[管理番号:6437]
性別:女性
年齢:40歳
田澤先生、はじめまして。
管理番号:3075非浸潤性乳管癌から浸潤癌へのグレードアップについて
管理番号:4512術後の治療について
管理番号:6354術後の病理結果について
に近くなってしまうかもしれませんが、質問させていただきたくお願いいたします。
2月下旬に右胸や右肩甲骨のあたりが強烈に痛くなり、仕事の都合で暫く鎮痛剤で過ごし、3月初めに飛び込みで内科や小児科メインで乳腺外科もやっている個人クリニックで診てもらいました。
そこでは、半年前の人間ドッグでの胸部超音波検査の結果が「経過観察(3年連続)」だったことや、家族にがん経験者がいないこと、触診しても何も触れなかったことから肋間神経痛だろうと診断されました。
肋間神経痛を調べたところ症状は近いので一旦は納得したのですが、あまりの痛さに不安が残ったため、数日後に別の乳腺専門の個人クリニックにキャンセル待ちで診察していただきました。
やはり触診では何もなかったのですが、胸の大きさが左右で少し違うから気になると2週間後の診察開始時間前に枠を作ってくださりマンモと超音波をやることになりました。
マンモでは問題ありそうな石灰化は見られなかったのですが、エコーで右胸上部外側に7mm程の黒い影が見つかり「血流があるから細胞診やります」とその場で細胞診を取ることに。
その際先生から「この大きさで見つかったのはラッキーだよ」と言われたので薄々嫌な予感がしていたのですが、10日後にクラス5で乳がん確定しました。
余命を訊くと笑われ、「さっさと取って、ちゃんと治療すれば、この大きさで死ぬ確率は2%。
水素とか民間療法でなんとかしようと思ってはいけない」と近くの総合病院を紹介いただくことになりました。
なお、この先生からは右胸や肩甲骨の痛みは乳がん由来のものではない。
肋間神経痛かどうかは分からない。
ただ、痛みがきっかけで乳がんが見つかったのは幸運だったと言われました。
告知の2日後に紹介された病院で再度エコーし、「8mm~10mm(クリニックとの差異は角度による誤差)の癌。甲状腺は問題ない。リンパ転移も可能性は低い。おそらくⅠ期」
と診断され、タイミングよく手術枠が空いていたこともあり22日後に手術することが決定。
その際「全摘の方が再発の可能性低くなりますよね?」と聞くと「早まらない方がいい」と言われ、温存で行く方針に。
その後組織診やMRI等を経て4月末に手術をし、先日病理検査結果が出ました。
・Invasive ductal carcinoma, papillotubular carcinoma, pT1a
・組織グレード:GradeⅠ(腺管形成1、核異型2、核分裂像1)
・核グレード:Grade Ⅰ(核異型スコア2、核分裂像スコア1)
・腫瘍径:8mm×8mm
・浸潤巣径:2mm×3mm
・浸潤度:g
・リンパ管侵襲:ly(-)
・静脈侵襲:v(-)
・切除断端:陰性
・リンパ節:センチネル(0/1)
・HER2 1+
・Ki-67 5-10%
・ER:95%
・PgR:100%
主治医からは手術前から「抗がん剤はやらない」とは伝えられていましたが、、
浸潤していたので放射線の後にホルモン治療も考慮するが、浸潤は小さく、殆どの項目でリスクが低いと考えられるから、希望しない場合はやらないこともできると言われました。
初診でⅠ期でも再発してⅣ期となった人のブログを見つけて不安だと伝えると、
「そういう人は稀で交通事故に遭うくらいの確率。
この小ささで発見して来てくれたの
だから、そういう情報を見て不安にならなくてよい」と言われました。
その時主治医から伺った話では、
ホルモン治療をやる場合、
効果としては
・再発率を下げる
・対側の乳がん予防となる
一方、リスクとして
・薬なので副作用がある(副作用が出ない人もいる)
・血栓ができやすくなったり、子宮体癌のリスクが1000人に1人から1000人に2人に上がる
ホルモン治療をやらない場合のリスクとしては
・再発率が2%から4%に上がる
・反対側の胸の癌発生リスクはホルモン治療やる場合より上がる
ただ、再発率からも分かるように、100人いたら96人はホルモン治療をやってもやらなくても再発の可能性は低い。
そして100人中2人はホルモン治療をやってもやらなくても再発の可能性がある。
ホルモン治療をやって本当に再発防止効果があるのは100人中2人くらい。
だから、再発の不安を減らしたかったり、反対側の乳がん予防をしたい人はホルモン治療をやった方がいいけど、確率から行くと飲まなくても結果は変わらないかもしれない。
ホルモン治療を始めるとしたら放射線治療が終わってからなので、それまでじっくり考えて良いですということでした。
私は40歳、出産経験なしのため、子宮体癌リスクは出産経験ありの人よりも高いような気がしています。
なので子宮体癌リスクが上がることに少し不安があります。
一方で比較的若くして乳がんになってしまったので、再発や反対側の胸の乳がん発生に対して不安もあります。
1mm以下の微小浸潤であれば、ホルモン治療をやらないという即決もできたのですが、
組織疹の際に2mmくらいの太さの組織を2本ほど取り、それを合わせると浸潤は5mmを超えてしまうのではないかという不安と、
主治医が「すべての項目」ではなく「ほとんどの項目」と言ったのは、いくつかの危険因子が残っているからなのかなと気になっています。
例えば核異型スコアが2であるので再発リスクは少し高くなっているのか等。
そして同様の人がいないか検索していて乳がんプラザに辿り着いたのですが、
田澤先生のQ&Aでも、この大きさの場合ホルモン治療は省略できるような回答を目にします。
そこで質問です
①Ⅰa期のルミナールAタイプでホルモン治療をやらない人の割合はどれ位でしょうか?
②出産経験なしの場合、ホルモン治療をやることの子宮体癌リスクは、出産経験ありの人よりもやはり上がりますか?
③私は限局型になりますが、再発率と非浸潤部の広がりの大きさに影響はありますか?
④田澤先生としても、ホルモン治療をやらなくてもよいと思われますか?
⑤無治療であっても再発の心配をせず暮らして良いのでしょうか?
⑥例えばホルモン治療を行った場合、2年だとどれくらいの効果があるのでしょうか?
⑦乳腺クリニックに行くきっかけとなった胸部の強烈な痛みは、やはり肋間神経痛だったのでしょうか?
⑧ここ数か月(告知前から)、右下腹部にジーンとした痛み(たまに強い痛み)があるのですが、ホルモンの関係でしょうか?
もっと悩んでいる人も多い中、贅沢な悩みなのかもしれませんが、ご回答よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「①Ⅰa期のルミナールAタイプでホルモン治療をやらない人の割合はどれ位でしょうか?」
「④田澤先生としても、ホルモン治療をやらなくてもよいと思われますか?」
⇒私は…
勧めていません(希望される場合には行っていますが)
「②出産経験なしの場合、ホルモン治療をやることの子宮体癌リスクは、出産経験ありの人よりもやはり上がりますか?」
⇒無関係
「③私は限局型になりますが、再発率と非浸潤部の広がりの大きさに影響はありますか?」
⇒無関係
「⑤無治療であっても再発の心配をせず暮らして良いのでしょうか?」
⇒その通り。
「⑥例えばホルモン治療を行った場合、2年だとどれくらいの効果があるのでしょうか?」
⇒そもそも、再発リスク自体が非常に低いため「5年間の効果も少ない」わけですから、「2年間の効果も少ない」としか言えません。
「胸部の強烈な痛みは、やはり肋間神経痛だったのでしょうか?」
「⑧ここ数か月(告知前から)、右下腹部にジーンとした痛み(たまに強い痛み)があるのですが、ホルモンの関係でしょうか?」
⇒これは、(何処から、どう考えても)「女性ホルモンによる刺激症状」ですよ!
『今週のコラム 111回目 大事なことは、これら①~④の病気など世の中には無いのです。それは(我々医師には)自明なことなのです。』を熟読ください。
質問者様から 【質問2 5mm以下の無治療リスク】
性別:女性
年齢:40歳
田澤先生、ご多用中ご回答ありがとうございました。
ご回答いただき、放射線のあとは無治療でいく方針で気持ちは固まりつつあります。
他方、追加で質問したいことができました。
①どうやら病理のセカンドオピニオンが行われたようで、
主治医の話では、浸潤が小さな事例として病理の先生全員で確認したところ
非浸潤扱いでも良いのでは?となりDCISに変わったようです。
術前の組織診では「大部分が非浸潤だが微小浸潤の可能性も否定できない」という結果だったので
病理の結果2mm×3mmの浸潤と知って、想像より浸潤していたとショックもあった一方、
あとから非浸潤で良いかもと言われてもピンときません。
非浸潤であれば遠隔転移している可能性は限りなく低くなると思えて病院では安心したのですが、
帰宅後、本当に非浸潤なのだろうかと少し不安になってきました。
病理のセカンドオピニオンはよく行われることなのでしょうか?
その結果、3mmもあった浸潤から微小浸潤ではなく非浸潤に変わることはよくあるのでしょうか?
実はやはり浸潤であるという可能性もあるのでしょうか?
②幸い小さい状態で見つかったのですが、無治療とする決意を固める意味も含めて、
オンコタイプDXで遺伝子レベルでの検査を受けていた方が良いのでしょうか?
③乳がん経験者は、反対側の乳がんが発生確率が高まるという記事を読んだのですが、
その確率はどれくらいなのでしょうか?
貴重な枠を使い申し訳ないですが、よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「実はやはり浸潤であるという可能性もあるのでしょうか?」
⇒質問の主旨が解りませんが…
(自分にとって)「明るい材料を信じる」その方がいいと思いませんか?
(浸潤径3mmでも十分すぎるほど早期だとは思いますが、非浸潤癌だと考えた方がより幸福なことです)
「②幸い小さい状態で見つかったのですが、無治療とする決意を固める意味も含めて、オンコタイプDXで遺伝子レベルでの検査を受けていた方が良いのでしょうか?」
⇒無治療でいいと思っている私が…
(わざわざ)勧めることはありません。(そう思いませんか?)
「その確率はどれくらいなのでしょうか?」
⇒たいした違いはありません。
考え過ぎです。(自己検診していればいいのです)