暑い。
しかし最早、そんな熱い中大汗かいてランニングし、その乾いた喉にビールや無糖酎ハイを流し込む。この醍醐味!
そんな暑い夏を欲している自分は何なんだろう?
と、自問する毎日です。
○ 本文
こんにちは。田澤です。
前回の「温存手術」や今回取り挙げる「乳頭分泌」など、過去にコラムで幾度となくコメントしたものです。
ただ、この乳がんプラザも10年を超え(コラムも450回以上となると)新たな読者?がそれを探すのも困難となっています。
そこで「正しい」シリーズ化をして(過去に取り挙げてはいますが)基本的なことを参照しやすいようと考えました。
○ 乳頭分泌
問題点としては
1.正しく捉える人が少ない
⇒「乳管内病変を疑う分泌」と「どうでもいい分泌(乳管内病変とは明らかに無関係)」の区別が正しくできずに、極めて無駄に悩んでいる人をしばしば見かける。
2.乳頭分泌の意味(意義)を「そもそも」理解していない乳腺外科医が存在する。
⇒(乳頭分泌が何を意味しているのか?)理解していないので(それらの医師は)、「ミルク分泌」や「多孔性」=「どうでもいい分泌」という判断すらできずに、『乳管内病変を疑う分泌と、どうでもいい分泌』の区別をせずに一律すべてに対して「分泌液細胞診や経過観察」などを行い「診療を形だけ行ったことにして」お茶を濁している。
3.乳管造影できる乳腺外科医が滅亡の危機にある。
大変残念なこと。
(単孔性)乳頭分泌で発見される乳癌は(石灰化のみの所見で)発見された乳癌と(同等もしくは、それ以上に)超早期発見の究極版なのです。
是非、その技術は(無形文化財のごとく)手厚く保護され、そして(ワシントン条約で)絶滅危惧種に指定されなくてはいけません。
4.乳管腺葉区域切除を正確にできる医師もまた絶命危惧種です。
(上記)3同様
★上記1~4を問題点として挙げましたが、(2、3,4は医師側の問題として、当院を受診すれば解決することだから、いいとして)重要なのは1となります。
それこそが「乳頭分泌で無駄に心配しないために」正しく理解して欲しいのです。
この図
これを是非、目に焼き付けてください!
この図を(目に焼き付けることで)理解できることは
①乳管内病変は(時として多発しますが)それは「同一」乳管内であり、乳管内病変からの分泌は必ず「単孔性」であると理解できます。
②腫瘍からの分泌液は黄色、茶色、黒、赤(後半の3つは腫瘍からの出血がらみであり、出血が無い場合には黄色となります)
腫瘍からミルクは決して分泌しません。 白色=100%どうでもいい分泌
③一過性(特に生理周期と関係することが多い)は、どうでもいい分泌である。
この図を見てもらえば、腫瘍からの分泌は(腫瘍は自然に消失することはないのだから)止まらないことが理解できます。
この「(一過性ではなく)止まらない分泌であること」を確認するために(私は)しばしば「3か月間継続するのか?」根気よく見守りましょうとコメントします。
♯分泌だけの所見で(3か月待ったからと言って)万が一癌が原因だったとしても進行してしまうなどあり得ないことです。
④分泌の原因の多くは(特に)更年期の時期に見られる(ホルモンの刺激による)乳管の増生(に伴う一過性の出血)や乳管の閉塞によるものであり、前者では(たとえ単孔性であったとしても)一過性となり(いずれ分泌そのものが)止まるし、後者では(うっ滞した分泌液が)青色、緑色、(透き通った)レモン色などとなり容易に区別できます。
⑤乳管内病変を疑う分泌量
分泌「量」の観点
これは無論「経験豊富」でないと区別できないことですが、表現するとすれば…
比較的ソフトに絞ってじわーっと溢れてくる場合に「乳管内病変」を疑います。
「これでもか!」とギューギューに(無理やり)絞って、ようやく「申し訳程度」にでるものは、たとえ(たまたま)単孔性であっても、乳管内病変ではありません。
↑
この判断は無論、難しいとは思いますが多く受診者が後者であることもまた事実です。