伝子多型(病的な変異がない)
実際の使いどころ
・トリプルネガティブ
この場合には、術後補助療法としてアンスラタキサンを通常行っています。(①を満たす)
そうなると、再発したら間髪おかず「BRACAnalysis」を行い、オラパリブ投与となります。
♯オラパリブ投与群と医師選択群(eriblinなど)でこれだけの差があるからです。
(OlympiADより)
・ルミナールタイプ
選択肢として
①ホルモン療法の変更
②ホルモン療法+パルボシクリブ
③「BRACAnalysis」→陽性ならオラパリブ (ただし、アンスラサイクリンやタキサンを術後に行っていなければ、それを先行させる必要あり)
陰性であった場合には「別の抗がん剤(eriblinやbevazicumab+PTX)」とするか①または②にするか選択することになります。
・HER2陽性(オラパリブの適応なし)
☆上記のように再発した場合には(HER2タイプ以外であれば)、BRACAnalysisが選択肢となります。(すぐにオラパリブをするのか?は別として)
特にトリプルネガティブの場合には「ホルモン療法やパルボシクリブの選択肢が無い」以上、必須となるのです。