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今週のコラム 350回目 術前抗がん剤について(前編)

世は3連休!

何気に5月の連休以来の(6月祝日無の)久しぶりの祝日です。

おそらく、1年の中でも「祝日無の最長期間」なのだと思います。(カレンダーで確かめたわけではありませんが、そんな気がします)

土曜日 雨

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屋上へは行けず…

やっぱりラーメンには餃子!

房総土産の「鯵餃子」です。

これが、また旨い!

YEBISU のプレミアムホワイトは、夏に合います。

 

日曜日 お盆に載せて「いざ、屋上へ!」

と、屋上への扉を開けて、目に入ってきた雨粒に膝が折れました…

と、いうことで日曜日も中食です。

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スパイスカレー

チキンに、シーフード(アサリとエビ)を入れてココナッツミルクを入れたら私史上最高の旨さ!

★先週のチキンカレーに「何とか、もうひとひねりの旨味をついかしたいなぁ」と考えて試してみたのでした。

久しぶりのワインは南アフリカのシュナンブラン!

ご家族が南フランス在住とのことで、お気持ち感謝しております。

 

月曜日、祝日!

久しぶりに、晴れました。

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1日置いたカレー

トーストの替りに、お気に入りのパスタ(トマトガーリック)

晴れた屋上には、マルエフがやっぱりお似合いです!

 

 

〇 本文

最近、QAを回答していて目立つのは…

術前抗がん剤を勧められて(寧ろ「ゴリ押しされて」と言い換えるべきかもしれません)という内容です。

今月だけでも、

『Q&A 2022年07月13日2 手術不能と言われた件について』『Q&A 2022年07月12日3 術前抗がん剤を提案されて不安です。』『Q&A 2022年07月11日2 乳がん手術について』『Q&A 2022年07月07日5 術前化学治療について』

などがあります。

コラム347~349までの3部作で私が取り挙げた内容とも被ります。

このコラムを読んで(それに触発されて)これらのQをした質問者もいるかもしれません。

 

今回は、あらためて「術前抗がん剤」について(その周囲に潜む問題点も含め)お話しすることとします。

 

〇 歴史的背景

私が医師となった30年前には、術前抗がん剤という概念そのものがありませんでした。

それでは、何がきっかけなのか?

① taxaneの登場に伴い抗がん剤の治療効果に脚光が当てられた。

 

それまで乳癌の抗がん剤(特に術後補助療法)としては、懐かしのCMFからanthracyclineの優位性によりFECに変化しましたが、それ一択でした。

ここにtaxaneが登場したことで、『どういうレジメンが適切なのか? 最強なのか?』世界的に臨床試験が様々行われ、(EC vs AC, FEC vs AC, TAC?  anthracycline followed by taxane? )

抗癌剤メーカーから情報提供を受けながら『何のレジメンが最強で、更に安全なのか?』

乳腺外科医達の中でも、この話題で持ちきりだった時代です。

皆さん、ここで質問です。

抗がん剤の効果を見るのに、手っ取り早いのは術前と術後、どちらだと思いますか?

答えは、「術前」です。

実際に「目に見える腫瘍」があるので、実際にどの程度効果があったのか?簡単に確認することができます。

つまり、「術前」であれば「数か月で評価できる」のですが、

それに対して「術後」の抗がん剤は、「目に見える病巣はそもそもない」状態での「再発予防」なので、「5年生存率」とか通常評価には5年以上、しかも再発自体確率は低いので、それを比較するためには「かなりの症例数」が必要となります。

つまり、大規模臨床試験が必要となるので「術後の抗がん剤治療」の評価はそう簡単ではないのです。

 

前置きが長くなりましたが…

つまり、taxaneの登場。そして「どういう組み合わせの治療がいいのか?」そんな時期には、どの施設でもこぞって術前抗がん剤を行ったのです。

現在は、レジメンも固定化されて上記のような状況ではなくなりましたが、上記期間に術前抗がん剤に抵抗がなくなったので、「本来の目的を見失い」術前抗がん剤が独り歩きしているのです。(あくまでも私見)

 

② 術式としての「温存手術」の一般化

これが本来の術前抗がん剤の適応条件となります。

つまり、(現状だと大きすぎて温存手術できない=無理やり温存手術しようとすれば整容性を失う)状況であり、かつ温存手術を望む場合です。

★因みに「抗がん剤は術前に行っても術後に行っても予後は一緒」という事実がある以上、全摘ありきであれば「術前に行う理由がない」のです。

そもそも昔は「温存手術そのものが無かった」わけだから、「小さくして温存」という選択肢がある現在、その需要は常にあります。

ただ、画像上「小さくなっても温存手術の適応にならない」タイプもあるので、「術前抗がん剤で小さくなったら、安全に温存手術できるのか?」きちんと画像評価が必要となります。

そこに関しては、『今週のコラム 172回目 このように(元あった範囲に)点在して残存するのです』をご参照ください

 

まずは、歴史的背景につきお話ししました。

重ねて強調しておきますが、術前抗がん剤の目的(絶対的適応)は唯一「小さくして温存」のみであり、術前に行っても、術後に行っても予後が同じなのに、術前抗がん剤をゴリ押しするのは誤りなのです。

 

 

術前化学療法好きの乳腺外科医が良く、口にする以下のコメントについてはどうなのよ?

1.抗がん剤の効果がわかる

2.全身を最初に叩く

3.切除範囲を小さくできる(ここでいう「範囲」とは乳腺では無く「リンパ節の郭清範囲」のこと)

4.もしもpCRでなければ、〇〇が(術後に)使える

 

OK!

次回は、上記について解説します。

いずれもQAにしばしば出てくる「耳タコ」案件と言えますね!

この機会に、スッキリ解説して、今後これらのQが来た場合には『まずは今週のコラム 350及び351回目をまずはお読みください』に、しちゃいましょう!