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リンパ節転移の可能性

[管理番号:8787]
性別:女性
年齢:49歳
病名:乳癌
症状:
投稿日:2020年7月31日

初めまして。

乳がんと宣告されてから(7/(中旬))拝見させていただいてます!先生のご意見をお聞きしたく質問させていただきます。

よろしくお願いします。

今日、病理組織診断報告書を主治医の先生からいただき説明も受けたのですが、手術が先か、抗ガン剤を先にするかを聞かれたので手術を先にお願いして8/(上旬)に手術予定です。
この決断で良かったかが不安にもなりましたが、先生にバシッとご意見いただきたいです。

病理組織学的診断
部位 乳房/乳腺
Adequate,malignant,Invasive ductile carcinoma,scirrhous type,left breast,biopsy

所見
線維増生を伴って、小胞巣状・小型管状構築で浸潤増生を示す癌を認めます。
浸潤性乳管癌(硬癌)です。
脂肪織への浸潤を伴います。

Nuclear grade2
nuclear atypical score2
mitotic counts score2
Histological grade II
tubule formation score3
nuclear atypical score2
mitotic counts score2

免疫染色
ER J-score 3b,Allred score8(5+3)
PgR J-score 2 Allred score4(2+2)
HER2 score2+
Ki67 25%
E-cadherin+

追加報告
HER2スコア2+(Equivocal)のため、FISH法にて確認します。

報告書が上記の内容で、腫瘍の大きさは1センチなのですが、大胸筋の近くや脇のリンパ節が腫れててリンパ節転移の可能性が高いので、乳房は全摘してセンチネルリンパ節生検はせずにリンパ節郭清をしますと言われてます。

手術後に抗ガン剤治療を1年~1年半を見て下さいとの事です。

今の所、ステージは2bか3aになる可能性が高いですが、根治を目指して頑張っていきましょうとおっしゃってもらいましたが、思っていたよりステージが高く不安で仕方ないです。

告知の間、ほぼ泣いていたので抗ガン剤治療の事が聞けてないのですが、副作用の少ない抗ガン剤で治療は出来るのでしょうか?
お忙しい中すみませんがよろしくお願いします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは田澤です。

癌の告知、お気持ちお察しします。
ただ、失礼ながら「全てがごちゃ混ぜになり、頭が整理されていない」(主治医の責任もありそうですが)
「7/10から拝見」とあるから無理もないことかもしれません。

以下のことを、まずはご理解ください。

1.術前抗がん剤を選択肢としている理由が不明
 術前抗がん剤を行う理由は、あくまでも(腫瘍が大きくて温存できない際に)「小さくして温存するため」です。
 リンパ節転移は全く無関係
 質問者は1cmなのだから、「何故、術前抗がん剤も提案しているのだろうか?」純粋に疑問です。

2.何故「抗がん剤ありき?」
 HER2陽性ならば抗HER2療法となり(1年~1年3か月)となりますが、現時点では「FISH検索中」
 HER2陰性であれば「抗がん剤あきり」とはなりません。
 ⇒『今週のコラム 188回目 このデータを見ても、まだ「リンパ節転移があると(ルミナールAでも)化学療法が必要だと思いますか??」』を熟読のこと

3.術前術後に行う抗がん剤の適応薬剤は決まっています。
 Anthracycline, taxaneだけです。

「手術が先か、抗ガン剤を先にするかを聞かれたので手術を先にお願い」
⇒大正解!
 術前抗がん剤をする理由が不明
 
 「リンパ節転移があるから」という理由で術前抗がん剤を勧めているとしてら、それは「医師自身が楽をしたいがため」と非難されるべきでしょう。

「腫瘍の大きさは1センチなのですが、大胸筋の近くや脇のリンパ節が腫れててリンパ節転移の可能性が高いので、乳房は全摘」
⇒???

 「大胸筋に近い」とか「リンパ節が腫れている」ことは「温存できない理由には全くならない」
 ★ただ「乳房内再発のリスク」などの理由で質問者自身が全摘希望であれば、何ら問題ありませんが。

「手術後に抗ガン剤治療を1年~1年半を見て下さいとの事」
⇒かなり乱暴!

 FISH未なのに、「抗がん剤ありき」はいかがなものか?冒頭の2を参照のこと

「今の所、ステージは2bか3aになる可能性が高い」
⇒腫瘍径が2cm以下ならば
 リンパ節転移0なら 1期
 リンパ節転移1~3個なら 2A期
 リンパ節転移4~9個なら 3A期

「副作用の少ない抗ガン剤で治療は出来るのでしょうか?」
⇒術前術後に適応のある抗がん剤はanthracycline + taxaneだけです。

 もしもFISH陽性ならば、(抗HER2療法として)trastuzumabやpertuzuambも適応となります。
 いずれにせよ「脱毛しない」などの抗がん剤は適応外です。

 今週末 掲載予定の『今週のコラム 248回目 治療(乳癌の治療)』を熟読してください。

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

リンパ節転移が多数
性別:女性
年齢:49歳
病名:浸潤性乳管癌
症状:
投稿日:2020年8月17日

田澤先生、先日はお忙しい中返信いただきありがとうございます。
8/(上旬)に乳房全摘と腋窩鎖骨下部郭清の手術を受けました。
病理検査の結果を聞いてまた不安になってしまったので質問させていただきました。
よろしくお願い致します。

病理組織学的診断
部位:乳房/乳腺、リンパ節
Breast(left):Invasive ductal carcinoma,scirrhous type,pT1c,断端(-,
深部側,距離13mm),Ly1,V1,f Lymph node:Ductal
carcinoma,metastatic

所見
肉眼的に25×17mmの病変を認めます。
組織学的には間質の増生を伴って異型細胞が小塊状や筒状、索状や孤在性に間質内に浸潤増殖しています。
浸潤性乳管癌、硬性型と考えられる所見です。

周囲にはリンパ球の浸潤がやや目立ちます。
腫瘍の浸潤径は切片上で測定して約15mmです。
断端に腫瘍は認められません。
リンパ管侵襲、静脈侵襲が認められます。
腫瘍は乳腺外脂肪に及んでいます。

核異型スコア1
核分裂像スコア1
核グレード1
腋窩リンパ節に下記のように腫瘍の転移が認められます。

別容器(1/1),別容器レベル2(0/3),本体と同時提出分(38/42);pN3a

免疫染色
ER(+)
PgR(+)
HER2(-)

Ki67は前回の結果25%の数値しか聞いていません。

ステージ3と聞いています。

今回も結果を聞く前から泣いてしまい、主治医の先生からは悪い所は全て手術で取ってるので、これからの治療は予防の為の治療を行って治す事をするので前向きに頑張って欲しいです。
とおっしゃっていただいたのですが、乳がんプラザを拝見させてもらっても私みたいに多数のリンパ節転移の相談を見つけられなかったので、とても不安な気持ちでいっぱいで治療になかなか前向きになれないです。

そこで、田澤先生に質問させていただきたいです。

多数のリンパ節転移だと、ステージ3の再発率より高い確率なんでしょうか?

腫瘍径が15mmで多数のリンパ節転移はたまたま多かったと考えてもいいのでしょうか?乳房を全摘したら再発のリスクを少しでも減らせると考えていたのですが、今でもそのように考えてても大丈夫ですか?

放射線治療を8月末から平日毎日通って、合計30回(詳しくは放射線の先生の受診後に決定するので目安ですと言われてます)
その後に抗がん剤治療を予定しています。

退院と同時にタモキシフェンを朝夕食後に1錠ずつ服用しています。

以前に先生から術後の抗がん剤の適用はAnthracycline, taxaneだけですと回答をいただいてますが、乳がんプラザを拝見してるとTC,AC,EC等の抗がん剤の種類?が書いてるのですが、私の場合はTCと言う治療になるのでしょうか??

後、アレルギー体質(手術の時にシートを皮膚に貼ったら赤くなったので貼らずに皮膚に縫い付けた位、肌がかぶれました。)で喘息があるので放射線治療と抗がん剤治療に対して不安しかないのですが、何か今からできる副作用に対しての予防策はあるのかお聞きしたいです。
今は十全大補湯の漢方薬を処方されて飲んでます。

たくさんの質問をしてしまい申し訳ないですが、回答いただけると有り難いです。
よろしくお願いします!

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは田澤です。

「多数のリンパ節転移だと、ステージ3の再発率より高い確率なんでしょうか?」
⇒あくまでもステージ3の範疇です。

「腫瘍径が15mmで多数のリンパ節転移はたまたま多かったと考えてもいいのでしょうか?乳房を全摘したら再発のリスクを少しでも減らせると考えていたのですが、今でもそのように考えてても大丈夫ですか?」
⇒再発は「局所再発」(温存乳房内再発を含む)と「全身遠隔転移再発」に分けなくてはいけません。

 「局所再発(温存乳房内再発)」のリスクは下がりますが、「全身遠隔転移再発」には影響を与えません。

「私の場合はTCと言う治療になるのでしょうか??」
⇒anthracycline(EC, AC, FECなど)+taxane(DTX, PTX)となります。

「何か今からできる副作用に対しての予防策はあるのか」
⇒考えすぎ。
 皆できる治療なので、ご安心を。

 
 

 

質問者様から 【質問3 】

リンパ節転移多数の治療について
性別:女性
年齢:49歳
病名:乳癌
症状:
投稿日:2020年9月18日

田澤先生、こんにちは。

また質問をさせていただきたいです。
よろしくお願いします!

リンパ節転移多数で、ステージ3Cと診断を受け、放射線治療を始めたのですが、閉所恐怖症の為に3回だけ治療を受けた後、治療が出来なくなりました。

その後、腫瘍内科の先生の診察を受け、抗がん剤の説明を受けた時に副作用のリスクを聞いたら怖くて治療を断っています。

乳がんプラザの皆さんから見たらこんな質問で…と気分を害されたらすみませんが、回答いただけたら嬉しいです。


放射線治療を3回だけしてしまった事で、出てくる副作用はあるでしょうか?閉所恐怖症の為にどうしても治療が出来ず、根治が出来なく絶望感でいっぱいです。
閉所恐怖症でも出来る放射線治療はないでしょうか?


腫瘍径1.5センチ
核異型スコア1
核分裂像スコア1
核グレード1
腋窩リンパ節に下記のように腫瘍の転移が認められます。

別容器(1/1),別容器レベル2(0/3),本体と同時提出分(38/42);pN3a

免疫染色
ER(+)
PgR(+)
HER2(-)

Ki67は前回の結果25%の数値しか聞いていません。

上記の結果から、ルミナールAのグレーゾーンと思い、コラムの131回133回145回146回を読んでると私には抗がん剤の上乗せと副作用のリスクを考えるとホルモン治療だけでと思っていますがどれ位、再発率が上がるでしょうか?


喘息とアレルギー(主に青魚・カニ・えび、手術時に使用したテープや着圧ソックスによる皮膚湿疹がありました)
後は赤血球の大きさが他人より小さい為の貧血で鉄剤を飲んでいます。

これらの事により、抗がん剤治療の際に輸血が必要になると言われてます。
副作用のリスクを聞いて抗がん剤治療も出来ずにいてます。
現在はタモキシフェンのホルモン治療のみをしています。

1~3までを踏まえての5年生存率はどれぐらいでしょうか。

病気を治したい、みんながやり遂げられてる治療を出来ない自分のメンタルに落ち込んでいるのですが、治療をする事によって身体が治っても心が壊れてしまうと恐怖の毎日です。

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは田澤です。

「閉所恐怖症でも出来る放射線治療はないでしょうか?」
⇒私は放射線科医ではないので…
 私の知る限り難しそうです。

「私には抗がん剤の上乗せと副作用のリスクを考えるとホルモン治療だけでと思っていますがどれ位、再発率が上がるでしょうか?」
⇒リンパ節転移4個以上では抗がん剤の上乗せに対するエビデンスが低いため、コメントできません。

「副作用のリスクを聞いて抗がん剤治療も出来ず」
⇒それは考えすぎです。

 抗がん剤治療は80歳以上にも(再発の際には)普通にしています。
 再検討を。

「1~3までを踏まえての5年生存率はどれぐらいでしょうか。」
⇒抗がん剤をすれば…

 『今週のコラム 247回目 診断(検診で「何かある?」と言われた方、「これって、しこり?」と感じた方へ)vol. 3 「乳癌」』を参照すると72.48%となります。