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今週のコラム 353回目 炎症性乳癌2

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ラーメンにスパークリングワイン

昨日、土曜日は天気今一つとはいえ、屋上は気持ちいい!

 

 

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今日は最近嵌っているチキン+エビアサリのスパイスカレーをココナッツミルクで東南アジア風に。

そしてお供は、やっぱりスパークリングワインでした。

 

お気に入りのパン屋の厚切りトーストとズッキーニパンもいい仕事してます!

 

 

〇本文 前回コラム(352回目)をご覧いただいて炎症性乳癌についてご理解いただいたとは思いますが…

ポイント

A.見た目 乳房全体が(「誰がどう見ても」「一目で」「あり得ない程」)真っ赤となる。 皮膚が厚くなり「ゴワゴワ」

B.症状 炎症の症状(発熱や疼痛)は無い

炎症性乳癌に炎症は無し⇒「あたかも炎症があるかのように」と表現されます。

 ★病態は「リンパ管の閉塞による 皮膚の発赤と浮腫」なのです。 ここテストに出ます。

 

症状の鑑別として

① 所謂「乳腺症」

コラム352にも提示しましたが、「更年期に伴うホルモン分泌不安定による胸の張りや痛み」は全く論外です。

更年期に伴う「胸の張り、痛み」乳腺のゴツゴツなどは(昔から)乳腺症と総称されてきました。

★乳腺症は「症」という文字が示すように、病気では無論なく、上記のような症状を起こす状態(更年期症状)のことです。

 

② 炎症性疾患

 

乳腺の炎症性疾患って、どんなものあるの?

 

 

 

 

1.うっ滞性乳腺炎

2.乳輪下乳腺炎

3.肉芽腫性乳腺炎

上記3つしかないんだ。

だから本当に炎症があった場合(発熱、発赤、排膿など)は、必ず上記3つのどれかに当て嵌まるんだ。

それぞれについて

1.うっ滞性乳腺炎

授乳期乳腺が(乳管が)詰まって、ミルクがうっ滞して炎症を起こす。

全体が詰まると、(それこそ)乳房全体が「真っ赤」になり39℃以上の発熱にもなります。

★炎症性乳癌との鑑別

A見た目は、時にそっくりとなるけど、B症状が全然違います。(うっ滞性乳腺炎は実際の「炎症」なので発熱あり)

 

2.乳輪下乳腺炎

殆どが「陥没乳頭」に伴い、慢性的に(本来、垢として外へ排泄されるべき表皮が)乳管内部へ落ち込みそこで炎症を起こす病態

★炎症性乳癌との鑑別

A見た目としては、通常「乳輪直下に限局」しているので「乳房全体が真っ赤となる」ことはありません。

B症状も、実際に膿瘍形成すれば(うっ滞性乳腺炎同様に)発熱や排膿するので「全く」異なります。

 

3.肉芽腫性乳腺炎

これは是非、過去のコラム(212239)を(まずは)ご一読ください。

原因 原因不明(自己免疫の関与が指摘されている)

好発年齢 40歳前後が殆ど ★日本一「肉芽腫性乳腺炎」を診療していると自負していますが、閉経後は一例もありません。

病態 (原因不明の)肉芽の炎症です。 なぜ、そんな肉芽が出現するのか?不明、それそこが「原因不明」なのです。

ある日、突然現れたかのような「大きな」しこり、明らかに炎症があり「痛い」皮膚も「真っ赤になる(実際に活動性の炎症があるわけですから)」

症状 a(急激に増大する)しこり

b (しこりの上の)皮膚の発赤

c 発熱 程度がありますが、実際に「炎症がある」わけですから、当然発熱します。

d 疼痛 「炎症がある」わけですから、当然疼痛があります。

 

 

炎症性疾患の中でも、(1,2とは異なり)この肉芽腫性乳腺炎は「しこりがある」ことが特徴

しかも「急速に増大」することと、画像上(不整形なので)癌と間違われやすい。

 

本来「炎症がある」自体、炎症性乳癌とは異なるので、(画像上、不整形であっても)経過と症状から炎症性乳癌を疑う必要はないのですが…

実際には以下に挙げる「2つの悲劇」が世の中に蔓延しえいるのが現状です。 まるでコロナのように… あぁー

 

例えば、あなたが実際に肉芽腫性乳腺炎となったとしましょう。(原因不明なので、あり得ない話ではありません)

悲劇は、ここから始まるのです。

 

悲劇1 ネット情報

『何だ、このシコリは? 癌? 半年前に検診で何も無かったのにこんなに大きなシコリ! 癌なの?』

あなたは、パニックに(多かれ少なかれ)陥るかもしれません。

まず、どうしますか?

きっとネットで探るでしょう。

そして「炎症」と「しこり」から「炎症性乳癌」を発見して、『私、もしかして炎症性乳癌??』と勘違いするわけです。

 

悲劇2 無知な乳腺外科医

ネット情報は見るとしても、きっとあなたは「乳腺外科」を受診する筈です。

もしかしたら、(大学病院信者の)あなたは『大学病院の方が安心だわ!』そんな風に考えるかもしれません。

その(大学病院信仰が)ますます、悲劇を引き起こします。 キャー!

 

(肉芽腫性乳腺炎を知らない)若い医師

これは癌です。しかも皮膚が赤い! 炎症を起こしている。

(この医師の頭の中で)癌+炎症=炎症性乳癌

『あなたは炎症性乳癌だと思います。 転移の可能性もあるのでCTも撮りましょう。』

 

そして、後日…

針生検のレポート  炎症性細胞浸潤、肉芽形成を認め「肉芽腫性乳腺炎」の可能性があります。

これを見ても、『肉芽腫性乳腺炎?何だそりゃ? それよりも癌の部分が(針で)採れていないだけかもしれない。』

 

病理結果で炎症となっているので、抗生剤を投与しますが、癌の可能性もまだ残っています。

治療しながら経過見ましょう。

 

そして(全く無意味なだけで、効果がない)抗生剤を投与したり、切開したりと地獄のような日々が幕を開けるのです!

『癌かもしれない』『治療が効かない』

皆さん、精神的に追い詰められます。

 

実際に、上記のような悲劇を私は数限りなく見てきています。

本当に真夏のホラーのように…