東京は久しぶりの雨の週末
残念ながら屋上には出れません。
今日はベランダを見ながらの食事となりそうです。
○ 本文
前回のコラムで予告したように
『(コラム 375回目の手術所見の)文章を図にすることにチャレンジ』です。
鎖骨に平行に「鎖骨上切開」
鎖骨にに平行に「鎖骨上切開」
まず現れるのはplatysma muscle 頸を覆っている表面の薄い筋肉です。
これを切離し、いきなり術野へ入ります。この辺りが皮下脂肪や厚い筋肉に覆われた腋窩とは全く異なります。
硬く腫大したリンパ節がいきなり触知されました。
指全体でその範囲を触知確認すると、想像より少しばかり大きい印象。
この2つのリンパ節は、実際は癒合していてこの境界部分付近を太い外頸静脈が走行しています。
この外頸静脈をテーピングして、
この血管から剥がしつつ外側のリンパ節を内側へ起こします。
ここからが勝負
一見静脈角にすっぽり嵌りこんでビクともしないように思えるリンパ節も、外しやすい部分から少しずつ外していくと「ビクともする!」んです。
★内側の総頚動脈と尾側の(鎖骨の裏を平行に走る)鎖骨下静脈とは距離がなく危険ですが、上図の「赤点線両矢印」の部分は比較的安全に電気メスで外す事ができます。
想像してください!
360°全周性に嵌りこんでビクともしなかったリンパ節も、この部分(1/3週位でしょうか)が外れることで、リンパ節を一部もって動かせるようになるのです。
これが突破口となります。
リンパ節を動かしながら、まずは頸動脈と少しずつ距離をとり外していきます。
実際はリンパ節自体が少しずつ動く分、頸動脈との間の膜を1枚ずつ切離していきます。注1)
すると遂に外れるのです。
このようにして周りから少しでも外れていくと、(今までビクともせずに嵌りこんでいた)リンパ節が「ビクッ、ビクッ」と動くようになります。(生き物みたいに表現しましたが、あくまでも「比喩」ですよ)
こうなるとリンパ節は、もっと持ち上がるようになります。
(持ち上がれば)ここでリンパ節の裏を少しずつ剥がしていきます。
一か所突破できれば、そこから急速に事態は進んで行きます。
最後は、鎖骨の裏に平行に走っている鎖骨下静脈と(少しずつ)安全な距離を作り(少しずつ外して行く事によって安全な「切りしろ」ができるのです)、遂に摘出です!
注1) 血管との間の膜を1枚ずつ外す
嵌りこんでいてビクとも動かないリンパ節も
安全な部位から少しずつ外すことで
リンパ節自体を(少しですが)引っ張ることができるようになります。
そうすると、(今まで嵌りこんでいて)隙間のなかった血管との間に僅かな隙間が出来るのです!
このわずかな隙間ができれば…
「断面図」
数枚の膜をそーと、1枚ずつ切離することで
膜が1枚ずつ切離されるごとに、(残りの)膜が伸びてくる(つまり血管とリンパ節との間に安全な距離ができてくる)ので、最後は安全に(血管との間を)切離できるのです。