Site Overlay

今週のコラム 368回目 血管に被さるように腫大したリンパ節を郭清するには?(図解編)

土曜日は気持ちよく晴れてました。

DSC_0637

 

豚鍋

鍋が美味しい季節です。

 

 

 

DSC_0638

 

熱々の豚鍋にラーメンを入れて…

ドイツのスパークリング、white body お洒落です(来週、W杯で対戦!)

 

 

DSC_0641

 

ちょっと、食べ過ぎか!

 

 

 

DSC_0643

 

「黒船」のバームクーヘン これが一番!と言う方から戴きました。(納得の旨さ!)

12時方向にはBachmann 1時にはモモバウム 2時3時には長崎のカステラ

旨さ、揃い踏み

 

 

 

気持ちいい秋(晩秋?)の空

ただ、風があると寒さを感じます。

 

中央の赤枠部分を拡大すると…

 

 

飛行機が飛んでいます。

成田空港からは、そこそこ距離はありますがここは千葉市

この飛行機に載せて見知らぬ外国へ心が馳せます。

 

 

今日は午後から雨とのこと、水曜日(祝日)はどうだろうか…

 

 

〇 本文 (前回の続き)

 

文章だけでは、「解る様な、解らないような?」

次回、図で説明してくれる?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このように、転移したリンパ節が増大して腋窩静脈の(前面を)乗り越えている、この手術のポイントは以下の2つ

1.普通の郭清であればレベル2は小胸筋を持ち上げて(小胸筋の外側からのアプローチだけで)腋窩静脈から外すだけでいい a)のですが、ある程度大きくなる b)と(外側からだけのアプローチだと、その奥が見えにくくなるので)小胸筋にテーピングをして外側に引っ張りだし、(そのリンパ節の)内側が十分に見えるようにして郭清します。

★この「十分に見えるようにして」がポイントであり、安全な手術とは「十分な視野」これに尽きるのです。

小胸筋にテーピングをして外側へ引っ張りだして(小胸筋の)内側の視野を確保する手技は、無論レベル3(鎖骨下リンパ節)を郭清する際に必要な操作であり、この操作により(自動的に)レベルⅢ郭清も可能となります。

 

2.今回のリンパ節は通常のリンパ節とは異なり、腫大して腋窩静脈に被さって c)います。

1の操作(つまり、小胸筋の外側からのアプローチ+小胸筋の内側からのアプローチ)だけでは、もしかすると腋窩静脈に被さっている部分の視野が不十分となる可能性があります。

不十分な視野でリスクを冒すよりも、(当然ながら)十分な視野で「より安全に」手術は行われるべきなのです。

そのためには、(1のように)小胸筋を引っ張って「よけるだけ」ではなく、「その部分の小胸筋を切除してしまう d)」ことが有効となります。

これだと、(よけるだけでは)どうしても邪魔となる小胸筋に隠されることなく、リンパ節及び腋窩静脈の全貌が直視下となるのです。

 

まずは、レベル2の位置から「おさらい」

 

 

レベル2は小胸筋の裏にありますが、その(小胸筋の)上には更に大胸筋が被さっています。

つまりリンパ節の上には、小胸筋大胸筋の2枚の筋肉が被さっているのです。

 

 

 

 

大胸筋及び小胸筋を取り除いた図

 

 

 

 

 

そこに小胸筋を被せます。

このように、小胸筋はリンパ節(レベル2)及び血管(腋窩静脈、腋窩動脈)の上に被さってています。

 

 

 

 

更に、大胸筋が被さります。

つまり、大胸筋は(レベル2及び血管に被さっている)小胸筋の上に更に被さっているのです。(一番表面にあるのが大胸筋ということ)

 

 

 

 

a)  通常のリンパ節(郭清の)場合

 

通常のレベル2郭清のやり方1

大胸筋を内側へ引っ張ります

 

 

 

 

更に大胸筋を引っ張ると(その裏にある)小胸筋のほぼ全貌が現れます。

 

 

 

 

 

 

その小胸筋を(大胸筋同様に)内側に引っ張ることで

その裏にあるリンパ節を安全に郭清できます。

 

 

 

 

b)  ある程度大きくなったリンパ節(郭清の)場合

 

 

このように、リンパ節が「ある程度大きくなった」場合には、

 

 

 

 

 

a) のように、小胸筋を内側に引っ張るだけでは、

リンパ節が大きいため、その内側が十分に見えません。

 

 

 

 

このような場合には、この小胸筋を内側へよけるのではなく、

図のようにテーピングして「外側へ」よけると、

このように、このリンパ節の内側も直視下となるため

安全に郭清できます。

★レベル3リンパ節も、この視野で通常郭清します。

 

c)  更に増大して腋窩静脈に被さっているリンパ節(郭清の)場合

 

 

小胸筋をa) のように内側によけても、リンパ節の全貌は見えないし、

 

 

 

 

 

b) のようにテーピングして外側によけても、やはりリンパ節の全貌は見えません。

このような直視下にできない状況で血管から外すのはリスクがあります。

 

 

 

 

d) その部分の小胸筋を切除してしまう 

 

それでは、この場合どうすればいいのか?

「見えなくしている、その部分の小胸筋を切除」すればいいのです。

この図の矢印の部分を切断すると

 

 

 

 

このようにリンパ節が全て直視下となります。

 

 

 

 

 

 

★全貌を直視下にすることが何故、重要(安全)なの?

 

 

 

 

この部位で問題となるのは腋窩静脈、所謂「青大将」なんだ。

私が過去に耳にした、某大学病院で実際に起きたケース

 

 

 

状況 術中レベル3にリンパ節腫大があり、これをサンプリングすることになった(そうです)

★ レベル3は小胸筋よりも内側(更に奥)にあります。

 

 

 

 

 

なので、通常の腋窩郭清(レベル1+レベル2の一部)の際のように、

小胸筋を内側に引く、この図のような視野ではレベル3の全貌は見えません。

★日頃から鎖骨下郭清をしていない大学病院では、(おそらく)この視野からレベル3をサンプリングしようとtryしたのでしょう。

結果、青大将に傷をつけて大出血!(だったらしい)

いよいよ自分達では修復できず、血管外科医を(院内から)呼び寄せて何とか「事なきをえた」そうです。

 

 

 

レベル3は小胸筋より内側にあるのだから、小胸筋を無理やり内側へ引っ張っても、どうやってもその全貌を直視下にすることはできないのです。

 

このように小胸筋をテーピングして(それを)外側へ引っ張ることで、「綺麗に」全貌を直視下にすることができるのです。

★直視下にするということは、(危険極まりない)青大将と(ターゲットである)リンパ節の位置関係が(サカイ引越センターのように)「きっちり」捉えられるので、慎重な操作をすれば青大将に傷をつけるなど「ありえない!」のです。

 

 

謎雄君、何故大学病院をはじめとする大病院でレベルⅢ郭清をしなくなった(できなくなった)のか?

解ったかい?

 

 

青大将が怖いから!(でしょ?)