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今週のコラム 437回目 生検の「選択」と「精度」これでは患者さんが可哀想になります。

土曜日屋上 「ギガ」オクラ飯

 

昨日はいい天気で気温も高く、

あの日の秋山主席参謀♯1の電文

『天気明朗なれど波高し』の再来の如く、ここ屋上は風が強かった。

♯1 「坂の上の雲」では本木雅弘が演ずる

「ギガ」レモンと「鬼」レモン どちらも負けていません。

 

○ 本文

(問)「診断」と「手術」どちらが大事か?

(答)両方です。

但し、(当たり前のことですが)診断がつかないことには治療(手術)へ進まないので、やはり正確な「診断」は重要度が高いと言えます。

◎診断

画像診断も無論重要ですが、「その先」にある生検手技にこそ、その神髄があります。

♯2 昨今話題の芸能人が診断目的でMRIを撮影したとすれば、とても残念なことです。

Aさんを例に解説しましょう。

 

しこりを自覚して、某クリニックを受診

不整形、前方境界線断裂

カテゴリー5です。

 

 

1.画像診断

(Aさんから聞きましたが)これを良性とも癌とも「どちらとも言えない」と説明を受けています。

これ自体、かなり問題と言えますが…

(更に)

2.生検手技の選択

(そのクリニックでは)何故か細胞診を行っています。

何のため? (癌の診断には現在、細胞診では不十分であり組織診が必要)

細胞診をする理由があるとすれば、基本的に「良性を疑っている」場合に、

「細胞診で良性」を確認し、経過観察を行う目的のみと(本来)言えます。

 

具体的に例を挙げるとすれば、

画像所見(エコー)で扁平な線維腺腫の所見、(この所見なら生検無で)経過観察でいいだろうと思ったが、患者さんが不安がり生検して欲しいと言われた。

「明らかな良性所見」だから(なるべく痛みがないように)細胞診で良性を確認した。

これなら「細胞診」という選択も理解できます。

ただし私であれば、このような際にも(患者さんが嫌でなければ)「組織診」を選択して(その後の)経過観察は不要としてしまいますが…

 

いずれにせよ今回の場合は(そのクリニック医師の診断が甘いとはいえ)さすがに「癌を疑っていた」はずです。

このケースで何故細胞診を選択したのか?(ポアロさえも解けない難題と言えます)

 

3.生検の精度

しかも! なんと細胞診の結果はクラス3A !!

『なんたーるちーや(古)』流石に言葉も浮かびません。

(皆さんご存知?のように)細胞診クラス3Aは良性所見です。

これでクラス5を出せないようでは、下手糞呼ばわりされても仕方が無いでしょう。

 

4.結局…

Aさんは自覚症状で受診し(良性とも悪性とも言えないなぁ。と言われ)細胞診され(しかもクラス3A!)、その結果を聞きに受診すると「細胞診はクラス3Aだけど、画像が怪しいから針生検を予定します」と言われたのです。(ここで何故、この医師が最初の「どちらとも言えない」から「画像が怪しい」にニュアンスを変えたのか?これも謎ですね)

この経緯に「どうにも納得できず」当院を受診されたわけですが、

無論、私はその場で「CELERO生検」して診断したわけです。

 

何故、細胞診を選択した?

何故、(癌なのに)細胞診でクラス3Aしか出せない?

 

これでは患者さんが可哀想になります。