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今週のコラム 489回目 luminal typeとOncotype DX 勘違いしないようにしましょう。

 漸く、載りました(2025/3/23)

 

牛タン、ゴロゴロ とっても旨い。

炭水化物多すぎ?

 

 

○本文

今日、ここまでで「かなりの」数のQAの回答をしてきました。(そして、ようやく「借金?を全て」返せました)

QAの回答ができないまま、(未回答が)溜って来ると結構なストレスとなります。

今日はそんな中、?と思ったQを共有しましょう。

 

題名は『12546 ルミナルb 再発転移率の不安

明日以降、掲載される筈です。(更新完了しました。)

(以下、抜粋)

右乳がん、しこり8mm、スキルスタイプ、ステージ1、her2増幅なし、グレード2、ki67 20-33%、オンコタイプRS7です。

治療に迷っており、昨年11月の全摘後1ヶ月以上経ってからタモキシフェン、全摘後3ヶ月ほど経ってからリュープリンを開始しました。

多少の副作用はありますが、今のところ日常生活は送れております。

ですが、グレードもki67も高かったので再発や転移が心配です。

何かのデータで「ルミナルbはトリプルネガティブくらい5年、10年の無再発率が低い」と書いてあったからです。

ルミナルbなのに抗がん剤も効かないタイプとわかり、今の治療を続けるとどれくらい再発転移なく生きられるのか…

教えてください。

あと、タモキシフェンやリュープリンの副作用はいつ頃から出てきますか?

鬱や骨粗鬆症になると聞いたので怖いです。

 

まず、『右乳がん、しこり8mm、スキルスタイプ、ステージ1、her2増幅なし、グレード2、ki67 20-33%、オンコタイプRS7』について

⇒ 「8mm」「stage 1」「RS=7」

率直に言って(私であれば、きっと患者さんには)『とても良かったですね。再発率は超低リスクとなります』と、言ったことでしょう。

♯このQには「ホルモン療法をした場合の再発率」が記載されていませんが、OncotypeDXの結果用紙には(その超)低い値が記載されている筈です。

もしかして「その値を記載すると」(この質問全体がおかしくなってしまうので)「敢えて」記載していないのか??と、つい勘ぐってしまいそうになります。

 

あとは勘違いを指摘しておきます。

1.luminal AとBについて

本来は(乳がんプラザの何処かには記載したことがありますが)遺伝子のクラスター解析による分類なので、正確にluminalAとBの鑑別はできません。(クラスター解析はそう簡単にはできません)

なので、あくまでも「luminal A(相当)」とか「luminalB(相当)」が正確な表現となります。

そして、それは(OncotypeDXを使わないのであれば)Ki67で判別すべきという考え方が「かなり」以前には存在しました。

所謂ザンクトガレン国際会議での低減で(かなり前ですが)その(AかBなのかの鑑別には)Ki値がいいのでは?というものです。

その際には何故か(Ki値を)14で境界するというものでした。

♯ただ実際には14は境界としては「低すぎる」というのが現場の医師の実感であり途中からは「25」あたりではないか?という意見が多かったのも事実です。

 

質問者が自分自身を「luminal B」と勘違いしている原因も(もしかすると)担当医がその「14」より上は「luminal B」だ!という勝手な妄想を患者さんへ植え付けた可能性がありそうです。

 

ただ実際にはKi67単独で判断するものではなく、(私自身の印象では)「PR」も相当影響しているように感じます。

いずれにしても、その「Ki67]や「PR]も含めた16の癌関連遺伝子の発現をスコア化したOncotypeDXがある以上、(そして)OncotypeDXが非常に高いエビデンスを持っている以上、

(保険適応となった、今更)Ki67単独でluminalA/Bの鑑別とすること自体ナンセンスであり、本物の分類である「クラスター解析」に最も相関する意味では

OncotypeDXでlow risk = luminalA(相当)

OncotypeDXでhigh risk = luminalB(相当)

と考えるべきなのです。

 

★話が長ーくなりましたが、つまり質問者は(Ki67だけで判断した、もしかするとグレード2にも引っ張られているのかもしれませんが)自分がluminal Bとの考え方は(OncotypeDXでRS=7 と解った以上)あまりにも誤った認識と言えるのです。

 

2.ルミナルbなのに抗がん剤も効かないタイプ

⇒そもそも、この文章事態に矛盾があります!

 luminal Aは抗癌剤が効かない、luminal Bは抗癌剤が効く(抗癌剤による上乗せ効果がある)というのが、luminal typeをAとBに分ける理由なのだから、「luminalBで抗癌剤が効かない」という文言事態に矛盾があるのです。

 

そうすると「ルミナルbはトリプルネガティブくらい5年、10年の無再発率が低い」

⇒という根拠のないものにも「そもそもluminal A(相当)である」質問者が煩わされること自体も全く無意味となります。

 

◎結論

今の結論の治療を続けるとどれくらい再発転移なく生きられるのか…

⇒それこそ「その紙(OncotypeDXの結果報告)に記載されています」よ。

十分すぎる位再発率は「低く」記載されている筈です。

それこそが真実なのです。