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今週のコラム 299回目 palbociclibの信頼性の上昇をデータで見る

★ 昨日「公開」し忘れて1日遅れになったことをお詫びします。

 

みなさん、こんにちは。

梅雨明けと同時に真夏のような暑さ、夏バテにご用心!

 

動画第2弾 概ね好評?に感じていますが「総論」としてはそれでいいですよね??

ただ、スレッドは読んでいますので、そこから皆さんのご意見を「input」しつつ第3弾へ「どこまでoutputできるのか?」

私の真価も問われることでしょう(まだ初心者だから、ある程度「ご勘弁を」

そんな動画第3弾、収録(予定)も近づくなか、乳癌学会関東地方会2021の演題募集も始まりpalbociclib症例の纏めに追われていました。

本来なら動画(第3弾)の先行のような形で、今回のコラムにしようと思ったのですが、(上記のような事情もあり)palbociclibを取りあげます。

 

palbociclib

CDK4/6 inhibitorとしてはabemaciclibもありますが、忍容性の点(abemaciclibの下痢)から、やはり第1選択はこちらでしょう。

当院は東京で第7位(卸ベース)を誇り、其のすべてを私一人で診療しているので個人的な「使用経験数」には自信をもってます。

適応 再発症例(決して術前術後の補助療法で使用してはいけません。←適応外診療もあるのだろうか??)

 

当院では2018年1月が最初の症例なので一番長い方で3年7か月となります。

始める際には、患者さんから『どの位の期間予定しているのですか?』と聞かれますが、実際に始まってしまうと『そろそろ辞めたい』みたいな声は殆どありません。

これが何を意味しているのか?

ズバリ、その「忍容性の高さ」(副作用が軽いため「辞めたい」と感じない)です。

もう一つの特徴は(治療)「効果の継続性の長さ」と言えるでしょう。

当院では56症例を超えましたが、「2年超え」「3年超え」も続出! 患者さん自身が「辞めたがらない」こともあり、私の外来は「palbociclib」患者さんで溢れんばかりとなっています。

 

そんな中、関東地方会2021で抄録を書きながら気づいたのが、私自身の「この薬剤の使い方の変化」です。

これが顕著に表れているデータを以下に示します。

導入時の再発治療「line」

 

 

 

 

左が「前半」、右が「後半」です。

1st lineとしての導入が飛躍的に上昇(27%⇒58%)となっています。

 

 

それは何故?

 

 

 

一言で言えば「使用経験に基づく、効果と信頼性」なんだ。

もう少し解りやすく、「私の頭の中」を文字にしてみるね。

 

〇 私の頭の中

最初の投与時 「鳴り物入りで登場」したとはいえ、あくまでも「サブ」としての位置づけかな?

first lineとしては「とにかく抗がん剤」

抗癌剤投与で劇的な改善(可能ならCR!)した後の「維持」として使おう

やがて、その治療効果が「維持」だけではなく、積極的「改善させるだけのパワー」がありそうだな。

内臓転移(特に肝転移や中程度以上の肺転移)の場合以外はfirstでも十分いけるな!

現在の治療法 骨転移 radiation⇒palbociclib

局所など手術でCR⇒(抗がん剤を挟まずに)palbociclib

この辺りの変化は以下のデータでも確認できます。

 

 

 

 

前期                 後期

「抗がん剤歴」有が62%⇒42%に減っています。

 

 

なるほど!

明らかに「使い方」が変化しているね!

基本的に「plabociclibに対する信頼感が増した」を反映しているとは思うけど、

治療効果は大丈夫?

 

 

 

 

 

前期                  後期

 

上記グラフを見てごらん!

治療効果は(first lineとして積極的に使用してきた)後半でも遜色ないよ!

我々が最も重視するCBR clinical benefit ratioは85%⇒89%に寧ろ上昇してるんだ。