ゴールデンウイーク最終日、ですね。
何事も「最終日」という響きにはもの悲しさ?がつきまといますが、皆様メンタルは大丈夫でしょうか?
言うならば、日曜日「朝」なのに、すでに「サザエさんのエンディングが流れている」が如し。
今週は勤務日が「月」「金」と手術日だけという夢の生活?(土曜日、市川外来がありましたが「時間が短い」ので殆どきになりません)
ここからは妄想です…
203X年、T-ZAWA BREAST CLINIC旗揚げ(開業!)
院長T-ZAWAは月と金の手術(と、翌日の手術患者の処置)のみ行い、火水木土の外来は若手?にお任せ。
こんな生活だったら人生どんなに楽しいか…
と、考えたりすることもあります(?)が…
まぁ、実際のところ「診断あっての乳腺外科医」だと思うし、「術後に責任もってこその乳腺外科医」なのです。(おそらく)
手術だけ行っていたら、本当の意味で「活きた(?)手術」にはならないでしょう。
それこそ大学病院(私の出身のT-HOKUもそうでしたが…)のように、医局員が診断して教授が「明日は時間空いているから、僕が手術やるよ。」と手術するのと似ている。
教授は、週に1回の総回診(白い巨塔を思い出します。)しか病棟には現れないし、まして外来などしません。
そんな人に「活きのいい手術!」など期待しようがないではありませんか!
注)総回診と記載していて、私自身凄く懐かしくなりました。
医局員時代には(勿論)私も「受け持ち医」として参加しましたが、それも随分昔(東〇公〇病院赴任の前)の話、ざっと今から20年くらいは経ちます…(月日が経つのも…)
それに比べれば、(ちょうど、公〇病院時代には)唐沢寿明ver.の「白い巨塔」がTV放映されていて(毎週「欠かさず」見ていたので)そちらの総回診の方がずっと印象深いですね。
まぁ、ずらずら書いてしまいましたが…
手術だけやって、「後はよろしく!」的な世界は(「振り返れば奴がいる」の織田裕二じゃ、あるまいし…)現実には上手く機能しないのです。
「診断」から「手術」そして(抗がん剤を含めた)「術後療法」そして「再発治療」、全てに精通して初めてバランスが取れる。
そう思います。
昨今の「乳腺(内)科」と称して開業し、「私、診察や診断はしますけど、手術はしません」では、「活きた診断はできない」そう言うことです。
昨日は「雨」と「晴れ間」がめまぐるしい、ここ東京でしたが(自宅は「千葉市」ですが…)
なんとか屋上でラーメンライフ?
ラーメンとパン
炭水化物、多すぎ! って感じですね(笑)
「肉」と「野菜」いっぱいの、「徳島ラーメン」
旨過ぎます!
(連休中の)別日
Chablis とラーメンは合います。(おそらく)
〇 本文
前回の続きとしてQAでも「しばしば」登場する腫瘍マーカーを取り挙げます。
言わずと知れた「CEA]と「CA15-3]の2大巨頭です。
ポイント1 CA15-3が乳癌ピンポイントであるのに対して、CEAはブロードバンド(胃癌や大腸がんなど消化器系や肺がんなど、かなり多くの癌種で上昇する)である。
どういうこと?
CEAが高い時には(無論、乳癌の既往があるわけだから)まずは乳癌の再発を第1として検査するが、(もしも、それらに異常が無い際には)消化管の精査(胃カメラや大腸カメラ)も検討事項となるということ。
★ただし、腫瘍マーカー上昇=再発や(他臓器の)癌とは限らない。
ポイント2 喫煙者は(そもそも)CEAが高いことが多いことは周知の事実です。
私の経験上6~10前後の人は結構多いです。(減煙~禁煙すると数値も下がって来ること多い)
初回の採血で(CA15-3が正常で)CEAが、(そのくらいの)異常値であった場合には、まず「喫煙してますか?1日何本ですか?」と聞くのが常識です。
ポイント3 (人それぞれ)固有の基準値がある。
比較的低めの基準値の人 CEA 1.台 CA15-3 1桁
比較的高めの基準値の人 CEA 4.台 CA15-3 25前後(正常範囲が25未満となっているが、それを超えたりする)
上記の中間位の人 CEA 3前後、CA15-3 15~20前後
ポイント4 代謝性疾患による影響①
実例)
術後1か月 術後4か月 術後7か月 術後10か月 術後13か月 術後16か月
CEA 1.3 2.9 3.8 5.8 1.7 1.5
CA15-3 17.3 21.1 25.2 33.5 15.1 13.7
術後10か月で「基準値越え」だね?
この人の(もともとの)基準値が(術後1か月や13か月などを見ると)CEA 1台、CA15-3 15前後のようだから、明らかな異常だよね?
そう、その通り。
術後7か月でCA15-3が25を超えた時点で「要注意」だと思っていたので、この時点(術後10か月)では無論、全身検索としてPETをオーダーしたんだ。
ところが…
ここで話が急展開
PETの当日、血糖が高値(何と、501!)にてPET検査そのものが中止
★PETは標的にglucoseを取り込ませるため、高血糖では中止となる
なるほど!
この患者さんは術前検査では糖尿病ではなく、その既往もなかったのだけど、術後の生活の不摂生で糖尿病を発症していたんだ!
その通りなんだ。
無論、糖尿病の採血など当科では行わないので把握しようがなかったのだけどね。
その時点で、糖尿病内科へ紹介、インスリン開始となってます。
インスリン開始から2か月、血糖値はすっかり改善しマーカー上昇から3か月後(術後13か月)では正常化しています。
★ 無論、糖尿病発症が腫瘍マーカー上昇の原因と決めつけることはできないので、その後(PETではなく)造影CT+骨シンチを行い「画像上、再発所見無」も確認しています。
その後は、どう?
マーカーまた上がらない?
お陰様で(って、「君のおかげ」では無いけどな!)
その後は、ずーと正常です。
ポイント4 代謝性疾患による影響②
CEA 4.4 6.0 7.1 12.3 11.7 6.4 3.5 3.1
CA15-3 11.1 10.3 9.8 14.2 14.1 15.1 14.4 10.7
この方は(CA15-3は有意な上昇とは言えませんが)CEAが「明らかに」上昇しています。
(抗HER2療法中で)trastuzumab単独治療となってからの出来事ですが、PET異常なし、消化器精査異常なしで「何だろう?」と悩んでいたところで「浮くみと疲労感」の症状が出てきたため(trastuzumab単独の副作用としてはおかしいので)甲状腺の数値を測って居たら「甲状腺機能低下」となっていました。
甲状腺内科を紹介し「甲状腺ホルモン補充」したところ、徐々に改善し(甲状腺ホルモン値の正常化に伴い)CEAも正常化、その後も正常キープしています。
ポイント5 chemotherapyによる影響
CEA 3.9 7.7 4.1
この方はTC療法中に一過性に7.7と上がりましたが、(ケモ中のマーカー上昇は慌てない)の原則通り、自然に正常化しました。
★ 上記はCEAですが、最もしばしば経験するのはdocetaxel中のCA15-3上昇です。
この場合にはdocetaxelによる肝機能障害が背景にあるようです。
皆様、docetaxel中(TCなど)に「肝機能上昇+CA15-3上昇」があったからといって『肝転移出現なのでは??』などと短気をおこしてはいけません。
ケモ中の肝機能障害が「肝転移による」ことは「ほぼ」ありません。ケモ中の肝機能障害=ケモによる薬剤性の頻度が「圧倒的に」多いのです。