こんにちは。田澤です。
銀座Wakoのビーフシチュー
山形牛がふんだんで旨い!
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○ 本文
今回も引き続き「正しい」シリーズです。
1.用語
よく皮膚「転移」という言い方をしますが、
皮膚「再発」の方が的を射ている
転移というと(一般的に)血行性転移のことですが、
もしもそうであれば、
『最初に全身の皮膚のどこに出てもいい』こととなるが
↓
実際にそれが起こるのは
『局所(患側乳房皮膚)』だからです。
2.どこに起こるのか?
これは、Q&Aでもよく質問があります。
たとえば直近では
この中で
『皮膚転移がはじめに出てくるのは傷口の近くですか?それとも全摘なら全摘部分のどこかに出るのでしょうか?』
この疑問に答えるべく、図解していました。
3.ポイント
①乳癌は皮膚浸潤していないケースが多い。
②(エコーなど画像診断では不明でも)癌が皮膚に近い場合には直上の皮膚に皮膚浸潤を疑うべき
③通常の「温存手術では直上の皮膚は切除しない」が、②のようなケースでは直上の皮膚も切除すべき
④全摘手術では原則として直上の皮膚も合併切除している。
⑤術後皮膚浸潤が残っている場合、以下の3つのケースがある。
⑤-1.術後照射により皮膚浸潤が消失するケース
⑤-2.術後照射したが、皮膚浸潤が消失せずに皮膚再発するケース
⑤-3.術後照射した部分は皮膚浸潤が消失したが、「照射野外に皮膚再発」するケース
4.図解
乳腺と皮膚の間には皮下脂肪がある。
皮膚浸潤の無い乳癌
ここでいう「皮膚浸潤が無い」とは「細胞レベル」です。
皮膚浸潤が「細胞レベル」で無ければ、術後に皮膚再発することはありません。
皮膚浸潤が(直上の皮膚に)有る場合
無論、この場合は「表皮浸潤(この場合には見た目で解る)」ではなく、「真皮浸潤(見た目ではわか無い)」となります。
直上の皮膚浸潤があるが、(皮膚浸潤を疑わずに)このように通常の温存手術を行うと…
♯通常の温存手術では皮膚切除は行いません。
無論これは⑤-2のケースの場合です。
つまり皮膚浸潤があっても⑤-1であれば皮膚再発は起こりません。
このように、腫瘍直上の皮膚(創部近辺となります)に皮膚再発がおこる可能性があります。
このようなケースでも、直上の皮膚浸潤を想定して温存手術でも直上の皮膚合併切除を行えば皮膚再発はおこりません。
無論、同様に全摘の場合には「そもそも」直上の皮膚を(このように)合併切除するので、このようなケース(腫瘍直上にのみ皮膚浸潤しいる)では皮膚再発は起こりません。
但し、皮膚浸潤が腫瘍直上だけでなく広範囲だと
このような皮膚切除を行う全摘でも…
腫瘍直上の皮膚浸潤以外の「切除されなかった」皮膚部分から皮膚再発が起こります。
⑤-3のケース
このように皮膚浸潤が広範囲にわたっている場合…
このように全摘を行い
このような範囲(胸壁照射)に術後照射し、照射部分は消失しても、(もともと皮膚浸潤していた部分の)「照射野外から皮膚再発」するのです。
結語
皮膚再発は、術後照射が効かなかった場合には「局所」に出現するが、術後照射が効いた場合に(もともと広範囲であった場合)「照射野に沿って、その外側に出現する」場合がある。